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初テスト スポーティなプラグインハイブリッドステーションワゴン プジョー508 PSE SWに初試乗&レポート

2021年3月24日

GTiからPSEへ デビュー間近のプジョー508 PSE SWを初テスト 価格とテクニカルデータともにドライビングレポートをお届け

プジョー508 PSEは、ハイブリッドカーでありながら多くのパワーを有している。電動化されたこのスポーツプジョーは、今後「PSE」と呼ばれる。360馬力のプラグインハイブリッドを搭載した508がそのスタートを切る。我々は人目を惹くステーションワゴンを運転した。そのレポートをお届け。

「GTi」は今後、プジョーでは、「Peugeot Sport Engineered」、略してPSEと呼ばれるようになる。
このことはつまりスポーツ性能は残しつつも、何らかの形で必ず電動化されることになるという意味だ。
結局のところ、CO2の基準はどうあっても満たさなければならないのだ。
「PSE」の恩恵を最初に受けるのは「508」で、360馬力を誇るこの車は、プジョーの市販車としては最もパワフルなモデルだ。
しかし、それだけでスポーツモデルとして十分なのだろうか?
我々は、カーブの多いタウヌスの道路(独ヘッセン州フランクフルト アム マインの北に広がる山地)で、プラグインハイブリッドステーションワゴンを走らせ、そのことを確認してみた。

まずは車の周りを1周。
牙のようなデイタイムランニングライトを備えた「508」は、かなり強い印象を与える。
「PSE」としては、さらに一段階上を行くミッドサイズカーだ。
スカートとシルのフラップ、リアディフューザー、迫力の20インチホイール、ネオンイエローのアクセント、ブラックのロゴがさらにルックスを際立たせる。
それは、映画「タクシー」でダニエルが駆った「406」を思い出させる。
ビジュアル的には、強烈な主張であり、いやが上にも期待感をかきたてられる。

0-100km/h加速は5.2秒

さあ、乗り込んで、シートベルトを締めて、出発だ。
車は常に「Eモード」でスタートする。
純粋な電動モードで最大42kmの航続距離が可能とされているが、今日の我々にとってそれは二次的な関心事に過ぎない。
フロントに81kW(110馬力)、リアに83kW(113馬力)の電動モーターを搭載しているので、すでにパンチ力がある。
街の外へ出て、「スポーツモード」に切り替える。
1.6リッターのターボ4気筒が目覚め、最高出力360馬力、最大トルク520Nmが活動し始める。
0から100km/hまで5.2秒という数字よりも印象的なのは、その加速方法だ。
電動モーターのおかげで、「508」は一瞬のためらいもなく強烈なパワーとトルクで前に進む。
しかしそれは暴力的ではなく、力強い。
「スポーツモード」では、さらに多くのことが行われる。
ステアリング、ダンピング、スロットルレスポンス、サウンド、ESPなどが研ぎ澄まされる。
そして実際にプジョーはタウヌス山地の曲がりくねった地形で多くの楽しみをもたらしてくれた。
電子制御式全輪駆動システムのおかげで、コーナリング時にもずっとニュートラルで、プジョー特有の小さなステアリングホイールは、復元力のあるトルクを提供してくれる。

プジョーは、平均燃料消費量をリッターあたり50kmとしているが、実際にはリッターあたり16.6km以下になるだろう。

しかし、残念ながら、ステアリングの感覚はやや無感覚でフィードバックが不足している。
そして、薄っぺらなサウンドが耳につく。
「PSE」は、「スポーツモード」であっても、サラブレッドなレーシングマシンではない。
しかし、プジョーモデルにその必要はなく、その分野は「AMG」や「M社」のライバルたちに任せておけばいいことだ。

環境ボーナス込みで61,000ユーロ(約800万円)

ハイブリッドモードでは、「PSE」は日常的なパートナーをよりリラックスした乗り心地へと変え、ダンピングはフランス式のソフトなものになる。
20インチの大径ホイールを履いていても、その快適性は損なわれない。
粗い横方向の継ぎ目でのみ、時折ゴロゴロと音がするものの、19インチホイールでも十分な効果が得られる。
残念ながら、「コンフォートモード」にしても何も変わらない。
それどころか、サスペンションがアンダーダンピングされているので、ハンドリングがやや揺らいでしまう。
だから、「508 PSE」をスポーティなモデルととらえるのは間違いで、それはむしろ、パフォーマンス的なものよりも、環境に配慮した良識のある顧客にアピールするものだ。
よりスポーティなドライビングを志向する人は、「BMW M340i」や「メルセデスAMG C43」を選ぶべきだ。
「PSE」の真のライバルは、「BMW 330e」や「Volvo S60 T8」といったモデルだろう。
さて、残るは価格だ。
プジョーは、セダンが66,640ユーロ(約870万円)で、ステーションワゴンが67,940ユーロ(約890万円)となっている。
装備はかなり充実しており、環境ボーナスでさらに5,625ユーロ(約73万円)が引かれる。
ただし、それでも「508 PSE」がスペシャルオファーだとは言い難い価格ではある。

「508 PSE」は装備充実。カラーリングとより強力な充電モジュールだけに追加料金がかかるだけだ。

テクニカルデータ: プジョー508 PSE SW
● パワーユニット: 1.6リッター4気筒ターボ(200PS)+電動モーター×2基 ● バッテリーサイズ: 11.5kWh ● システム合計出力: 265kW(360PS) ● システム合計トルク: 520Nm ● 駆動方式: 全輪駆動、8速オートマチックトランスミッション • 乾燥重量: 1875kg • ラゲッジコンパートメント容量: 530~1780リットル ● 最高速度: 250km/h ● 0-100km/h加速: 5.2秒 ● 純電動航続距離: 42km ● 価格: 67,940ユーロ(約890万円)より

おそらくこうなるだろうなぁ、と予想していたことではあるが、今後プジョーの高性能モデルは「PSE」と名付けられ、ハイブリッドシステムを活用したモデルになるという発表である。
これはもちろんプジョーだけのことではなく、世界中のありとあらゆるメーカーがこういう方向にシフトしていかざるを得ない状況だ。次のAMGはハイブリッドを使用してのハイパフォーマンスカーに進化していく方向だし、世の中のモデルはこちらの方向に今後数年で変貌を遂げていくのだろう。
そんな中の「プジョーPSE」だが、プジョーもハイブリッドシステムを使用しての高性能という方向に進むということが興味深いし、それもかなりのハイパフォーマンスカーであるということにちょっと驚いた。
そういえば昔、「405」に「Mi16」とかあったようなぁ、とちょっと古いプジョーのハイパフォーマンスカーを思い出してしまったが、驚いたのはこの「PSE」の価格である。900万円近いその価格は、「405Mi16」の二台分以上なのだから、時代も変わったものだと痛感させられた。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: PSA Groupe