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【140年、140カ所】新型「メルセデス・ベンツ Sクラス」によるグローバルジャーニー その24 マレーシアからシンガポールへ―新型Sクラスが見た東南アジアの未来

2026年6月26日

メルセデス・ベンツ創業140周年を記念して展開されているグローバルプロジェクト「140年・140カ所」。世界6大陸を巡る3台の新型Sクラスは、タイを後にしてマレーシアへと入り、さらにシンガポールへ到達した。

この区間で印象的だったのは、東南アジアがもはや単なる新興市場ではなく、自動車産業や先進技術、そしてプレミアムブランドにとって極めて重要な拠点へと成長していることだ。なかでもシンガポールは、今回のグローバルジャーニーにおける折り返し地点であると同時に、メルセデス・ベンツのアジア戦略を象徴する重要な舞台となった。

発展を続けるマレーシアとプレミアム市場の拡大

マレーシアの首都クアラルンプールは、高層ビル群と多民族文化が共存する東南アジア有数の国際都市である。その象徴ともいえるペトロナスツインタワーは、この国の経済発展を体現するランドマークだ。

市街地を走ると、日本車が数多く見られる一方で、メルセデス・ベンツをはじめとするプレミアムブランドの存在感も大きい。経済成長に伴って富裕層が増加し、高級車市場も着実に拡大していることを実感する。活気に満ちた街並みは、東南アジア全体の成長ポテンシャルを象徴しているようだった。

マレーシアの夜景を背に疾走する新型Sクラス;140周年グローバルジャーニーは東南アジアの未来都市を結びながら続く。

クアラルンプールでは「Haus of Mercedes」も開催された。これは単なる車両展示会ではなく、ブランドの過去・現在・未来を体験できる総合的なブランドイベントだ。

創業140年にわたる歴史やクラフトマンシップ、最新の電動化技術、そして未来のモビリティに対するビジョンを発信する場として機能しており、東南アジア市場におけるメルセデス・ベンツの存在感の大きさを改めて感じさせた。クルマを販売するだけでなく、ブランドそのものを体験してもらうという取り組みは、現代のプレミアムブランドに求められる新たな顧客接点の形ともいえる。

さらに訪れたペトロナス・セパン国際サーキットも見逃せない。かつてF1マレーシアGPの舞台として世界的に知られたこのサーキットは、現在もMotoGPなど国際レースが開催されるモータースポーツの聖地だ。

クアラルンプール近郊に位置するセパン国際サーキット;特徴的なメインスタンドを背景に3台の新型Sクラスが並ぶ。

高速コーナーと長いストレートを持つコースレイアウトは、自動車技術への深い理解と高い関心を持つマレーシアのモータースポーツ文化を象徴している。モータースポーツを通じて技術革新を続けてきたメルセデス・ベンツの歴史とも重なる場所だった。

シンガポールで迎えた旅の節目

そして新型Sクラスはシンガポールへ到達する。

2026年1月にドイツ・シュトゥットガルトを出発した旅は、この時点で20カ国以上、総走行距離35,000kmを突破。ヨーロッパ、南北アメリカ、そしてアジアを横断し、パリ、モンテカルロ、ニューヨーク、リオデジャネイロ、東京、ハノイ、バンコク、クアラルンプールなど世界有数の都市を結んできた。

シンガポールは単なる経由地ではない。4カ月に及ぶ世界周遊のちょうど中間地点であり、プロジェクト前半を締めくくる象徴的な場所である。

マリーナベイを背景に走る新型Sクラス;近未来都市シンガポールは蓮の花を模したアートサイエンス・ミュージアムと高層ビル群がこの国の革新性を物語る。

これまで新型Sクラスはアルプスの雪道からアンデス山脈の高地、南北アメリカや東南アジアの熱帯気候まで、気温差40℃以上、標高差約4,000mという過酷な環境を走破してきた。そのなかで快適性と信頼性を維持し続けたことは、フラッグシップセダンとしての実力を証明するものでもあった。

アジア戦略の中核となるシンガポール

今回のシンガポール訪問で特に注目されたのが、東南アジア初となる「メルセデス・ベンツ・スタジオ」の正式披露である。

世界で18カ所目となるこの施設は、単なるショールームではない。ブランド体験や文化発信、顧客コミュニティ形成の拠点として位置付けられており、今後のアジア戦略を担う重要なハブとなる。

新型Sクラスはシンガポールに無事到着し、旅の折り返し地点を迎えた;シンガポールでは東南アジア初のメルセデス・ベンツ・スタジオがオープン。

約500名の顧客やメディア関係者が集まった記念イベントでは、旅を続ける3台の新型Sクラス「ベルタ」「カール」「ゴットリーブ」も披露された。その名称は、ベルタ・ベンツ、カール・ベンツ、ゴットリープ・ダイムラーというブランドの礎を築いた先駆者たちに由来している。

近未来都市として発展を続けるシンガポールは、先進技術、持続可能性、多文化共生という要素を高いレベルで融合させている都市だ。その姿は、伝統を守りながら革新を続けるメルセデス・ベンツの企業哲学とも重なる。

東南アジア市場全体を見渡しても、シンガポールは金融・物流・技術開発の中心地であり、プレミアムブランドにとって極めて重要な戦略拠点である。今回の新スタジオ開設は、単なるブランド施設の誕生ではなく、メルセデス・ベンツがアジア市場を今後の成長戦略の中核と位置付けていることを示す象徴的な出来事といえるだろう。

スーパーツリーとマリーナベイ・サンズを背景に佇む新型Sクラス;140年の歴史と未来を結ぶ象徴的な一枚。

140周年グローバルジャーニーはこの後、オーストラリア、ニュージーランド、インド、アフリカを経て再びヨーロッパへ戻る予定だ。しかしシンガポールは、その壮大な旅路の前半を締めくくるだけでなく、ブランドの未来を映し出す重要なマイルストーンとして強く印象に残る場所となった。

Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:Mercedes-Benz Group