1. ホーム
  2. ニュース
  3. これは最もエモーショナルなM3だ!BMW M3 CS マニュアル仕様が登場間近―だが、私たちの元には来ない!

これは最もエモーショナルなM3だ!BMW M3 CS マニュアル仕様が登場間近―だが、私たちの元には来ない!

2026年6月6日

BMWがM3 CSにマニュアルトランスミッション仕様を設定するというのだ! だが残念ながら、ヨーロッパのファンにとってはほとんど縁のない話である。

名称こそドイツ車らしいが、購入できるのは北米の顧客だけだ。BMWは「M3 CS」のマニュアルトランスミッション仕様を投入する。これは多くのヨーロッパのBMWファンが理想とするようなM3である。

「BMW M3 CS」マニュアルトランスミッション仕様は北米市場専用モデルとして生産される。生産開始は2026年7月を予定し、最初の納車は2026年秋になる見込みだ。生産台数についてBMWは明らかにしていないが、非常に限定的なシリーズになるとしている。アメリカでのベース価格は107,100ドル(約1,710万円)で、これに1,350ドル(約20万円)の輸送費が加わる。合計で108,450ドル(約1,730万円)となる。

パワーは控えめ、感情は豊か?

技術的に見ると、この特別なM3は既存の「M3 CS」に単純にマニュアルトランスミッションを組み合わせたモデルではない。どうやら、それは実現できなかったようだ。

「M3 CS」はオートマチックトランスミッションと四輪駆動を採用し、さらに高出力仕様だった。一方、新しいマニュアルトランスミッション仕様は3.0リッター直列6気筒エンジンを搭載し、出力は480馬力に据え置かれる。最大トルクは550Nmだ。

その理由は主にトランスミッションにあると考えられる。6速マニュアルギアボックスは、より高出力な「M3 CS」が発生する巨大なトルクに対応していない。そのため、マニュアル仕様には「M3 CS」本来のフルパワーは与えられなかった。

つまり従来の「M3 CS」と比較すると出力面では後退している。しかし、その代わりに現代のスポーツセダンではますます希少になりつつあるものを手に入れた。それは、シフトレバーを自ら操作するダイレクトなドライビング体験である。

パワーは控えめになったが、その代わりに昔ながらのシフト操作を楽しめる。

走行性能の数値を見ても、このモデルが絶対的な速さを追求したクルマではないことが分かる。0-60mph(約97km/h)加速は4.1秒。最高速度は標準装備のM Driver’s Packageによって約290km/hに達する。確かに速い。しかしM部門のラインアップの中で最速というわけではない。このクルマの魅力は別の場所にある。

「マニュアル仕様」は最大34kgの軽量化を実現

BMWはこの特別仕様車に大幅な軽量化を施した。ルーフ、ボンネット、フロントスプリッター、エアインテーク、ドアミラーカバー、リアディフューザー、リアスポイラーはすべてカーボン製だ。インテリアにもCFRPが採用される。カーボン製バケットシート、鍛造ホイール、チタン製リアサイレンサーも装備。ブレーキ仕様によっては、標準のM3と比較して最大34kgの軽量化を実現している。

サスペンションにも手が加えられた。車高は6mm低められ、ステアリング、ダンパー、エンジン制御、トランスミッション制御には専用セッティングが与えられている。新設計のスプリング、新しいリアアクスルリンク、そしてすでにM4 CSLで採用されたダンパーを装着。フロントアクスルの剛性をさらに高めたいユーザー向けには、ストラットタワーバーもオプション設定される。

マニュアルトランスミッション仕様のM3 CSはエモーショナルな1台だ。

サーキット志向だが、日常性も失わない

インテリアも本格的なスポーツ仕様だ。Mカーボンバケットシートが標準装備されるほか、M Drive Professional、M Laptimer、Drift Analyzer、そして10段階調整式トラクションコントロールも搭載される。

しかし「M3 CS」マニュアルトランスミッション仕様は、日常使用を犠牲にした過激なサーキット専用車ではない。オートエアコン、ハーマン カードン(Harman Kardon)製サウンドシステム、パークディスタンスコントロール、主要な運転支援システムは標準装備。さらにオプションとして、ヘッドアップディスプレイや電動テールゲートを含む「Daily Driver Package」まで用意される。

おそらく最もエモーショナルなM3

総合的に見れば、この「M3」は歴代でも最も感情に訴えるモデルになるかもしれない。その理由は登場するタイミングにある。現行M3世代は間もなく生産終了を迎え、次の時代がすぐそこまで来ている。電動化されたM3、新しいプラットフォーム、さらなる電子制御技術、そしておそらくさらに減少するマニュアルトランスミッション。

そうした背景を考えると、M3 CS マニュアルトランスミッション仕様はBMWが純粋主義者たちへ贈る最後のプレゼントのようにも映る。ただし、その贈り物を受け取れるのはヨーロッパのファンではない。北米の顧客だけなのである。

Text: Kim-Sarah Biehl
Photo: BMW