1. ホーム
  2. 未分類
  3. 初テスト シトロエンë-C4 電動シトロエンの実力をテスト&チェック その評価は?

初テスト シトロエンë-C4 電動シトロエンの実力をテスト&チェック その評価は?

2021年3月3日

SUVのルックスを身にまとったセダンとして帰ってきた新型シトロエンC4 その電動モデルを初テストドライブ

電気駆動、SUVのタッチと魅力的なサイズで、新型シトロエンë-C4は大きく期待を高めている。果たして新型電動シトロエンの最初の実用テストでのパフォーマンスやいかに? 我々のテストが明らかにする。

理論的には、「シトロエンD ë-C4」は素晴らしいオールラウンダーになるはずだ。
スタイル的にも決して派手すぎず、かつ機能的でファミリー向けの構造を備えた電気自動車だからだ。
しかし、厳冬期では、EVが特に航続距離において高い要求を満たすことは容易ではなかった。

あえて冬の季節に「ë-C4」の航続距離を検証してみた。
予想通り2021年2月中旬の氷点下の気温は、シトロエンに大きな影響を与えた。
我々のテストカーは、マイナス3度の気温で充電性能と航続距離判定に耐えなければならなかったのだ。
その結果、本来なら350kmとされる最大航続距離は、「わずか」、192kmにまで落ち込んだ
これは本来の航続距離の55%程度でしかない。

34,640ユーロ(約450万円=補助金を含まず)からという価格設定の「シトロエンD ë-C4」は、価格面ではミッドレンジに属している。
ベースモデルの「ë-C4フィール」は、贅沢な装備は用意されていない。
トップモデルの「ë-C4シャイン」だけが、様々なマルチメディアパッケージと、電子デバイスのアシスタントなどの重要なシステムを備えている。
ただし、「ë-C4シャイン」には、少なくとも37,340ユーロ(約500万円)が必要となる。
スペースに関しては、コンパクトなシトロエンは、小型車クラスに属する。
室内はやや窮屈で、メルセデスやBMWのタイトな5ドアモデル(Aクラスと1シリーズ)でさえ、より広々としている。

寒冷地では、350kmという本来の航続距離が192kmにしかならない。

特にリアにスペースがあまり確保されていない。
「ë-C4」のフラットなルーフラインもまた、空間の広さに影響を与えている。
背の高い乗客には、後席は狭く感じるだろう。
大人5人を乗せると、「ë-C4」はたちまち過積載状態になってしまう。
1632kgの乾燥重量で368kgの牽引能力と性能も、コンパクトカーというよりは小型車クラスに近い。

ナイスなルックスだが、狭い。傾斜したルーフラインはC4にとても似合っているが、後部座席の乗客にとってはやや窮屈なスペースとなっている。

一方で、シトロエンの運転そのものは驚くほど快適だ。
サスペンションの反応が良く、大きな段差にも対応できるし、車が荒れたり揺れたりすることもない。
せいぜい、硬いタイヤがサイドウォールのカバーの端にぶつかるくらいだ。
同時に、車は非常に静かに走る。
時速100マイル(161km/h)までは、控えめなタイヤノイズだけが聞こえてくる。

運転時には典型的な電気自動車の感覚を得ることができるし、操作系の基本コンセプトは好感度の高いものだ。
多くの機能は中央の大きなタッチスクリーンを介して制御されており、デジタル好きでなければ慣れには若干の時間を要するものの、従来のボリュームコントロールと、エアコン用のスイッチは独立した直感的に使えるコントロールモジュールも備わっている。
センターコンソールのボタンを押すと、マルチメディアスクリーンにEモードに関連する情報が表示される。
エレガントなソリューションだ。
136馬力のエンジンは、必ずしも目を見張るようなパワーを発揮するわけではないものの、少なくとも右ペダルを踏み込んだときには、電気的な「パンチの効いた感じ」がする。
さらに、ボタンを押すだけで強力な回復レベルを設定することができ(減速効果がはっきりと目立つ)、これもEVとしての典型的なドライビングフィールを彷彿とさせる。

充実したマルチメディアパッケージと、死角アシストなどの最も重要なアシスタンスシステムが含まれているのは、トップモデルの「シャイン」だけだ。

我々のテスト期間中の電力消費量は、100kmあたり23.9kWhというものだった。
もちろん、氷点下では、暖房もメインバッテリーから電力を奪ってしまう。
50kWhのバッテリー(使用可能な正味容量が低い)から逆算すると、結果的には、「冬の航続距離」はわずかなものとなる。
「ë-C4」は急速充電器であれば、約30分で80%の容量まで充電することができるようになっていてかなり速いものの、家庭用コンセントでバッテリーを満タンにするには最悪の場合30時間以上かかる。
この性能は、現在のEVの水準からしてもかなり劣っていて不便だ。

典型的な電気自動車。エンジンはフルスロットルで十分なパンチを持っており、減速時に適切にリチャージされる。

結論:
クセや欠点のない快適なクルマだ。
しかし、「ë-C4」は、典型的な電気自動車としての問題(寒冷地での性能と充電の問題)を多く抱えている。
そして、バッテリーがかなり小さいため、航続距離も制限されている。
AUTO BILDテストスコア: 2-

本当にEVは発展途上というか、まだ本格的なモデルがようやく少し生まれ始めながらも、そこには解決しなくてはいけない部分が大量に存在する、そんなハードウェアのクルマである。さらに今買った自動車が数年後には性能的にもかなり劣った「昔の」クルマになってしまうことは明らかで、そういう観点から見た場合、個人的に今EVを選ぶということはかなりハードルが高い。
もちろんEVそのものを否定する気はないし、これからの世の中を考えた上で必要な存在であるということも、魅力的なクルマが出てくるはずであるという期待ももちろん持っている。
それでも今回のシトロエンのリポートを見ると、その航続距離にも、500万円という価格にも正直不安と決断をする勇気にはなれない、というのが正直なところである。数年後に下取り相場とか、バッテリーの寿命などもやはり気がかりだし、現時点ではつい、内燃機関のモデルを選んでしまうというのは利己主義すぎるだろうか?
真剣に内燃機関のモデルかEVかを同じ条件下で悩む時代、それは何年後のことになるのだろう?EV自動車の魅力を理解しながら、楽しみにそんな時を待ちたい。

Text: Jan Horn, Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD