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【唯一無二のテスタロッサ】フィアット元会長ジャンニ アニェッリのための「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」その驚きとは?全ての情報をレポート!

2026年5月11日

フェラーリ テスタロッサ スパイダー:ジャンニ アニェッリのための1台限りのモデル。フェラーリがソフトトップ付きのテスタロッサ スパイダーを製造したことだけでも、それだけでセンセーショナルな出来事だ。しかし、真の驚きは、その切り替え可能なクラッチペダルにある!

我々は、「アナンターラ コンコルソ ローマ(Anantara Concorso Roma)」に取材に訪れている。これは、イタリアの歴史が生み出した最高級で、最も希少かつ高価な自動車の数々が集う、エリート向けの美の祭典だ。100年にわたるプロトタイプ、レーシングカー、そして特別仕様のイタリア車が並ぶ。

それでも、我々はすぐにこの1986年式「フェラーリ テスタロッサ(Ferrari Testarossa Spider)」の周りに群がった。確かに、「テスタロッサ」は素晴らしい車だ。しかし、7,000台以上も生産されたこのモデルは、こうした貴重な名車たちの中にあって、まるで「VWゴルフ」のように平凡に見えてしまう。

1986年、ジャンニ アニェッリはこの1台限りの車を製作させた

しかし、その中のこの1台は、おそらくすべての「テスタロッサ」の中で最も特別な存在だ。それは「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」。1966年から1996年までフィアット グループの経営トップを務めたジャンニ アニェッリが、自ら製作を命じ、設計・製造された唯一の1台である。

フェラーリ テスタロッサ スパイダーでは、エンジンルームだけでなく、車内も効果的に換気される。

これは世界的に有名な車であり、普段は現在の所有者のガレージでしっかりと保護されている。しかし今日は、気温23度で日差しも強い中、「アナンターラ コンコルソ ローマ」に参加するため、外気に触れることになった。

アニェッリの会長就任20周年記念の贈り物

「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」が製作されたきっかけは、1986年にジャンニ アニェッリ(Gianni Agnelli)がフィアットグループの会長就任20周年を迎えたことだった。そこで贈り物が必要となった。しかし、贈られた相手が気に入らない贈り物もあるため、本人に選んでもらう方が無難だと周囲の人間は考えた。

そこでアニェッリは、エンジニアたちに「テスタロッサ クーペ」をロードスター(イタリアでは伝統的に「スパイダー」と呼ばれる)に改造するよう命じた。

電動式ソフトトップ

その結果、非常に魅力的ではあるものの、それほど驚くようなものではない車が誕生した。明るい色の布製ソフトトップは手動で開閉でき、その裏には固定式のハードトップが備わっている。唯一珍しいのは、シート後方に配置されたバーで、ルーフを閉じた後に電動で持ち上げられ、ソフトトップの生地を張る役割を果たす。

ルーフを閉じた状態では、テンションバーが立ち上がり、乗員の頭上にソフトトップを支える。ほぼ白に近い布製のソフトトップは、堅牢なカバーの下に収納されている。

クーペにするか、スパイダーにするか? それはアニェッリが自由に選べたのだ

しかし、「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」の真の見どころは、ほとんど目に見えないところにある: 5速マニュアルトランスミッションのクラッチは、通常は足で操作するが、希望すればクラッチをオートマチックモードに切り替えることができるのだ!

その仕組みはこうだ。ボタンを押すと、クラッチペダルが横にスイングし、電気機械式システムが自動的にクラッチの接続と切断を行う。このシステムはサプライヤーのヴァレオ社が開発した。

テスタロッサ スパイダーのコックピットは通常のテスタロッサとほぼ同じ。
後付けされたソフトトップの開閉スイッチ(丸で囲んだ部分)。
収納可能なクラッチペダル(左側)。

もちろん、この点を動画で紹介したかった。しかし、実際に車を確認した際、バッテリーが切れていた。ようやく「テスタロッサ スパイダー」が動き出した時には、すぐにローマ市内を走るツアーのスタート地点へ向かわなければならなかった。

『Classic & Sports Car』誌は出典を明記せずに、このシステムはもともとランチアのラリーカー向けに開発されたものだと報じている。

「テスタロッサ」にこのシステムが搭載された背景には、1950年代初頭の重大な交通事故以来、アニェッリが脚の痛みを抱えていたことがある。後に彼が手に入れた「フェラーリF40」にも同様のクラッチシステムが搭載されており、「フェラーリ モンディアル」のいくつかのモデルにも採用されていたようだ。

しかし、我々の知る限り、このシステムが量産車に採用されたことはない。クラッチを使いたい時と使いたくない時があるというニーズを持つターゲット層は、おそらくかなり限られているだろう。

エンジン:12気筒、4.9リッター、最低390馬力

この4.9リッター12気筒エンジンが、公称の390馬力なのか、それとも – 会長への気遣いとして – それより少し高い出力なのかは、記録に残っていない。

「テスタロッサ」は“赤い頭”を意味する。ここでは、180度のシリンダーバンク角を持つV12エンジンの2つの赤いシリンダーヘッドを指している。1984年のテスタロッサは、1957年のレーシングカー「フェラーリ250テスタロッサ」からその名を継承した。

特別に希望ナンバーがつけられた

この車は「アルジェント101/C」の色で塗装されており、装飾ストライプは「ブルー 3282」である。

特別仕様車の「スパイダー」では、フロントの乗員室周囲に青いコントラストストライプが施されている。フロントガラスのフレームは補強されている。
エアインテークのルーバーやピニンファリーナのロゴの下にも、青いストライプが走っている。

当時、イタリアでは希望ナンバーは本来禁止されていた。しかし、「真のイタリアの王」とも呼ばれたジャンニ アニェッリのために、登録局は例外を認めた。こうして、「フェラーリ テスタロッサ スパイダー」は「TO 00000G」というナンバープレートを手に入れたのである。

TOはトリノ(Torino)の略、Gはジャンニ(Gianni)の頭文字で、これはフィアット創業者ジョヴァンニ アニェッリ(Giovanni Agnelli)と同名の孫であるジョヴァンニ アニェッリを、祖父と区別するために“ジャンニ”と呼んでいたことに由来する。

価値:100万ユーロ(約1億9千万円)以上

このような有名な一点物の価値はどれくらいだろうか?2016年、このフェラーリ テスタロッサ スパイダーはアートキュリアルで120万ユーロ(約2億2,800万円)強で落札された。もし現在の所有者が今日これを売りに出したとしても、その金額より低くなることは決してありえないだろう。

Text: Frank B. Meyer
Photo: Thomas Starck / AUTO BILD