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【一騎打ち】ミニ カントリーマン メルセデスGLAに挑む プラグインハイブリッドSUV対決

2021年2月26日

比較テスト SUVミニ対SUVベンツ 果たしてミニはベンツに勝てるのだろうか?

ミニ対ベンツの比較テスト? 普通考えつかないだろうと思えるような取り合わせだ。しかしこういうのも斬新で面白い。プラグインハイブリッドで、ミニ カントリーマンはメルセデスGLAを打ち負かしたい?我々はメルセデスGLAと比較してみた。

トルクや燃費効率の問題だったら、一見するとディーゼルは勝てないだろう。
では、実際に燃焼エンジンよりもプラグインハイブリッドモデルのSUVのほうが良いと一言にいえるのだろうか?
その答えはそんなに単純なものではない。
PHEVのSUVは実際のところどうなのだろう?
我々はそれを新しい「ミニクーパーSEカントリーマン」と「メルセデスGLA 250e」の決闘を通してチェックする。

「ミニ」のバッテリーは「ベンツ」のものよりかなり小さい。
どちらもトランクのフロアにバッテリーを搭載しており、純粋な電力でSUVを強力に推進させるのに十分な容量を備えている。
しかし、「メルセデス」は「ミニ」よりも性能的には先を行く。
「GLA」の15.6kWhのバッテリーパックは、冬に電動モーターで約50kmの走行に十分なパワーを供給する。
一方で「ミニ」は純電動では28kmしか走れない。
そのバッテリーパックは大幅に小さく、エネルギー量は10kWhというものだ。
「ミニ」は、排気量1.5リッターの3気筒エンジンと従来型の6速オートマチックが電動モーターと連動する。
後者はリアアクスルにトルクを送り、ガソリンエンジンは前輪に連結されている。
メルセデスは、8速デュアルクラッチオートマチックを介して前輪にその力を送る1.33リッター4気筒と電動モーターを組み合わせている。
しかしどちらのSUVも、我々の実践的な消費テストでは、約束されたリッターあたり66.6kmという優れた平均燃費には程遠い数値だった。

ミニ カントリーマンは純電動で30km弱、メルセデスGLAは50kmを走行する。

SUVはどちらも燃料消費の面で期待はずれ

我々のテストを通しての平均燃費は、「メルセデス」はリッターあたり12.6km、ミニはリッターあたり12kmという数値だった。
これは正直、期待外れの性能だった。
さらに我々は、「ミニカントリーマン」が、トレーラーを牽引することが許可されていないという事実を実用的な欠点であると指摘する。
「ミニ」の響きの良い3気筒エンジンは電動モーターでアシストされ、スムーズな発進を実行する。
しかし「ミニ」は頭打ちになるのがはやく、高速道路ではすぐにその勢いを失う。
その面では「GLA」の方がはるかに力強く車体を引っ張る。
そして、「メルセデス」は、「ミニ」よりもはるかにガソリンエンジンと電気ユニットにハーモニーのとれたコンビネーションを実現している。

約束された1.5リッターの代わりに、メルセデスは7.9リッターを必要とする。そして、ミニの喉はさらに渇いている。

出力以上にイライラするのがドライビングノイズだ。「メルセデスGLA」はセンターコンソールの下で唸るような不快な排気音を奏でてしまう。
だが慰めとして、ベンツの他の部分は優れている。
車のチューニングは非常に安全で、ESPは非常に安全性重視に機能し(だがそれ以上に良くなることはない!)、サスペンションのチューニングも成功しており、ドライバーとパッセンジャーは心地よく旅を楽しむことができる。

メルセデスの価格の正当性は?

「ミニ」は、シートのサイドボルスターがタイトに配置されているためにシートが圧迫され、リアに乗り込むのはヨガの練習のようで、サスペンションはより敏感に反応してしまうため、悪路では短いストロークでドライバーと乗員の身体を揺さぶる。
そんな場面ではハンドリングもまた、より神経質に感じる。ステアリングと高いボディ構造と、ほぼ1.8トンにもなる重厚な質量はうまく調和していない。
したがって、「カントリーマン」は、最終的にはよりダイレクトなステアリングにもかかわらず、「GLA」ほど、正確にコントロールはできない。
そして、価格は?
「メルセデス」はこの分野では不利で、ベースモデルの「GLA」でさえ、「カントリーマン」よりも約7,000ユーロ(約90万円)高価だ。
しかし「メルセデス」の価格の高さは、より高いレベルのアシスト技術、高品質の快適機能、マルチメディア、ナビゲーション、通信技術などのパッケージによって補填されているともいえる。

高い。我々のテスト車、GLAのコストはなんと52,165ユーロ(約667万円)で、ミニはそれより10,000ユーロ(約128万円)以上安い。

例えば、「ミニ」は、「LEDライトexワークスをインストール」し、ヘッドアップディスプレイは、より大きなナビゲーションシステム(”プラス”と呼ばれる)と連動している。
「GLA」では、この2つのエクストラを合わせて約2,000ユーロ(約25万円)もの追加費用がかかる。
また、維持費や固定費の面でもミニの方がはるかに安い。

第2位 800満点中524点: ミニ クーパーSEカントリーマン
エンジン、トランスミッション、電動ユニットはうまく調和されている。室内はタイトで、地味。しかし、より安価。

第1位 800満点中549点: メルセデスGLA 250e
安全で快適、旅行に適している。ハンドリングは改善の余地あり。

結論:
ドライブユニット(駆動装置)がメルセデスの技術的なショーピースの一つとは言えないまでも、自動車としての「GLA」は成功している。
確かに、素晴らしい燃料消費性能を備えてはいないものの、「ミニ」はそれよりも様々な部分で劣る。
今回のテストでは、「GLA」は明らかな勝利だ。

「ミニ」と「ベンツ」を比較テストする、というのはなんとも不思議な気持ちになるが、言うまでもなくミニの中身はBMWなのだから、これはBMWとメルセデスベンツという、今までずっと繰り返されてきた比較テストと同じ、と考えられなくもない。
「Cクラス」と「3シリーズ」、あるいは「5シリーズ」と「Eクラス」、その比較テストは今まで延々と繰り返され、これからも継続されるであろう、鉄板のコンテンツである。であるならば、なぜ今回はメルセデスベンツGLAとBMW X1(あるいは、X2)を比較しなかったのかちょっと不思議だが、興味深いものではあるし、インパクトのある比較記事ではある。
結果的にミニはすべての面においてバランスよい、優等生的なメルセデスベンツGLAに負けてしまったが、これはやむを得ないような気もする。
なぜならばミニは本来明確なキャラクターを持った自動車だし、バランスよりもどこかにとがった特色や魅力を持った、ある種ニッチな世界の自動車であるべきだからで、そういう意味では、今回の比較テストはかわいそうな部分もある。
おそらくミニを購入する人にとっては、ミニが欲しいから買うのであり、実際に他の車と徹底的に比較して買うというクルマではないとも思う。そしてその場合には若干のウイークポイントには目をつぶってでも、スタイルのかわいさや内装の楽しさに賛同して購入するもので、本来一択で買うべき自動車なのだ。
なお本文では「メルセデスGLA」のほうが車輛価格もオプション価格も高価、と記されていたが、ミニの場合、無数に用意されたオプションを自分好みにチョイスして行くとアッと驚く価格に達していることが多い。そういうところもミニならではなの楽しさではあるのだけれど、購入する際にはしっかり財布のひもを締めた状態で臨んでほしい。

Text: Jan Horn, Berend Sanders
加筆: 大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD