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旧車天国? アメリカングラフィティ? キューバとクラシックカー

2020年7月8日

ヴィンテージカーは、葉巻、ラム酒、サルサのようにキューバの首都ハバナの人々の生活の一部となっている。今はまだ。この島国がゆっくりと現実に向かって向きを変え、新しい種類の車が輸入できるようになった今、美しきクラシックカーたちは観光アトラクション化しつつある。

小さな改革のたびに、キューバは資本主義へと戻りつつある。今では現代の車でさえ取引されている。対照的に、有名なクラシックカーの遺物は昔のままで残っている。 それらはそのクルマの所有者に多くのお金をもたらすので多くが生き残る。

今日、賢いキューバ人は旧い車を使ってお金を稼いでいる。なぜなら、観光客の多くがタクシーやアメリカのクールな古いクルーザーで旅するのに非常に熱心だからだ。

何十年もの間、フィデル カストロの起こしたキューバ社会主義は、少数の自動車を所有する市民にその旧いクルマを生かし続けることを余儀なくさせた。例えばこの郊外のワークショップでは、ほぼ70歳のシボレーがここで新しいエンジンを待っている。双竜(サンヨン)自動車で作られたエンジンが、そのシボレーの心臓として機能する。そして、それがもし合わなければ、フィットするように改良される。

多くのキューバ人はとても貧しく、彼らのアメ車の燃料を買う余裕はほとんどといってない。しかし、それでは彼らが錆びた爆撃機を売ることを考えるだろうか? 絶対にありえない!

なぜなら旧いストリートクルーザーこそがキューバの本当の通貨だからだ。彼らこそお金を稼ぐためのライセンスだ。高収入の観光客を巡る戦いが始まった。

ストリートの顔: ハバナ中心部の駐車場では、数十台のビンテージタクシーが観光客を待っている。
ほとんどのクルマは使い古され、つぎはぎをしている。オリジナリティは重要ではない。スチュードベーカーにモスクビッチ(ソビエト車)のエンジン? シェビーにラーダのリアアクスル? まったく問題ない。走ることができればそれでいいのだ。 
アメリカ製クラシックカーを存続させたい場合、すべての小さなスペアパーツ、最後の1個のネジまで貴重だ。何も捨てられない。
観光客としてキューバに来る人は誰でも、時間をかけて旅をしたいと思っている。したがって、アメリカ製ビンテージタクシーの運転手にとっては上客なのだ。
オペルレコルトP1(1959)を父親から受け継いだという64歳のドライバー。タクシーのマークはルーフにある。
目の前を通り過ぎるシボレー ベルエア(1954)。すべての色と形は今でもきれいなまま残っていて、ハバナの通りは文字通りクラシックカーファンにとっての天国だ。
これはビュイック スペシャル(1954)。キューバの役人の多くが腐敗しているため、すべてが剥ぎ取られたようなヴィンテージカーでさえ、定期的な技術検査をパスすることができる。
もう1台のビュイック スペシャル。こっちはもっと古く1950年モデルだ。そしてこれはクラシックカーラリーなんかじゃなく、都会の毎日の風景だ。
1956年のシボレー ベルエアである。今日、ますます多くのクラシックカーが韓国、中国、またはヨーロッパのモデルに取って代わられているは残念だ。
5分も経たないうちに別のシボレー ベルエアがやってきた。今度のは1957年モデルだ。誰一人としてキューバに何台のヴィンテージアメ車が現存しているのか知らない。しかし今後確実に減っていくことだけは間違いない。悲しいことだが。
ほとんどすべてのキューバ人は、まだ新しいエンジンをインストールしたり、シートメタルからスペアパーツを作成したりすることができる。たとえば、この1956年のフォード カントリー スクワイア エステートは、3分の1程度が外国部品で構成されている。
そして近くに寄って観察すれば、時の流れが見て取れる。
一方で、ボディカラーの塗り替え、ブラインドウィンドー、オリジナルではないアクセサリーを使用しても、オールディーズは素晴らしい眺めだ。
ラハバナデルエステのヤシの木の下でポーズをとるシボレー ベルエア(1956)。
実はボンネットの下には、トヨタ、いすゞ、日産のパーツがたくさん使われている。しかしそんなことはどうでもいい。ステアリングホイールはシボレー製だ。21世紀に作られたものだが…。
この島が繁栄と民主主義を手に入れることを願っているが、ヴィンテージカーたちは生き続けてほしい!

Text: Hauke Schrieber
Photo: M. Heimbach