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【徹底検証】同じベースを持つポルシェ タイカンとアウディe-tron GTは何がどう違うのか?

2021年2月23日

車好きにとっての興味深いテーマ: アウディ e-tron GTは、ただ単に「4つのリング」を備えたポルシェ タイカンなのか?

アウディ e-tron GTとポルシェ タイカンを比較。果たしてアウディ新型e-tron GTはベースモデルのポルシェ タイカンといったい何が違うのか?2台の電動スポーツカーの違いを徹底チェック!

アウディe-tron GT?

このEVのスポーツモデルはもうすでにポルシェにあるのでは?
その質問に「ノー!」と、インゴルシュタットとツフェンハウゼンのメーカーは同時に否定する。
そして、この2台は、デザイン、インテリア、チューニング、すべてが異なると反論する。
「タイカン」と「e-tron GT」が「PPE」電動プラットフォームを共有しているのは周知の事実だ。

同じベースは必然的に類似点をもたらすが、共通する部分は40%しかないため、その違いは2台の共通部分をはるかに上回る。
本格的なスポーツカーの代わりに長距離走行が「e-tron GT」の信条だ。
以下にそれらの特別な理由を解説していこう。

e-tron GTは、タイカンよりも厳つく見える。アウディの特徴としてのシングルフレームエレメントを備え持つ。
ディフューザーはクラッドアンダーボディの端を形成し、ダウンフォースを増加させている。

視覚的にはタイカンよりも未来的ではない

まずはボディから。
もちろん、同じホイールベースで似たようなプロポーションは避けられない。
しかし、「e-tron GT」が、単純に「タイカン」のフロントガラス以外のものも流用すると思っていただろうか?
だが予想に反して、それ以外のすべては新しくなり、アウディをよりかさばった分厚いモデルに見せている。
フロントは、より重厚感があり、ブランド特有のシングルフレームの要素を身に着けている。
そしてフェンダーに施されたビーズ模様が、より印象的なイメージを与えている。
また、厚みのあるディフューザーと印象的なライトを備えたリアエンドは、「タイカン」よりも迫力がある。
一方で、「タイカン」は、より未来的な印象を備えている。
電動で延長可能なドアハンドルやオプションのオートマチックテールゲートなどのハイテク機能が、このことを強調している。
アウディでは、ドアはクラシックな弓形のハンドルで開き、テールゲートはしっかりと押すことで開くようになっている。
オーソドックスな外観は、インテリアにも引き継がれている。
ポルシェには最大4つのスクリーンが用意されている。
デジタルコックピット用に1つ、助手席用にオプションで1つ、センターコンソールに2つだ。
センターコンソールにはクラシックなギアセレクターレバーがなく、吹き出し口の風向きはインフォテインメントで制御される。
どちらもアウディではまだ手動での操作が可能で、センタートンネルにあるセカンドスクリーンの代わりに、ここにボタンが備わっている。
代わりに、「e-tron GT」のコックピットはドライバーに向かって傾斜している。
どちらもスポーティなグラントゥーリズモとしてのデザインを示すものだ。

e-tron GTのコックピットはドライバー重視で、助手席にはオプションでもモニターは用意されていない。

アウディは長距離走行に焦点を当てる

この部分こそ「e-tron GT」と「タイカン」との大きな違いとなる。
4ドアと電気駆動であっても、「タイカン」はまずなによりもポルシェだ。
ベースとなるモデルでさえ、スポーティで張りがあり、ロールスタビライザー、全輪ステアリング、スポーツクロノパッケージなど、あらゆる種類のダイナミックなエクストラが装備されている。
一方で「e-tron GT」は、ややスポーティさには欠けるものの、より長距離の走行に向いている。
「タイカン」同様、ダイナミックではあるが、決して快適さを犠牲にしているわけではない。
「e-tron GT」のベースモデルのホイールは18インチだが、「タイカン」は19インチからとなっている。

1年先にデビューしたにもかかわらず、ポルシェはアウディよりも未来的に見える。

タイカンよりも長い航続距離

最後に、「PPE」プラットフォームについて一言。
それは両車に洗練された熱管理システム、800ボルトのオンボード電圧を提供し、最大270キロワットでの充電を可能にする。
「タイカン」には79kWhの小型バッテリーも用意されているが、これはおそらく「e-tron GT」にも搭載されるだろう。
ただし、性能の数値はやや異なる。
「タイカン」は現在、「タイカン」、「4S」、「ターボ」、そして「ターボS」の4つのバージョンが用意されている。
「e-tron GT」のベースモデルの出力は390kW(530馬力)で、「タイカン4S」と同等の出力を発揮する。
ただし、航続距離は「タイカン」よりも約80km長い488kmとなっている。

RSモデルは475kW(646馬力)を発生し、航続距離は474kmと30kmほど伸びている。
加速の代わりに長い距離という考えだ。
しかし、バッテリーの小型化と合わせて、「e-tron GT」も近い将来、より小さな出力モデルが用意されるはずだ。
「アウディe-tron GT」の市場導入は2021年5月で、ベース価格は少なくとも99,800ユーロ(約1,277万円)とされている。
一方で、同等モデルの「ポルシェ タイカン4S」は106,487ユーロ(約1,363万円)という価格だ。
いずれにしろ、どちらも高価なことだけは確かだ。

Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD
Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD

アウディとポルシェが親戚関係であるということは、自動車に興味のある人間にとってみれば、いまさら解説の必要などないような事実である。もちろん本家フォルクスワーゲンも入れれば、この3つのメーカーは技術などを共用化しながらも、ブランディングを明確にすることで現在の存在を形成したということは明確である。
それがEVとなった現在でも、クルマとしての性格において差異があるのかどうか、というのが今回の注目ポイントなのだが、どうやら心配するまでもなく、その区別は明確になされているらしい。
形はもちろんのこと、走行性能やドライバビリティーにおいてどれほどの違いがあるのか、だれもがその部分は気になることだろうと思う。パワーユニットが内燃機関ではなく、EVとなっても決して似通ったものにはならず、異なる性格となるということが今回の比較では明らかにされている。そしてそんな記事を読むと、EVの世界でも、自動車の味付けや走行性能を、設計者に明確な意図があれば作り分けることができるという点に妙に安心してしまうのである。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: AUTO BILD montage
Audi e-tron GT/ Audi AG
Porsche Taycan / Porsche AG