BMW M135とVWゴルフRの一騎打ち スポーツチューニングが施されたM135はゴルフRに打ち勝つことができるか?
2026年4月21日
BMWはM135にスポーツサスペンションや大型ブレーキを含むテクノロジーパッケージを投入した。これにより、ミュンヘン勢はVWゴルフRに追いつくことができるのだろうか?
今回もまた、過去への郷愁を避けることはできない。後輪駆動の「M135i」がもたらしたドライビングプレジャーの記憶はあまりにも鮮烈だ。F20型が後継モデルに落とした影はあまりに大きい。まさに唯一無二の1シリーズだったと言える。
スニーカーのようなデザインに見合うように、BMWはいたずら心を誘うドライビングフィールを与えていた。ワインディングでの奔放な走りや、濡れたラウンドアバウトでの遊びなど、クラッチやアクセルを軽く操作するだけでリアが流れ出す。「M135i」はBMWファンが愛する遊び心ある走りを体現していた。アウトバーンでも同様で、強力な直6エンジンはスポーツカーにさえプレッシャーを与えた。

しかし2019年、その自由なドライビング特性は突然終焉を迎える。F40世代からBMWは前輪駆動プラットフォームを採用し、直列6気筒エンジンは1シリーズから姿を消した。このエンジンは現在、M2クーペにのみ搭載される。一方、4気筒+オンデマンド4WDとなった「M135」は、「アウディS3」や「VWゴルフR」と真っ向勝負する存在へと変わった。多くのファンにとっては苦い転換だった。
従来の気軽なドライビングは失われ、F40はアンダーステア傾向と後輪の存在感の薄さに悩まされた。この特性はフェイスリフト後の「M135(F70)」でも基本的に変わらない。しかし、3,950ユーロ(約73万円)のMテクニックパッケージが新たな希望として登場する。ハンドリングとコーナリング性能の向上が狙いだ。
| BMW M135 xDrive | VW ゴルフ R | |
| エンジン | 直列4気筒ターボ | 直列4気筒ターボ |
| 排気量 | 1998cc | 1984cc |
| 最高出力 | 221kW (300hp)/5750-6500rpm | 245kW (333hp)/5600-6500rpm |
| 最大トルク | 400Nm/2000-4500rpm | 420Nm/2100-5500rpm |
| トランスミッション | 7速DCT | 7速DCT |
| 駆動 | 全輪駆動 | 全輪駆動 |
| 全長/全幅/全高 | 4361/1800/1459mm | 4296/1789/1454mm |
| ホイールベース | 2670mm | 2639mm |
| 燃料タンク/トランク容量 | 49/380-1200L | 55/341-1197L |
| 燃費 | 12.8km/L | 12km/L |
| 価格 | 62,050ユーロ(約1,148万円) | 63,280ユーロ(約1,170万円) |
テクノロジー強化で巻き返しなるか
スポーツパッケージには、ボディ剛性強化と軽量化、フロントダンパーのピストンロッド変更、高剛性アルミスタビライザー、アンダーボディ補強が含まれる。さらにステアリングと制御系が再調整され、機械式LSDが標準装備される。
軽量化のためにMコンパウンドブレーキと鍛造ホイールを採用し、オプションでサーキット向けタイヤも装着可能だ。特にザクセンリンクでのゴルフRとの再戦では、このタイヤが重要になる。

一方のフォルクスワーゲンも負けてはいない。セミスリックタイヤとRパフォーマンスパッケージを装備し、最高速度は270km/hへ引き上げられる。さらに「スペシャル」や「ドリフト」モード、15段階調整式アダプティブダンパー、リアのトルクベクタリングを備える。ノルドシュライフェ専用セットアップまで用意されている。
インテリア:VWは直感的、BMWは不満
ゴルフはドライビング設定を直感的に操作できるが、BMWのインテリアには失望が残る。操作性の高いパドルシフト以外、「M」を感じさせる要素が乏しい。スポーツボタンすらなく、性能設定はmyModes内に隠されている。
表示には「サイレント」や「リラックス」などのモードが並び、スポーツモードは場違いな存在のようだ。ステアリングや駆動、ESPなどは調整可能だが、サスペンションは常に硬め固定。サーキットでは問題ないが、日常では小さな凹凸でも跳ね続け、快適性に欠ける。

エンジンは高回転まで回るが、3000rpm以上では単調なノイズが目立つ。発進加速は良好だが、コーナー進入時のパドル操作では期待通りのシフトダウンが得られない場合がある。
走り:ゴルフRが優位
ステアリングは応答性こそ高いが情報量に乏しく、フロントのグリップ限界も掴みにくい。xDriveはリアへのトルク配分が控えめで、限界領域でしか効果が感じられない。
一方で「ゴルフR」は、乗った瞬間から自然に馴染む。かつてのポルシェ開発陣の影響もあり、日常車をスポーツカーへと昇華させる完成度を持つ。すべてをスポーツ設定に切り替えれば、初心者でもすぐにスポーツドライビングを楽しむことができる。

コーナリングでは荷重移動を活かしてリアを軽く流し、その状態を維持しながらトルクベクタリングで外側後輪へ駆動を配分。穏やかな四輪スライドを伴う走りは非常に魅力的だ。
エンジン:ゴルフの方が鋭い
ゴルフRは発進時こそ荒々しいが、加速はBMWより速い。アンチラグ機能によりレスポンスも向上。7速DSGはパドル操作への反応が鋭く、減速時のシフトダウンも直感的だ。

サウンドは攻撃的ながらも控えめになり、アクラポヴィッチ製チタンエキゾーストは視覚的な要素が強くなった。
ザクセンリンクでは猛暑の影響で両車ともタイムは伸び悩んだが、それでもゴルフRは1.2秒リード。ハンドリングと最高速で優位に立った。ただしブリヂストンのセミスリックタイヤは消耗が激しかった。
M135はカップタイヤ装着で安定性が増し、主観的にはゴルフに近づいた印象を受けるが、Mスポーツパッケージによる劇的な性能向上は見られない。
| カテゴリー | 最高得点 | VWゴルフR | BMW M135 xDrive |
| 駆動システム | 60 | 37 | 33 |
| ブレーキ | 40 | 30 | 28 |
| シャシー | 60 | 40 | 30 |
| ステアリング | 40 | 28 | 22 |
| ラップタイム | 50 | 25 | 25 |
| エモーション | 50 | 34 | 25 |
| 日常性能 | 50 | 37 | 33 |
| コスト | 50 | 34 | 34 |
| 総合得点 | 400 | 265 | 230 |
結論:
BMWは理論上、複数周回でも性能を維持できるポテンシャルを持つ。しかし実際にはサスペンションの硬さによる快適性の低さがネックとなる。一方でゴルフRは柔らかいダンパーで路面をいなしながら、より速いラップタイムを記録した。
Text: Guido Komp
Photo: Toni Bader

