F1の技術を市販車へ 「SHELL HELIX ULTRA」日本導入を鈴鹿で発表
2026年3月31日
2026年3月26日、F1日本グランプリが開催される鈴鹿サーキットで、日本のメディア向けに自動車用エンジンオイル新製品「SHELL HELIX ULTRA」の発表会が行われた。
シェルは潤滑油分野で19年連続世界トップの供給量を誇るとされており、「SHELL HELIX」ブランドも乗用車用エンジンオイル市場で主力製品として位置付けられている。今回の新製品はAPI SQ規格および欧州の自動車メーカーの認証をパスした化学合成エンジンオイルとして投入され、日本市場でのブランド強化を狙うものだ。

会場では、グローバルルブリカンツマーケティング コンシューマー・ロード部門でジェネラル・マネージャーを務めるシャニアン・チェン氏が、世界各地域で展開してきたブランド刷新の流れを説明した。新しいパッケージデザインを導入した「SHELL HELIX ULTRA」を日本市場で展開することで、製品力とブランド認知の双方を高める狙いだとした。またフェラーリとの長年の技術協力を背景に、「レースで証明され、公道の準備は整った」というコンセプトで展開することも強調された。

「SHELL HELIX ULTRA」は、天然ガスから生成したGTL(Gas To Liquid)ベースオイルを採用することで、従来品に対して性能向上を図っている。高温環境下での粘度上昇は従来のSP規格オイルと比較して約70%抑制されるとされ、酸化劣化による性能低下を大幅に低減する。これによりオイルそのものの寿命が延び、長期間にわたり安定した潤滑性能を維持できるという。

また直噴ガソリンターボエンジンで問題となるLSPI(低速早期着火)についても、従来規格オイルと比較して発生を約8分の1まで低減したと説明された。これによりノッキングやエンジン損傷のリスクを抑え、長期的なエンジン保護性能の向上につながるとしている。さらに耐摩耗性能についても、インテークリフターの摩耗試験では従来オイル比で半分以下に抑制する結果が示され、エンジン部品の寿命延長に寄与するという。
低温時の性能も改善されており、低温粘度は従来品比で約30%低減された。これにより寒冷時の始動直後でもオイルが素早く循環し、エンジンレスポンス向上や摩耗低減に貢献する。これらの性能向上により、エンジン保護性能の強化だけでなく、オイル交換までの性能安定性や長寿命化も実現したと説明された。

ラインナップは日本市場の低粘度化トレンドに合わせ、「0W-16」を新たに追加。「0W-20」「5W-40」は最新規格に対応し、「0W-30」「5W-30」は既存ユーザー向けに継続販売とする。日本市場では省燃費志向の低粘度オイルの需要が増加しており、同製品はその流れに対応した構成となっている。
日本市場における販売戦略について、シェル・ルブリカンツ・ジャパンは販路拡大を重要課題として挙げた。かつてはシェルブランドのサービスステーションでの販売が中心だったが、再編により国内のガソリンスタンド網がなくなったことから、カー用品店や整備工場ネットワーク「シェルピット」の拡充を進めている。オートバックスやイエローハットなどの量販店での展開を強化するとともに、整備工場への技術教育やブランド支援を行い、販売網を広げる方針だ。

同社によると、日本の潤滑油市場におけるシェアは約21%で、乗用車用エンジンオイルに限ると10%台前半にとどまるという。今後はShell Helixをフラッグシップブランドとして位置づけ、2030年に向けて認知向上と販売拡大を進める考えだ。またフェラーリとの技術パートナーシップや天然ガス由来ベースオイルといった独自技術を訴求し、プレミアムオイル市場での存在感を高めるとしている。

今回投入された「SHELL HELIX ULTRA」は、こうした戦略を象徴する製品であり、日本市場でのブランド再構築と販路拡大に弾みをつけることが期待される。
TEXT:生方 聡
PHOTO:シェル・ルブリカンツ・ジャパン、生方 聡

