国家権力者の移動式防護シェルター「メルセデス・ベンツ S 680 ガード」登場!
2026年3月20日
防弾仕様で612馬力、しかもV12エンジン搭載―新型メルセデス・ベンツ S 680 Guardは“走るバンカー”とも言えるパワフルな装甲リムジンであり、近いうちにフリードリヒ メルツ(Friedrich Merz)首相のような要人の護衛任務に就く可能性が高い。
国家元首や政府高官、その他特に危険にさらされやすい人物のために、メルセデスは新型「S 680 ガード(Guard)」を用意した。この装甲ラグジュアリーセダンは、フェイスリフトを受けた最新のSクラスをベースにしており、“走る要塞”に求められるすべてを備える。その中には、メルセデスのラインナップに残る最後のV12エンジンも含まれる。
安全性こそ最優先事項
現行世代の通常のSクラスが主に最新エンジンや運転支援システム、快適装備に重点を置いているのに対し、「ガード(Guard)」仕様は安全性を最優先に徹底設計されている。乗員セル全体はVR10規格―民間向け装甲車として最高レベルの防護等級―を満たす。具体的には、防弾ガラスと特殊鋼により銃撃や一定レベルの爆発にも耐えることができる。
さらに、緊急用の新鮮空気供給システムや、エンジンルームおよび車体下部に対する自動消火装置も装備可能な安全プログラムの一部となっている。統合通信システムにより、ドアや窓が開かない状況でも車外の人物と会話が可能だ。加えて、特別なミシュラン製ランフラットタイヤにより、タイヤが損傷しても最大約30kmの走行が可能となっている。

「ガード(Guard)」が単に”窓を厚くしたSクラス”ではないことは、その重量からも明らかだ。このセキュリティ車両は約4.2トンと、標準モデルより約1.5トン重い。大幅に重量が増したドアは電動アシストにより開閉の負担を軽減し、油圧式ウインドウレギュレーターによって電気系統が故障した場合でも窓の操作が可能となっている。
V12は健在
通常のSクラスが直列6気筒やV8、あるいはプラグインハイブリッドを採用しているのに対し、「ガード(Guard)」には6.0リッターV12ビターボエンジンが搭載される。この12気筒ユニットは約612馬力を発揮し、最大トルクは830Nmに達する。標準装備の四輪駆動と組み合わせることで、4.2トンのリムジンを余裕で加速させる。
最高速度は電子制御により210km/hに制限されているが、このクラスの装甲車においては、それ以上の要素のほうがはるかに重要である。
近年、多くのメーカーがV12エンジンを廃止している中で、このエンジンが今なお存在していること自体が驚きと言える。メルセデスはこれを存続させているが、それはあくまで限られた特別モデル向けであり、誰もが手にできるものではない―キーワードはメルセデス・マイバッハ(Mercedes-Maybach)だ。
メルツ首相とその警護隊が、車両更新後にはこの新型「メルセデス・ベンツ S 680 ガード」で移動するようになる可能性は高い。
Text: Nele Klein
Photo: Mercedes Benz AG

