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これぞレストモッドの王道 この「ポルシェ 911(964)」はオーナーの意向と職人のセンスが融合してレストア&モディファイされた希少な1台だ!

2026年3月23日

ブレーメン クラシック モーターショーに出展されたチューニングポルシェ964「ホルヘ(Jorge)」。中古の911が30万ユーロ(約5,550万円)の宝石に。この1991年式ポルシェ911(964)は、オーナーの意向をハンブルクの企業がレストア、モディファイして理想の1台に仕立てた。

その外観は、あまりにも目立たないものだったため、誰も気に留めることはなかったようだ。スペインで悲しい中古車として放置されていた、964シリーズの「ポルシェ 911」。走行距離は20万km、塗装はくすんでおり、右後輪のホイールアーチはへこみ、シールは脆くなっていた。

しかし、2026年の「ブレーメン クラシック モーターショー」で、この車は新たな人生を始めた。これまで以上に美しく、手入れの行き届いた、30万ユーロ(約5,550万円)の価値のあるこの車は、2月1日(日)までスポットライトを浴びて展示されていた。

ハンブルクの実業家であるオーナーは、カスタムメイドの「ポルシェ 911(964)」を望んでいた。完全にレストアされ、より高性能で、自分の好みに合ったカラーコンビネーションの、南チロルの別荘用の車だ。サーキット用のレースカーではないが、できるだけスポーティに仕上げたい、できれば車高は低くしたいと望んでいた。同時に、南チロルの道路事情や、とりわけ地下駐車場に対応するために、ある程度の最低地上高も必要だった。

オーナーは、ハンブルクのDavid Finest Sports Cars (DFSC)社に相談した。社長のベンジャミン デイヴィッド(Benjamin David)氏率いるチームは、サスペンションの問題を解決するアイデアを思いついた。詳細は後述する。

このポルシェ 911には「ホルヘ」というニックネームが付けられた

ハンブルクのワークショップのスタッフたちは、スペインの旗が足元に飾られたこのスリムなポルシェに、スペインのアクセントで話しかけたに違いない。「Germany’s next Topmodel」やBILD広告キャンペーン「Kauf kein Kack」で知られるホルヘ ゴンサレス(Jorge González)のように。そこで彼らは、この車をホルヘ(発音は「チョルチェ」)と名付けることにした。

ワークショップはなぜもっとまともな964をベースに選ばなかったのか

なぜ、ワークショップは、レストアのベースとして、古く乾ききったこの個体を選んだのだろうか?

研磨されたボディのポルシェ911(964)には新しいBBSホイールが取り付けられている。

まず、ボディにはほとんど錆が見られなかった。ポルシェに対する固定観念とは裏腹に、これは当然のことではない。第二に、この車両にはサンルーフが装備されていない。その利点としては、重心が低くなり、水漏れやガタつき、風切り音などのトラブルが少なくなることが挙げられる。第三に、保管状況が良くなかった。だが、この車両は大規模な修復が予定されているため、ゴム部品はいずれにせよ交換され、内装も張り替えられる予定だったので、むしろ好都合だった。

我々が話しているポルシェ964とは?

ベースとなる車は、「ポルシェ911(964)カレラ2」、つまり四輪駆動ではなく、マニュアルトランスミッションのクーペだ。964の中で最も機敏なモデルだ。製造年は1991年。排気量は3.6リッター、250馬力、310Nmのトルク、最高速度は260km/hだ。

David Finest Sports Cars社のワークショップでは、まず分解し、ボディの塗装を剥がし、小さな錆の損傷を修復し、右後輪のホイールアーチにできた小さなへこみを修理した。

シャシーの秘密

まず、DFSC社のチームは、まだ修復されていない「911」のリヤに、特別な工夫を施した新しいリヤアクスルを取り付けた。

では、俊敏性と最低地上高という相反する要求を、ポルシェの専門家たちはどのように解決したのだろうか?―それは、高さ調整式のリアアクスルによってである。

フロントスポイラーがアスファルトに擦れそうな車両には、リフトキットが用意されている。通常は油圧で作動するフロントアクスルの機構で、ボタンひとつで前部をわずかに持ち上げ、障害物をクリアできるようにするものだ。DFSCは、このポルシェ964の前後のアクスルにそのようなシステムを組み込んだのである。

新しく塗装されたボディに、調整可能なショックアブソーバーが取り付けられた。
…そして、リフレッシュ(再生)されたリアアクスルのトレーリングアーム。

メーカーKWのシステム、「HLS 4」を採用し、ショックアブソーバーに作用して最低地上高を最大45mm増加させた。これにより、オーナーは、ローダウンした「964」でカーブを高速で駆け抜けることができると同時に、地下駐車場のスロープで車体を接触させることもない。

フロントアクスルも新品のように見える。

6気筒ボクサーエンジン用のクラシックなチューニング

ここで外部の専門家たちが登場する。ボディは塗装業者であるHaka社に、空冷式ボクサーエンジンはエンジン整備業者のマティアス ホーイング氏(Hoeing AutosportおよびRaue Classics)にそれぞれ送られた。

ピストンとシリンダー(右上)は新品に交換され、バルブ、スポーツバルブスプリング、ロッカーアームの軸(右)も同様に交換された。ロッカーアーム自体(右下)と2バルブシリンダーヘッド(左)は再加工された。

ホーイング氏はエンジンを分解し、最終的にはブロック、クランクシャフト(寸法はそのまま)、シリンダーヘッド、ロッカーアームだけを残した。また、タイミングチェーンケースも再加工した。新品の部品は1個あたり1,500ユーロ(約28万円)もするからだ。

再調整が不可能な部品は、新品と交換した。例えば、ピストンとシリンダー、ブッシュ、タイミングチェーンなどだ。

エンジンにはどのようなチューニングが施されたのだろうか?

よりアグレッシブなカムシャフトにより、バルブのリフト量は増し、開弁時間も長くなる。吸気バルブは標準パーツよりわずかに大径化されている。ホーイング氏はシリンダーヘッドにも手を加え、たとえばバルブシートリングの輪郭を変更した―これによって性能が向上すると彼は述べている。

これらの対策の目標は、従来の250馬力から300馬力程度への向上だ。テストベンチでエンジンを穏やかに慣らし運転する必要があるが、道路に凍結防止の塩が散らばっているため、まずはそれがなくなるのを待つ必要がある。

ポルシェ964の塗装

Hakan Karadiken 氏の会社Hakaは、車体の空洞部分までブラスト処理と塗装を行った。ポルシェ通は、ダークグリーンのメタリック塗装を見て「フェリー ポルシェの車みたい!」と歓声をあげた。フェリー ポルシェは、所有するポルシェのすべてに、オークグリーンメタリックの塗装を施していたからだ。

塗装を新たに施されたボディワーク。ここで印象的なのは、ポルシェ964シリーズが依然として先代のポルシェ911 Gモデルによく似ているという点だ。グリーンの色味は…。
…「ジェットグリーン」と呼ばれるこのカラーには、比較的大きめのメタルフレーク―すなわちメタリック効果を生み出す顔料―が含まれている。

だが、「ホルヘ」はジェットグリーンメタリックだ。この色調は、2009年に「ポルシェ パナメーラ」で初めて導入されたものだ。したがって、歴史的には正確ではないが、それに気づく人はいるだろうか?