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【JAIA試乗会】「フィアット 600 ハイブリット vs アルファロメオ ジュニア イブリダ」同じパワートレーンを持つ2台のイタリアンSUVを比較テスト!

2026年3月12日

欧州メーカーのBEVシフトが行き詰まりを見せるなか、日本に導入された2台のイタリア製コンパクトSUV、フィアット 600 ハイブリット ラプリマとアルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム。両車は同じパワーユニットとプラットフォームを共有する兄弟車でもある。だが、実際に走らせるとそのキャラクターは驚くほど異なる。JAIA試乗会で、その違いを確かめた。

SUVが登場した当初、主流だったのはミドルクラス以上のモデルだった。しかし現在では、スタイリングの魅力や運転のしやすさなどから、コンパクトSUVが世界的な人気を集めている。各メーカーが続々と新型モデルを投入し、このセグメントはまさに激戦区となった。

日本でも状況は同じだ。国内の道路環境に適したコンパクトSUVは人気が高く、トヨタ ヤリスクロスを筆頭に多くのモデルが市場を賑わせている。

コンパクトSUV激戦区に現れたイタリアの兄弟モデル

そんな中、昨年イタリアから2台のコンパクトSUVが日本市場に投入された。「フィアット 600 ハイブリット ラプリマ」と「アルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム」である。イタリア車ファンにとっては歓迎すべきニュースと言えるだろう。

背景には欧州自動車業界の大きな潮流の変化がある。ここ数年、急速に進められてきたBEVシフトはやや減速し、各メーカーは戦略の見直しを迫られている。フィアットとアルファロメオを擁するステランティスグループも例外ではなく、ハイブリッドやプラグインハイブリッドの導入を急速に進めている。

両車に搭載されるハイブリッドシステムは、その戦略の中心となるパワートレーンだ。ベースとなるのは旧PSAグループ時代にプジョー308などに搭載されていたエンジンだが、40%以上の部品が新設計されるなど大幅な改良が施されている。

1.2リッター直列3気筒直噴ターボは最高出力136PS、最大トルク230Nmを発生。これに最高出力22PS、最大トルク51Nmのモーターが組み合わされ、6速デュアルクラッチトランスミッションに統合されている。システム総出力は145PSで、前輪を駆動する。

ボディサイズはフィアット600が全長4,200mm、全幅1,780mm、全高1,595mm。アルファロメオ・ジュニアは全長4,195mm、全幅1,780mm、全高1,585mmとほぼ同等である。

さらに両車はプラットフォームも共有しており、ホイールベースはともに2,560mmだ。

参考までに、日本で人気のコンパクトSUVであるトヨタ ヤリスクロスは全長4,180mm、全幅1,765mm、全高1,590mm。つまり今回の2台は、日本のコンパクトSUVとほぼ同サイズと考えてよい。

同じパワートレーンとプラットフォームを共有する2台が、いかにブランドごとの個性を表現しているのか。そこが今回の比較テストの焦点だ。

フィアットはハイブリッドでもフィアットだった

まず試乗したのは「フィアット 600 ハイブリット ラプリマ」だ。このモデルは2024年にまずBEV版の600eが導入されたが、電気自動車ということもあり、日本では大きな注目を集めるには至らなかった。そして昨年、待望のハイブリッドモデルとしてこの「フィアット 600 ハイブリット」が投入された。

フィアット500を思わせる丸みを帯びたデザイン。日本の公道でも個性は際立つ。

インテリアは「500e」や「600e」とほぼ共通で、シンプルながらイタリア車らしい洒落た雰囲気を持つ。シートにあしらわれたFIATロゴも、このクルマのキャラクターをうまく表現している。

フィアット600のインテリアは、シンプルかつお洒落でリラックスして休めるような雰囲気になっている。

エンジンを始動すると、3気筒らしい乾いた排気音が響く。ハイブリッド化され、エンジンもグループ共通となったにもかかわらず、その音にはどこか昔ながらのフィアットらしさが残っている。

アクセルを踏み込むとモーターのアシストが効き、車重1,330kgのボディは軽快に加速する。低速トルク重視の味付けで、モーターの介入も自然だ。まるで従来のフィアットのICEモデルのようなフィーリングに仕上げられている。

今回の試乗では高速道路を十分に試す時間はなかったが、ワインディングロードではその性格がよく分かった。

フィアット600のタイアサイズは215/55R18となる。ホイールのデザインが個性的で、この車のキャラクターを引き立てている。

軽やかなハンドリングと適度なロールを伴うコーナリングは、いかにもフィアットらしいもの。スポーティというより、軽快で親しみやすい走りだ。

リアシートは決して広大ではないものの、日常使いには十分なスペースを確保する。ラゲッジスペースも実用的で、ファミリーカーとしても十分に機能するだろう。

リアデザインも500系の流れを感じさせるもの。後方視界も比較的良好だ。

ジュニアは明確に“アルファロメオ”

続いて「アルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム」に試乗する。このモデルは当初「ミラノ」という名称で発表されたが、紆余曲折を経て「ジュニア」に改名されたことでも話題となった。

ドライバーズシートに座ると、メーターパネルなどはアルファロメオの伝統的デザインを現代風にアレンジしたもの。ブランドのアイデンティティを強く意識したインテリアだ。

今回試乗したアルファロメオ・ジュニアは赤いボディと個性的なデザインで日本の公道では、目立つし、カッコいい。

ハイブリッドであるため、往年のアルファロメオ特有のエンジンサウンドは期待できない。それでもアクセルを踏み込むと、モーターのアシストによって低速から十分なトルクが立ち上がり、扱いやすさは高い。

アルファロメオ・ジュニアのメーターパネル等アルファロメオらしさが演出されていて、スポーツドライビングの雰囲気が漂う。

しかしワインディングに入ると、フィアット600との違いは明確だ。足回りは明らかに硬めで、ハンドリングもシャープ。コンパクトSUVでありながら、アルファロメオらしいスポーティな性格を持つ。かつての「アルファロメオ ミト」を思い出させるようなフィーリングだ。

ただし今回の試乗車では、ブレーキの初期制動がやや弱く感じられた。回生ブレーキの制御によるものかもしれないが、この点は改善の余地があるように思える。

アルファロメオ・ジュニアもフィアット600と同じサイズの215/55R18となる。ホイールもアルファロメオらしいデザインになっている。

室内空間はデザイン重視の影響もあり、フィアット600よりややタイトに感じる。ウインドウも小さめで、体感的にはひと回りコンパクトなクルマのようだ。

リアシートやラゲッジスペースもやや狭く、ファミリー用途よりも都市生活を楽しむカップル向けのキャラクターと言えるかもしれない。

リアウインドウは大きく寝かされ、非常にスポーティなシルエット。ただし後方視界はやや限定的だ。

結論:選ぶ基準はライフスタイル

価格は「フィアット 600 ハイブリット ラプリマ」が434万円から。「アルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム」は483万円からで、約50万円の差がある。

興味深いのは、同じハイブリッドパワートレーンを共有しながら、両車のキャラクターがしっかりと作り分けられていることだ。フィアットは親しみやすさと実用性、アルファロメオはスポーティさとデザイン性を前面に押し出している。どちらを選ぶかは、まさにライフスタイル次第だろう。

リアのハッチにフィアットのロゴが大きく入る。
スクデットの代わってアルファロメオ伝統のロゴが黒のメッシュのグリルにつく。

ちなみに筆者はこれまでフィアットとアルファロメオの両方を所有した経験がある。そのうえで今回の2台から選ぶとすれば、妻と子ども1人、そして犬1匹という家族構成を考えると、選択はフィアット600ハイブリット ラプリマになるだろう。

Text : 池淵 宏
Photo:アウトビルトジャパン、池淵 宏