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プレイステーション用に開発、その後、公道向けに製造された「VW ゴルフ GTI ロードスター」ほど大旋風を巻き起こしたGTIは他にない!

2026年3月9日

50年にわたり、「ゴルフGTI」は常に話題をさらってきた。しかし、このロードスターほど大きな嵐を巻き起こした「GTI」は存在しない。ニーダーザクセン州のVWがまずPlayStation向けにプログラムし、その後実際の道路を走る実車として作り上げたモデルだ。誕生から10年が経った今でも、人々の視線を釘付けにする。

南の太陽?確かにスペインのほうがヴォルフスブルクより天候はいいのかもしれない。だが少なくともこの2月の朝、バルセロナ郊外の内陸部は厳しい寒さに包まれている。カステリョリサーキットのピットレーンでは、吐く息が白い雲となって顔の前に漂うほどだ。

それでも、胸の奥には不思議な温かさが広がっている。VWはここで「ゴルフGTI」誕生50周年の盛大なバースデーパーティーを開催している。駐車場には歴代モデルがずらりと並び、その周囲を最新の「エディション50」が取り囲むように展示されている。そんな中、大きなシャッターゲートのひとつから、これまでのどの「GTI」とも違う一台がピットレーンへと姿を現した。そして私は、それをただ眺めるだけでなく、すぐにステアリングを握ることまで許されている。気温計が低いままだろうと構わない。もう十分に幸せだ。

ちょっと待て。本気なのか?史上最も過激なハッチバック―ワイドフェンダーに巨大なウイング、そしてメガ級エンジンを備えたモデルが出てくるのかと思いきや、我々の前に姿を現したのは、まったく予想していなかった一台だった。

確かにワイドフェンダーは備えている。リアウイングには、おそらくハンドボールチーム一隊がぶら下がれるほどの大きさがある。そしてボンネット下に収まる503馬力の6気筒エンジンは、「史上最強のGTI」として喧伝される「エディション50」でさえ、駐車場の片隅でおもちゃのように見えてしまうほどだ。

バットモービルのようなGTI:VWが解き放った、最もワイルドなワンオフモデル。

しかし、このテスト車にないものがある。それはルーフだ―そして残念ながら、フロントガラスと呼べるようなものもまったく備わっていない。その代わり、腰ほどの高さしかない低い車高で、バットモービルのように威圧的な姿をしたマシンが目の前にある。「GTI」誕生50年、累計250万台という歴史の中で、最初でありおそらく唯一となるロードスターだ。アイドリング状態ですら挑発的に唸り声を上げており、あまり長く待たせるべきではない雰囲気を放っている。突然、私は少し尻込みしてしまう。気温のせいだけではない。

VW ゴルフ GTI ロードスター(“ダークモスグリーン・メタリック”)

というのも、このクルマは本来、存在してはいけないはずのものだった。少なくとも、公道を走る形では。そもそもこのロードスターは、PlayStationのゲーム『グランツーリスモ』15周年を祝うためのデザインスタディとして生まれたものだ。完全なフィクションであり、MQBプラットフォームの制約もなく、既存のデザイン原則やコスト計算からも切り離された存在だった。

だが、デザイン責任者クラウス ビショフ(Klaus Bischoff)彼のチームは、VW取締役会の面々を読み違えていた。フェルディナント ピエヒ(Ferdinand Piëch)、マルティン ヴィンターコーン(Martin Winterkorn)、ウルリッヒ ハッケンベルク(Ulrich Hackenberg)といった人物たちは、PlayStationに夢中になるタイプではなかったかもしれない。だが彼らの血管にはガソリンが流れていた。そして彼らは、このロードスターを仮想世界から現実へと引き出し、2014年のGTIミーティングのために実車として作り上げてしまったのだ。

必要最小限のみ―GTIロードスターでは、まさにエンジンルームの中に座る感覚だ。

それから約10年

アニバーサリーエディションと同じ「ダークモスグリーンメタリック」のラッピングをまとったこのマシンは、今ピットレーンに停まり、アイドリング以上のスロットルを求めてうずうずしている。そして、この凍えるような役目を誰かが引き受けなければならない。ちょうどよく、私はさっき美容院に行って髪を短くしたばかりだ。

私はランボルギーニ風のドアの下でまるでランバダを踊るように身をよじり、サイドシルと巨大なセンターストラットの間に体を滑り込ませ、カーボンファイバー製シートに身体を押し込む。赤いハーネスベルトを腹の上に引き寄せて締める。

長いシフトノブを操作して1速に入れると、デュアルクラッチが噛み合う。両手は極限までミニマルなレーシングステアリング―横に広がる「8」の字のような形状―を握る。デジタルメーターの数字は目で追えないほどの速さで変わり、若き日のコンセプトカーはスタート/フィニッシュストレートで、自分がいくらか年を重ねていようとも、まったく錆びついていないことを証明する。

3.0リッターV6が咆哮し、風が髪をかき乱す

3リッターV6エンジンは轟音を上げ、巨大な2基のターボとともにゴボゴボと唸りながら吠える。665Nmのトルクが2シーターを軽々と最初のコーナーへと射出する。

シフトダウン、ブレーキング、ターンイン、そして再加速―あとはただ楽しむだけだ。

サウンド、スピード、コントロール、純粋なエネルギー。これほど刺激的な「ゴルフ」に座れる機会など、いったいいつあるというのだろう。風は髪を激しくかき乱し、頬を伝う涙が喜びのせいなのか、それとも突風のせいなのかさえ分からない。ただ一つ確かなのは、その涙がすぐに頬の上で凍りつきそうだということだ。すでに尻はアスファルトを擦るほど低い位置にあるのに、それでも私はさらに体を低く沈めようとする。写真撮影の最中ですら、ハリケーンのような風がフィン付きボンネットの上を吹き抜けているのだ。

スペックシートに記された最高速度309km/hの世界では、いったいどんな感覚になるのか――想像するのも難しい。

仮想世界で生まれ、現実で解き放たれた―GTIロードスターは可能性の極限を示している。

ロードスターの勢いを少し抑えてくれるシケインが、このあと2つ続くのはありがたい。とはいえ、極めて低い重心と、通常はゴルフRにのみ標準装備されていた四輪駆動のおかげで、このマシンは驚くほど安定してコースを走り続ける。

そしてさらにありがたいことに、その次のストレートの先には右コーナーがあり、そこからピットへ戻ることができる。思い出の道を走るのは悪くない―できれば速く、刺激的に。だが、できればもう少し天気のいい日にお願いしたいところだ。あるいは、PlayStationで走らせるのもいいだろう。というのも、このワンオフの実車はガレージへと戻り、やがてヴォルフスブルクのコレクションへ収蔵されてしまう一方で、デジタルのロードスターはゲームの中で軽やかに走り続けているからだ。そしてそれは、誰でもドライブすることができる。

情熱さえあればいい。風を受けて走る歓びに、天気は関係ない。

Text: Thomas Geiger
Photo: Ingo Barenschee