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カッコいい動画付き メルセデスAMG製ハイパーカー メルセデスAMG Oneの最新&全情報!

2021年1月21日

その価格やデリバリー時期、そのエンジンサウンドや走行性能等、現時点でメルセデスAMG Oneに関して知り得る限りの情報をすべて提供!

1000馬力以上のV6ハイブリッド仕様、ブガッティ シロンより速く、価格は275万ユーロ(約3億4,650万円)。長らくお待たせした、メルセデスのハイエンドスーパーカー、AMG Oneのデリバリーがついに開始される。すべての情報をお届け。

● エンジン
● メンテナンス
● 電動モーター
● デザイン
● エアロダイナミクス
● インテリア
● ドライビングパフォーマンス
● シャシー、ホイール、ブレーキ
● 価格、生産台数

メルセデスAMG One – メルセデスは、コンセプトモデルの名前から「プロジェクト」を削除し、正式モデル名とした。
2017年、AMGは自身の50歳の誕生日に、ハイパースポーツカーの開発生産を次のようなコメントとともに約束した。
「メルセデスAMG Oneは、初の路上走行可能なF1マシンです。」
そんな最初の発表コメントはIAA 2017(フランクフルトモーターショー2017)でのことだった。
当初、275台限定の生産モデルは、早ければ2019年にも発売される予定だったが、複雑でエキゾチックなF1技術をロード用にホモロゲーションすることは、エンジニアたちにとって多くの困難と大きなチャレンジを課した。
しかし何回かの遅延を経て、「メルセデスAMG One」がついに2021年、デリバリー開始される!

排気量1.6リッターのV6ハイブリッドガソリンエンジン

1000馬力以上の出力を誇るメルセデスAMG ONEのプラグインハイブリッドパワートレーンは、F1からそのまま採用されている。
それは、ハイブリッドターボ燃焼エンジンと合計4基の電動モーターで構成されている。
1基はターボチャージャーに組み込まれ、もう1基は内燃機関に直接配置されクランクシャフトに接続され、残りの2基の電動モーターが前輪を駆動する。
直噴と電動アシスト式シングルターボチャージャーを備えた1.6リッターV型6気筒ガソリンエンジンには、ギアで駆動される4本のオーバーヘッドカムシャフトが装着されている。
さらにエンジンの高速回転化を実現するために、機械式のバルブスプリングから空気圧式のバルブスプリングに変更した。
それによりAMGによれば、リアアクスルの前のミッドポジションに搭載されたエンジンは、現在のところロードカーとしては異例の11,000rpmまで回転するという。
ちなみに本物のF1では、エンジンは15,000rpmまでの回転数が認められているが、効率性を考慮して13,500rpmまでに制限されている。
しかし、耐久性を長く保つため、またレーシング燃料の代わりに市販のスーパープラスガソリンを使用するため、OneのエンジンはF1の制限速度以下の設定となっている。
しかし、エンジンの回転数が極めて高いことが、公道走行認可のハードルとなっていることも事実である。
要求されるエミッションテストでは、1.6リッターV6のアイドリング回転数は1200rpmで一定で回転できなければならない。
一方、F1の世界では、ピットレーンでの通常のアイドリング回転数である5200rpmは、公道走行では許容できない領域にある。

といった具合に、市販車とF1の世界には大きな壁があり、エンジニアたちは苦心していたが、2020年末になって、ようやくいくつかのプレプロダクションモデルを微調整のために社内のテストコースに送ったことを発表したのだった。
しかも、初めて1000馬力を超えるフルエンジンパワーで!
これはおそらく様々な技術的な問題点や、排出ガスの問題を解決し、生産準備が手の届くところまで来ていることを意味していると言える。
サーキットテストには、パワートレーンのチューニングだけでなく、ドライバビリティやアクティブエアロダイナミクスの微調整も含まれている。

5万kmでエンジンオーバーホール

メンテナンスに関しては、一つ特徴がある。
F1のエンジンは通常、走行距離4,000kmでオーバーホールされることを目安に設計されているが、Oneに転用されたF1エンジンは、11,000回転に制限されており、トランスミッションも別のものを使用しているため、1.6リッターエンジンは5万kmごとにオーバーホールを行うだけで済む。

4基の電動モーターを搭載したAMG One

V6エンジンの排気タービンとコンプレッサータービンは、それぞれ分離されており、排気側と吸気側に隣接して配置され、シャフトで接続されている。
このシャフトには、約90kWの出力を持つ電動モーターが搭載されている。
このモーターは、例えば始動時や負荷変動後などに、100,000rpmでコンプレッサータービンを電気的に駆動する。
このユニットの典型的なF1の名称は、MGU-H(Motor Generator Unit Heat)というものだ。

しかし、電動ターボチャージャーの役割は電子的な過給機だけではない。
排気ガスの余剰エネルギーの一部を発電機として電気エネルギーを発生させ、それを回収して高電圧リチウムイオン電池に蓄電するか、さらにその電気エネルギーを別の電動機に供給して推進力を高める。
発電機は出力120kWで、内燃機関に直接搭載され、平歯車駆動(MGU-K = Motor Generator Unit Kinetic)を介してクランクシャフトに接続される。

フロントアクスル上の2基の120kWの電動モーターは、最大50,000rpmで動作する。
これらはそれぞれ減速機を介して前輪に接続され駆動される。
純粋に電気で駆動されるフロントタイヤは、個別の加速と制動を可能にし、トルクベクタリングとして知られる、高いドライビングダイナミクスのための個別のトルク配分を可能にする。
このトルクベクタリング機能は、新型(二代目)ホンダNSXのような他のハイパーカーでも採用されていることで知られている。
制動エネルギーは、バッテリーに蓄電して使用することができる。
2基の電気モーターを搭載したAMG Oneは、純電力で最大25kmの走行が可能で、これはポルシェ918スパイダーの航続距離に相当する。
バッテリーセルの配置と冷却も、メルセデスAMGペトロナスF1レースマシンの構成とは対を成している。

フォーミュラ1スタイルのテールパイプ

AMG Oneプロトタイプのフロントは、U字型のフラップで縁取られた大きなエアインテークとロープロファイルのLEDヘッドライトが特徴的だ。
リアにはシャークフィンが張り巡らされている。
2つの部分からなるディフューザーは、中央のテールパイプで遮られている。
テールパイプのデザインは、大きな丸いアウトレットと、さらに2つの小さな丸い開口部を持つF1マシンから直接採り入れたものだ。
テールライトは、フロントヘッドライトの形をしており、3つの菱形のライトエレメントを備え、AMGのロゴを彷彿とさせる。
「AMG One」のハイブリッド駆動は、リア右にガソリン用、リア左にプラグインハイブリッドバッテリー用の充電ソケットを備えた左右2つのフューエルフラップで確認することができる。

アクティブエアロダイナミクス

フロントフードの黒いエアアウトレットは、運転席側のキャビンの側面を中心に空気の流れを導く。
これにより、ルーフ上のインテークには十分に空気が届くようになっている。
フロントアクスルのダウンフォースは、自動的に伸びるフロントスプリッターとフロントタウンホールのアクティブベント(ルーバー)によって強化されるようになっている。
側面には、ブラックカーボン製のエアディフレクターがボディ周りの空気の流れを誘導する。
リアでは、2つの大型エアインテーク、いわゆるNACAエアインテークが、リアに配置されたエンジンとトランスミッションのオイルクーラーへと空気の流れを誘導する。

スマートフォントレイ付きカーボンモノコック

「メルセデスAMG One」のドアは、前方と上方に同時に開き、大きなエントランスからカーボンモノコックにアクセスするができるようになっている。
ドアにはトリムはないが、カーボンがふんだんに使われており、すべてに機能性を追求したトリミングが施されている。
調節可能なバックレスト付きのブラックバケットシートが2つ、モノコックに一体化されている。
シートは滑り止めのマイクロファイバーフリースとナッパレザーで覆われている。
高さ調整はない。
ペダルとステアリングホイールは正しい着座位置に調整できる。
2つの独立した10インチのディスプレイのうち、1つはドライバーの前で少し持ち上げられ、もう1つはドライバーに面したセンターコンソールの右側に備わっている。
センタースクリーンの下には、2つの長方形の通気口がある。
センターコンソールの上にはエンジンのスタートストップボタンが備わっている。
その前には透明な蓋付きの収納コンパートメントがあり、メルセデスAMGは携帯電話の充電用トレイも提供している。

F1のようなステアリングホイール

上下をフラットにし、エアバッグを内蔵したステアリングホイールもF1を彷彿とさせる。
内蔵された2つのタッチパッドを使って、ドライブプログラムやシャシーの設定、ステアリングホイール上部エリアのLED変速ディスプレイなどを調整することができるようになっている。
パワーの伝達には、「メルセデスAMG One」のために完全に新開発された7速トランスミッションを使用する。
油圧式で、ステアリングホイール上のシフトパドルを介して手動でシフトチェンジするか、自動でシフトチェンジすることができるようになっている。

パワーウィンドウのスイッチは、ドアハンドルループの前のカーボンドアトリムに備わっている。
パワーウィンドウは決して軽量化には寄与しないものの、快適性は向上するので、エアコンと同じように標準装備されている。
その他の快適性を高めるための機能として、シート後方の左右に収納コンパートメントが設けられている。
インテリアミラーは、リアルタイムの映像を表示するスクリーンに変更された。
アルミ製のスクリーンハウジングはルーフと一体化しており、さらなるコントロールを収容している。

ローンチコントロール: 200km/hまではブガッティ シロンより速い
「AMG One」のドライビングプログラムは、「オール電動運転」から「レースモード」まであり、さらにF1予選でのベストラップタイムを確保するためのモードも準備しているとされている。
ESPは「オン」、「スポーツハンドリング」、「オフ」に設定可能だ。
ローンチコントロール機能も搭載されている。
「レーススタート」機能は、0-200km/h加速を6秒以内(!!!)で可能にするという。
これは、6.5秒を必要とするブガッティ シロンを打ち負かすことになる。
だからといって音楽とインフォテインメントもおろそかにはされておらず、コマンドシステムでは、既知のスマートフォンとの統合機能がすべて搭載されており、おそらくオンラインサービスまでもが搭載されている。

最高速度350 km/h超(AMG Oneテクニカルデータ)
● パワートレーン リアアクスル:1.6リッターV6直噴式エンジン、1気筒あたり4バルブ、オーバーヘッドカム4本、電動アシスト式シングルターボ、クランクシャフトに電動モーターを接続。
● 排気量: 1600cc
● パワードライブリアアクスル: 500kW以上
● パワードライブフロントアクスル: 120kW×2基
● システムパワー: 740 kW(1000馬力)
● 純電動航続距離: 25km
● トランスミッション: AMG Performance 4MATIC+可変式四輪駆動(ハイブリッド駆動リアアクスル、電動駆動フロントアクスル、トルクベクタリング付)
● 自動変速機: AMGスピードシフト7速マニュアルトランスミッション
● 加速性能: 0-200km/h加速 6秒(AUTO BILDによる100km/hまでの推定値2.5秒)
● トップスピード: 350km/h以上

セラミックブレーキと新開発の「パイロットスポーツカップ2R」タイヤを採用。
フロントとリアに調整可能なコイルオーバーサスペンションを採用したマルチリンクデザインを採用。
2本のプッシュロッド式サスペンションストラットは、進行方向に対して横方向に配置されている。
スプリング/ダンパーユニットの配置は、従来の筒状の横方向スタビライザーの機能と使用を置き換えるもので、これは、非常に急速な方向転換時にもボディロールを低減することを目的としている。

もうひとつの新開発は、「メルセデスAMG One」専用のセンターロック付き10本スポーク鍛造アルミホイールだ。
カーボン製の部分的なホイールカバー(つまりホイールキャップ)が特徴で、それは車両の空力特性とCd値を向上させることを目的としている。
減速はセラミックコンポジット製のブレーキシステムによって行われる。
スポークセクションごとに3つの浅いベンチレーションスロットを設け、空気の流れをコントロールすることにより、ブレーキからの放熱を最適化している。
「AMG One」のタイヤは、フロントは10.0 J×19のヒールに285/35 ZR 19ミシュラン製「パイロットスポーツカップ2R」タイヤ(One専用に開発)で、リアは12.0 J×20ホイールに335/30 ZR 20サイズのミシュラン製「パイロットスポーツカップ2」タイヤを装着している。

価格: 275万ユーロ(約3億4,650万円)+税
メルセデスAMGは、「One」を合計275台以上製造することはなく、注文帳もすでに275台分埋まっていることを明らかにした。
つまり、価格は275万ユーロ(約3億4,650万円)+税であるにもかかわらず、メルセデスAMG Oneはすでに完売しているということだ。
複数回の遅延にもかかわらず、顧客たちは今でも一日千秋の想いでデリバリーを待っている。
しかし、2021年、ついにその時が来た。
メルセデスAMG Oneの最初の顧客車両がいよいよ納車されることになったのだ!

いよいよ何回も延期されたAMGのハイエンドスーパーカー「One」が市販されることにこぎつけたらしい。
こういう風に何回も遅れに遅れて市販にこぎつけたという例では、ブガッティ ヴェイロンがあり、あれは公道上で時速400キロを出すことがいかに困難かということで、遅れに遅れたのであった。
今回の「AMG One」が遅れた理由は本文中にもある通り、F1と市販車とはいかに違うか、というあたり前ではあるが、それは、それは、難しい壁がそこにはあったからである。
さぞエンジニアたちも苦労したこととは思うが、その苦労が実って公道上に歩み出ることができることはまずはめでたい。もちろん私がシートに座ることも、運転することも、そして見る機会さえないクルマかもしれないが、まずはメルセデスAMGのエンジニアたちにはお疲れ様を言っておきたい。
そして275人の待ちに待ったオーナーの方々には、長い間待った甲斐がありましたね、と(余計なひとことかもしれないが)お祝いの言葉を言いたい。そしてできるならば、せっかくメルセデスベンツが公道上を走れるように作ったのだから、街をできるだけ走らせて、その姿を見せてくれるようにお願いしておきたいものである。

Text: Robin Hornig, Jan Götze, Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG