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新型「VW キャディ フレキシブル」中途半端なアイデアか、それとも真に巧妙な発想か?フォルクスワーゲンの商用バンをテスト

2025年12月29日

VWキャディ フレキシブル eHybrid(VW Caddy Flexible eHybrid):フォルクスワーゲンの商用バンには定評があるが、プラグインハイブリッドの新型VWキャディ フレキシブルは、どれほど使い勝手がいいのだろうか?

我々は今でも狩猟採集民だが、今では主に掘り出し物探しやボーナスポイントの収集に熱心だ。そのため、2つを1つにまとめたという気持ちに駆られるのも当然だろう。たとえば、ガソリンエンジンとバッテリー電動モーターを1台の車に搭載したプラグインハイブリッド車などだ。VWは、「キャディ」でさらに一歩前進した。

「フレキシブル」トリムでは、「キャディ eHybrid」に巧妙なリアシートの折りたたみ機構が採用されており、後席に乗員を乗せることも、荷室と運転席を確実に仕切ることも可能だ。そのため、この「フレキシブル」はトラック(貨物車)として登録することもできる。

室内は開放感があり、広々としている

そして残る興味深い疑問は、これほど多様な自動車技術が「車輪の再発明」に近いものなのか、それとも単に“良いものを盛り込みすぎただけ”なのか、という点だ。その答えは、詳細な個別テストによって明らかにされる。

典型的なバンタイプであるキャディは、後部座席も広々としているが、身長185cm以上の人には狭く感じる。

バンタイプにふさわしく、「キャディ」は快適な広々とした空間だ。ヘッドルームはたっぷりあって、後部座席でもリラックスして、足を前席の下に押し込むことができる。また、硬質プラスチックとむき出しのボディ(鉄板)が、いかにも商用車であることを感じさせる。カーペットが貼られていない荷室は、かなりの騒音の原因になる。

精巧に設計された後部座席は、安定した仕切り壁として機能する。手元操作で前方に倒すと、運転席と積荷の間に直立する。その機能は非常にシンプルだが、固定式のパーテーションのように、音やほこり、臭いを遮断する効果はない。

折りたたんだ後部座席は、乗客と荷室を仕切る。荷室の容量は2,556リットルと大きいが、それだけ。

最大2,556リットルの荷室は十分に大きいが、ここでも柔軟性には欠ける。たとえば固定式の後席仕切りがあるため、ステーションワゴンのように長尺物を貫通させて積み込むことができない。後方視界の悪さはかなり気になり、リアヘッドレストも大きな障害となっている。一方で朗報もある。視界を遮るセンターバー付きの窓なし鉄板テールゲートの代わりに、ガラス窓と大型テールゲートを追加費用なしで選択できる点は評価できる。

後席のヘッドレストとパーテーションによって後方視界は狭い。

操作系はいかにもフォルクスワーゲンらしい仕立てだ。評価の分かれるスライダーやタッチ式センサー面はあるものの、音声アシスタント(「ハロー、アイダ(Hello, Ida)」/274ユーロ=約5万円)は優秀で、安全支援システムはきちんと機能し、マルチメディア性能も良好だ。

電動走行距離もまずまずである

1.5リッター直列4気筒エンジン、電気モーター、6速DSGトランスミッションの連携は非常にスムーズで、高回転域ではTSIエンジンの音がやや大きくなるものの、全体として違和感はない。システム総出力150psは日常使用には十分な動力性能を備えており、燃費面でも大きな不満はない。電動アシストなしでも、リッターあたり14.7kmという数値を記録している。

プラグインハイブリッドは、テストで113kmの純電動航続距離を達成し、急速充電スタンドでは、19.7kWhのバッテリーが最大40kWの充電能力に対応している。

テストでは、19.7kWhのバッテリーは113km走行後に初めて空になった。これは、毎日の通勤や都市部での小規模な業務には、騒音や排出ガスなく取り組むのに適している。自宅のウォールボックスでは、11kWで、30分弱でバッテリーが満充電になり、急速充電器では最大40kWまで充電が可能だ。

サスペンションの快適性という点では、キャディの商用車としての出自がここでも色濃く表れている。最大563kgの積載能力を備えるため、空荷状態では路面の段差やエッジに対してやや硬い反応を示すが、うねりのある路面では余計な揺り返しもなく、滑らかにいなしてくれる。

「フレキシブル」のプラグインハイブリッド仕様の価格は最低でも4万7,422ユーロ(約853万円)。パネルバンとしては、かなり思い切った高い設定と言える。事業者であれば「0.5%ルール」や商用車登録によってコストを抑えることは可能だが、税制面ではディーゼル仕様のほうが有利だろう。

総合評価: VWキャディ フレキシブル eHybrid

カテゴリー評価ポイント
ボディ特に荷物スペースには十分な余裕があり、後席ベンチシートによって荷室の仕切りもしっかりしているが、使い勝手のバリエーションには限りがある。5点満点中3.5点
駆動システム動力性能は必要十分で、エンジンとトランスミッションの協調も自然で主張しすぎない。燃費もおおむね良好だ。5点満点中3.5点
走行性能車格相応に、ハンドリングはスポーティというより穏やかな性格で、ブレーキやステアリングの感触は平均的である。5点満点中3.5点
コネクテッドカーマルチメディアシステムはまずまずの出来だが、一部機能はオプション扱い。ナビゲーションは実用的だが、渋滞を避ける「明確な抜け道」を示すほどではない。5点満点中4点
環境性能車重はかなりあるものの、燃費はなお良好で、電動走行距離も長い。5点満点中3点
快適性能シートは標準的で、サスペンションはやや硬め。装備の一部が有料オプションなのは惜しい点だ。5点満点中3点
コスト車両価格は高めで、リセールバリューは中程度。ただし、メンテナンスは2年ごとで、5年保証が付帯する。5点満点中2点
5点=非常に良い、4点=良い、3点=満足、2点=十分、1点=不十分

したがって、「VWキャディ フレキシブル eHybrid」はかなり高い価値の下落が見込まれるが、少なくとも、他のすべてのVW商用車と同様、5年間の保証が付いている。

結論:
後部座席を仕切りとして活用するコンセプトは巧妙だが、ごく一部の顧客にしか適合しないだろう。総じて言えば、この設計は柔軟性に乏しく、そして「キャディ フレキシブル」の価格は高すぎる。
AUTO BILDテスト評価: 2.6

フォトギャラリー:新型VWキャディ フレキシブル eHybrid

Text: Gerald Czajka and Mirko Menke
Photo: Tom Salt / AUTO BILD