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新時代のブレーキキャリパー革命 ブレンボが100%リサイクルアルミニウム製キャリパーを初導入

2025年9月30日

ブレーキの名門ブレンボ(Blembo)が、またしても新たな一歩を踏み出した。発表されたのは、世界初となる100%リサイクルアルミニウム合金を使用したブレーキキャリパーである。

この挑戦は単なる素材の置き換えではない。ブレンボによれば、新キャリパーは従来材と比べてライフサイクル全体でCO₂排出を70%削減。性能やデザインに妥協することなく、環境負荷を劇的に減らすことに成功したのだ。

5年に及ぶ研究開発の結晶

プロジェクトの始動は2020年。目標は明確だった――ブレンボの製造プロセスをより環境配慮型へ進化させること。世界中の合金を徹底的にリサーチしたブレンボの開発陣は、アルミニウムが品質を損なわず「無限にリサイクル可能」という特性を持ことに着目。鋳造性や強度で従来材に劣らず、かつCO₂排出を大幅に低減できること。そしてグローバルで安定供給が可能であること。膨大なテストの末、ついに最適解として辿り着いたのが、完全リサイクル合金であった。

デザイン性もブレンボ流

新キャリパーは、ブレンボらしい大胆な造形と鮮やかなカラーバリエーションを維持。その証として、新たに「ALU」ロゴが刻まれる。これは単なるリサイクルではなく、素材の価値を高める「アップサイクル」を象徴している。

今回の採用は、性能と環境責任の両立を象徴するものです。ブレンボは常に進化を続け、次世代の製品をよりスマートで、安全で、持続可能なものにしていきます。
ダニエレ シッラチ(ブレンボCEO)

今後の展開

今後開発される新しいキャリパーの大半は、このリサイクル合金を基準としてスタートする予定。現行モデルについては寿命を迎えるまで従来材を使用しつつ、再生可能エネルギーで生産されたアルミへの切り替えを優先していくという。

ブレンボ・ジャパン:https://www.brembo.com/jp

ブレンボ(Blembo)について
ブレンボは、乗用車・二輪車・商用車のトップメーカー向けに、高性能ブレーキシステムと部品を設計・製造する世界的リーダーです。1961年にイタリアで設立され、純正装備やアフターマーケットにおいて革新的なソリューションを提供し続けています。また、50年以上にわたり世界最高峰のモータースポーツで選ばれ続け、700以上のタイトルを獲得。さらにマウンテンバイク競技向けのブレーキシステムも開発しています。

企業ビジョン「Turning Energy into Inspiration(エネルギーをインスピレーションに変える)」のもと、デジタルかつサステナブルな最先端技術でモビリティの未来を形作ることを目指しています。

従業員数は世界18カ国で16,000人以上。39の生産・事業拠点、10のR&Dセンター、2つのインスピレーション・ラボを有し、2024年の売上高は38億4,060万ユーロを記録しました。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:ブレンボ