【特集】ジャンルを超えた“機体クオリティ”への挑戦 「Beechcraft Baron G58」に施した “航空機級インテリア張替” プロジェクトを徹底解剖
2025年9月30日

カーインテリアの技を大空へ:高級車のインテリアを思わせる質感と、航空機ならではの安全基準。その両立に挑んだのが、大阪府堺市のコーティング&インテリア施工の匠「カーメイク アートプロ」だ。
八尾空港に拠点を置くAVIATION REP株式会社の依頼により、航空機「Beechcraft Baron G58」のキャビンのクリーニングとシート、内張の張り替えが八尾空港の格納庫で行われた。

分解から縫製まで一貫作業
「カーメイク アートプロ」が、自動車分野のクリーニング、リペア技術のノウハウを航空機に応用。

作業はまず、シート、ドアパネル、マットを機体から慎重に取り外すことから始まった。シートのレザー、内張を丁寧に剥がしたあとは、それを精密に型取りする。


縫製ラインは設計段階で検討された。インペリアルブルーの表皮に赤ステッチを差し込むことで、落ち着いたブルーのキャビンにスポーティなアクセントを加えている。

選ばれたのは、ベントレー純正のインペリアルブルーナッパレザー
純正以上の仕上がりを目指して、カーメイクアートプロがAVIATION REPに「G58」の使用状況や好みなどをヒアリング、提案を経て素材、色を決めていく。

イタリアから空輸されたその素材は、柔らかな手触りと上品な艶を持ち、触れるだけでラグジュアリーカーを連想させる。
さらに特徴的なのは、最初から最後まで同じ職人が担当する一貫体制。仕上がりのトーンや質感が均一になり、全体として統一感が生まれる。もちろん、航空機ゆえに安全基準に準拠することは最優先。採用されたのはすべて難燃試験をクリアした素材。「飛行機にクルマの贅沢を持ち込む」というテーマを支えるのは、この徹底した素材哲学だ。
控えめな個性
シートには赤ステッチが鮮やかに映え、航空機のフォーマルさの中に個性を演出。シート背後のバックパネルは純正要素を残しつつ、ポケットをインペリアルブルーにしたツートンカラーとなって違和感なく融合している。

【インテリア張替え スペック】
対象機体:Beechcraft Baron G58(双発プロペラ機)
施工範囲:シート(全席)、ドアパネル、フロアマット、バックパネル
使用素材:ベントレー純正ナッパ本革(イタリア製輸入品)
カラーリング:ブルー、ベージュ表皮 × 赤ステッチ
難燃性能:航空機基準の難燃試験クリア素材を採用
縫製スタイル:オリジナルデザイン+赤ステッチ
職人体制 一貫作業方式:分解〜縫製〜張替えまで同一職人が担当
追加施工:ULGOルームクリーニング(天井・フロア・サイドパネル全域)
フロアマットはグレーからブルーに変更されて新たに作成され、インテリア全体がカラーコーディネートされた。

完成:クルマを超えた“空のラグジュアリー”
完成した「G58」のキャビンは、ただの張替えではなく、まさにリデザイン。高級セダンのインテリアを思わせるしっとりとした質感と、航空機に求められる堅牢さが見事に融合している。

シートに腰を下ろせば、そこはクルマでも飛行機でもなく、“上質な空間”そのものだ。クルマ好きにとっては羨望の体験であり、航空ファンにとっては新たな価値の発見である。

カーメイクアートプロでは航空機をはじめクルーザーなどの船舶のインテリアリペア、コーティングも得意としている。
施工動画:https://youtu.be/6f6Rg3M2HBM
カーメイクアートプロ:https://www.art-pro.co.jp/
ULGO:https://www.art-pro.co.jp/carcoating/ulgo/
Text:アウトビルトジャパン
Photo:カーメイクアートプロ