【このM4 CSLなんぼ？】え？なんで？希少なコレクターズアイテムで走行距離たった327kmのBMW M4 CSLの意外な落札価格とは・・・？

BMW M4 CSL：価値の大幅な下落というよりはコレクターズアイテムとしての価値の可能性。本来、限定モデルのBMW M4 CSLは、その先代モデル同様、希少なコレクターズアイテムとなるはずだった。しかし、現実とは異なる状況が、最近アメリカでの販売で明らかになった。なぜこの限定モデルBMWが優良な資産価値を持たないのか？

BMW M Motorsport GmbHの50周年を記念し、「M3 CSL（2003年）」から20年以上を経て、BMWは2022年に「M4 CSL」を発売した。これは公道走行可能ながらレース用に設計された特別モデルで、1,000台の限定生産だった。そして、注文開始後すぐに、「CSL（Coupé、Sport、Leichtbauの頭文字）」の全車両が完売した。

「M4 CSL」は、1972年の「BMW 3.0 CSL」のように、高い価値上昇が見込めるコレクターズアイテムとなる可能性が高いと推測された。しかし、現実にはそうではないことが、最近の米国での販売状況から明らかになった。

オークションプラットフォーム、「Bring a trailer」で、2023年式BMW M4 CSL（1,000台限定生産のうち300台が米国に輸入されたモデル）が、走行距離わずか327kmで出品された。「フローズンブルックリングレイメタリック」のスタイリッシュなモデルで、サイドスカート、エンジンフード、ラジエーターグリル、ルーフに赤いアクセントが施され、マットブラックの19インチと20インチの鍛造ホイールを装着している。

LEDレーザーライトヘッドライト、Mカーボンシェルシート（メリノレザー張地）、Mカーボンエクステリアパッケージ、そしてもちろん最高のパフォーマンスを実現するアダプティブMサスペンションを標準装備。

さらに、車両の履歴を証明する報告書も付属している。事故や損傷の履歴はない。また、最近オイル交換が実施されており、車両の良好な状態が確認されている。

販売者によると、この車両の新車価格は12万8,000ユーロ（約2,112万円）相当だったというが、この「M4 CSL」は入札者から評価されず11万8,000ユーロ（約1,947万円）相当で売却され、いわば約1万ユーロ（約165万円）の新車価格には届かなかった。

中古車オークションプラットフォーム上の現在のオファーも同様の状況だ：2023年式の「M4 CSL」で、走行距離は8,046km。現在の入札価格はわずか55,000米ドル（約814万円）だ。

6速マニュアルトランスミッションの方が人気？

しかし、なぜ思ったほど高額にならないのか？標準モデル同様、「CSL」は8速オートマチックトランスミッションを搭載し、4輪を駆動する。出品車両に対するコメントを読むと、「3番目のペダルがあれば」や「シフトパドルは楽しいが、マニュアルの方がいい」といった意見が見られる。このことから、6速マニュアルトランスミッションを搭載した「CSL」は、潜在的な顧客により好評を博する可能性があると考えられる。

ドイツでは評価が高い？

では、ドイツの中古車市場ではどうだろうか？「M4 CSL」はより高い評価を受けているだろうか？新車時の価格は165,200ユーロ（約2,725万円）だった。現在の中古車市場では、約85,000ユーロから199,000ユーロ（約957～3,283万円）の価格帯で取引されている。米国で確認された2台の車両と似た走行距離のモデルを検索すると、約167,000ユーロから170,000ユーロ（約2,755～2,805万円）の価格帯になっていてコレクターズアイテムとしては低い価格だ。

数年後、「M4 CSL」がより高い価格で取引されているかどうか、注目が集まるところだ・・・。

Text: Nele Klein
Photo: Bring a trailer