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正常進化 新型ルノー ルーテシア

2020年11月22日

All New ルノー ルーテシア(第5世代)ファーストドライビングインプレッション その運転性能と乗り心地を評価

1990年に生まれ、累計で1,500万台以上を売り上げたルノー ルーテシアは、この30年の間に、非常に身近な存在となり、大成功を収めてきた。新しいルーテシア(Mk5)は、その身近な存在はそのままに、徹底的なオーバーホールが施され、より進化したモデルとなった。ミナトヨコハマでの初試乗から得たインプレッションをお届けする。

新しいプラットフォーム、新しいエンジン、トランスミッション、大幅にアップグレードされたキャビンなど、すべてが抜本的にオーバーホールされている。
スタイリングは以前同様馴染みのあるもので、重要なのはその走行性能だが、それはとても良い、優れたものへと進化している。

用意されている車種は?

日本市場には、131馬力を備えた1.3リッター4気筒直噴ターボガソリンエンジンに電子制御7速AT(デュアルクラッチオート)を組み合わせたモデルが投入された。

新型ルーテシアには、装備の違いにより、ゼン(受注生産)、インテンス、そしてインテンス テックバックの、3種類のグレードが用意されている。価格は順に、2,369,000円、2,569,000円、2,769,000円となっている。

来年デビューが予想されるハイブリッドバージョンは、自然吸気の1.6リッターガソリン4気筒と、大小2基の電動モーターが組みあわされ、トランク内にバッテリーを搭載することで作動するようになっている。
プラグインハイブリッドはルーテシアには予定されていない。

すべてのルーテシアには、Android Auto、Apple CarPlay、レーン逸脱警告、レーンキーピングアシスト、交通標識認識などの電子安全補助と優れたコネクティビティを始め、たくさんの機能を兼ね備えている。
この分野ではルノーは若干遅れをとっていたので、このアップデートは朗報といえる。
また内装では異なる色のアンビエント照明も使用できる。
LEDヘッドライト、クルーズコントロール、フロントガラス上部にカメラ、グリルにレーダーが標準で装備されている。

一見フルモデルチェンジには見えないほどキープコンセプトではあるが、全体の造形は美しく、ボディカラーなども華やかなものが多く、乗る者の気持ちを軽やかにする。

見た目はとてもお馴染みのフォルムとスタイリングだが…

いや、これは間違いなく、フルモデルチェンジだ。
第5世代(Mk5)ルーテシアは、ルノーの新しいCMF-Bプラットフォームを最初に採用した車だ。
今日期待されている安全システムとコネクティビティを搭載し、ハイブリッドを含む様々なパワートレインに対応できるように設計されている。
しかし、その中にフル電気自動車は含まれていない。
EVであるルノー ゾエは、独自のプラットフォームを備え、別のモデルとしてすでに存在しているからだ。

新しいルーテシアは、先代モデルに比べてホイールベースがわずかに短く、車高がわずかに低いが、ほとんどの点でスペース的な余裕があり、車重は約50kg軽くなっている。
全体的な外観は、大ヒットしているMk4のものを非常に上手に踏襲したものとなっているが、ボンネットの形状が変わり、ルーフラインが43mm低くなり、フロントオーバーハングが短くなり、リアハッチがよりフラットになった。

オリジナルミニと並ぶとこんなに大きい(というかミニが小さすぎるのだが)。特にホイールベースの長さとアイポイントが大きく異なることがわかろう。ルーテシアも今や立派な体躯の3ナンバーカー、なのである。

インテリア

エクステリアのスタイリングが最小限に変更されただけの一方で、インテリアは大幅に異なり、はるかに優れたものとなっている。
ポイントは、巧みなデザインワークがスペースを有効活用しているということだ。

リアシートは低く、フロントシートバックはスリム化され、ヘッドレストはより固くならず、視界を確保できるようになっている。
フロントでは、ステアリングホイールが小さくなり、室内空間の不足も感じない。
特に後部座席に座る人は、ライバル車と比較して足元のスペースに余裕があると感じるだろう。
レザー、プラスチックやファブリックはより良いものを使用しており、ダッシュボードは、より立体的で、より曲線的で、より水平なデザインが幅広な印象を与えている。

フロントの目玉は、ハイスペックなルーテシアに標準装備されている中央タッチスクリーンだ。
縦型で、9.3インチとちょうどいいサイズで、カスタマイズも可能で、見やすい。
そして、トランクの形状が変更され、トランクはクラス最大の391リッターになった。
そのトランク内にスペースを損なうことなく備わっている、ルノーのスポンサーの下でBOSEが10年にわたって開発したサブウーファーは、車外から空気を採り入れることで、実に豊かで澄んだ音声を再生する。
実際に聴いてみてそう感じた。

新しさを感じさせるインスツルメンツパネル。カラーリングや仕上げも上質である。従来までは装備されなかった各種電子デバイス満載にも関わらず、複雑なスイッチ類が少ないのは評価できるが、スクリーンのタッチスイッチに頼る部分が多いため慣れが必要となる。
ルーテシアにもBOSEが装着される時代になった! ウーハーなどもすっきり収納され、荷室を邪魔しないのはさすがにフランス車。

オンザロード

新型ルーテシアは、乗って少し走り始めると、改良された電動ステアリングによる、自然なフィーリング、コーナーでの落ち着き、適切に調整されたブレーキ、そして全体的に向上された洗練さに驚かされる。

ルーテシアは、快適性を重視した車であると同時に、楽しい車でもあろうとする中間地点にフォーカスしている。
サスペンションはうまくデコボコを吸収し、ボディロールは多少あるものの、それをうまく処理し、十分なグリップを提供してくれる。
コントロール性の高さはさすがルノーで、反応が良く運転していて楽しくなるが、ギアレバーはもう少し低い位置に備わっていたらよかったのにと感じた。
ステアリングの重みとスロットルレスポンスが変化するノーマル、エコ、スポーツのドライブモードが用意されているが、これらはハッキリとした違いを感じることができなかった。

1.3リッターのパワーユニットはかなりパワフルに感じられ、坂道もフラットにスムーズに走る。
ツインクラッチのトランスミッションは積極的にパドルシフトして走らせれば、それなりに速く走れるが、とても滑らかにシフトする優れたオートマチックに任せておいても何ら問題はなく、すべてオーケーだ。

1.3リッター4気筒131馬力のエンジンは秀逸。
2ドアに見えるデザイン処理によりスポーティさを感じる。

結論:
これは、人気のあった先代ルーテシアよりも、かなり進化し優れたパッケージだ。
我々が試した新型ルーテシア インテンス テックバックのエンジンは、ギアボックスとよくマッチングされた、スムーズでとても使い勝手の良いものだった。
ルーテシアは運転していて特別スリリングな車ではないし、最も快適な車でもないものの、改良されたキャビンとスマートに統合された技術的なアップグレードによって、とても魅力的なモデルに生まれ変わっている。
そのリーズナブルな価格と併せ、国産車に飽き足らない人にお勧めの1台だ。

Text & photo: Auto Bild Japan