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V8ステーションワゴン一騎打ち!アウディRS 6アヴァント パフォーマンスとBMW M5ツーリングのガチンコ勝負 最終勝者は?

2025年7月29日

アウディRS 6アヴァント パフォーマンス対BMW M5ツーリング:アウディRS 6とBMW M5のパワーワゴン対決。最新のM5はハイブリッド技術を採用し、さらなる加速を実現。アウディのV8エンジンよりも刺激的か?

さて、「M5」はもはやそれほど新しいモデルではない。セダンとステーションワゴンとしてすでに紹介され、その並外れたスピードと魅力で、「重厚なモンスター」と評され、最終的には「夢の車」のカテゴリーに分類された。ちなみに、この伝統は30年以上も前から続いており、1992年に「E34」として、バイエルン初のパワフルなステーションワゴンが登場した。

同様のことが「アウディRS 6アヴァント」にも言える。「M5」と同じように息を飲むようなポテンシャルを秘めている。「RS 6アヴァント」は2002年に登場、現行モデルは2018年から、パワフルなバリエーションであるパフォーマンスモデルは2022年から販売されている。つまり、このモデルでは、ベテランが新たなパワーで勝負を挑んでいるのだ。そして、この記事では、その最新情報をお届けする。

技術的に注目すべき対決

我々は「G99(BMWの新しい高級ツーリングモデルのコード名)」と「C8(アウディの現行高級車シリーズのコード名)」を初めて対決させ、両モデルを我々のスポーツテストの典型的なパターンに従って、10分の1秒、ブレーキ距離のセンチメートル、キロ単位の重量で比較した。

アウディRS 6パフォーマンスとBMW M5ツーリングが、圧倒的なパワー、技術、そして威信をかけて競い合う。

この対決は、古くから議論の的となっているテーマであり、技術的にも注目に値する。両車には、アクティブサスペンション、後輪操舵システム、4WDの可変トルク配分システムといった最先端の走行システムが搭載されており、さらにリーグ随一の威信と、合計で約1,400(!)馬力のパワーを誇っている。

エンジンには圧倒的なパワーが秘められている

BMW M5ツーリングに搭載されるその強力なV8エンジンには、トランスミッションに統合された電動モーターが追加されている。この電動ーターは、さらに高い出力トルクを得るために、ギア比を調整する機能も備えている。これにより、システム全体で727馬力の出力と1,000ニュートンメーターのトルクを発揮する。

パワーモンスター: アウディのV8エンジンは630馬力と850Nmのトルクで推進力を生み出し、BMWの駆動システムには727馬力と1,00Nmのシステム出力が搭載されている。

圧倒的な性能だが、アウディはこの事実を恐れる必要はない。「RS 6 パフォーマンス」は、V8ツインターボガソリンエンジンから630馬力と850ニュートンメーターのトルクを発揮する。

この約100馬力の出力差は、両車のステーションワゴンとしてのコンセプトの違いだ。スポーツ性能については後ほど説明するが、まず両車の哲学的なアプローチについて触れておこう。

スペック

モデルBMW M5 TouringAudi RS 6 Avant performance
エンジンV8ツインターボ+電動モーターV8ツインターボ
最高出力585馬力/5600rpm630馬力/6000rpm
排気量4395cc3996cc
電動モーター出力197馬力
システム最高出力727馬力630馬力/6000rpm
システム最大トルク727hp850Nm/2300rpm
最高速度305km/h305km/h
ギアボックス8速オートマチック8速オートマチック
駆動方式M xDrive 全輪駆動システム全輪駆動 クワトロシステム
タイヤサイズ(F)(R)285/40/R20 295/35/R21285/30/R22
タイヤPirelli P Zero RContinental SportContact 7 (AO)
ホイールサイズ(F)(R)20×10.5J 21×11.5J22×10.5J
燃料タンク60l/18.6 kWh73l
充電11kW/2:15 hours
トランク容量(l)500–1630548–1658
全長/全幅/全高5096/1970/1516mm4995/1951/1469mm
ホイールベース3006mm2933mm
ベース価格146,000ユーロ(2,510万円)138,500ユーロ(2,380万円)
テスト車価格166,280ユーロ(2,860万円)150,400ユーロ(2,580万円)

当然、アウディもBMWも、機能的なステーションワゴンの性能、洗練された快適性、高速道路や一般道での俊敏な走行性能という3つの要素を両立させたモデルを提供したいと考えている。そして、その目標は達成されている。サスペンション、騒音、シートの快適性、広さ、マルチメディアや運転支援機能の装備など、すべてが最高レベルにあり、基本的に両モデルとも完璧な結果を達成している。

しかし、BMWは「M5」に重要な(より現代的な)要素を追加している。「M5」は電気駆動も可能なのだ。これは単に追加の動力源という意味ではない。それだけでは、Eライセンスプレートによる優位性は得られないからだ。「M5」は、18.6kWhの容量を持つバッテリーを搭載し、最大67kmの純電動走行が可能だ。プラグイン式でウォールボックスでの充電が可能で、賢い走行モード戦略(充電、ブースト、セーリング、または部分負荷緩和)を備え、段階的にCO₂排出量を大幅に削減する走行を実現している。

ラグインハイブリッドシステムを搭載したM5ツーリングは、最大67kmを純粋な電気駆動で走行可能だ。

同時に、電気駆動モードではさらに静かな走行性能と、アクセルペダルのわずかな操作にも応えるスムーズな加速感を実現している。これを超える走行性能は、バッテリーと関連システムがサポートする。これがこの物語の最も重要な部分だ。アウディかBMW、どちらが速く、スポーティで、ダイナミックか?

プライドの対決はアウディが制す

両車とも、オプションの「最高速度解除」により305km/hの最高速度を達成し、可変式四輪駆動システムと制御された後輪差動装置、スプリントスタートコントロールにより爆発的な加速を実現する。その際、アウディは一瞬早く鋭くスタートする。

0から100km/hまでの加速では、RS 6はわずか3.3秒で到達し、BMWを0.3秒上回る。

出力の低さは、「M5」に比して、360kg軽い車重によって相殺されており、さらにアウディの駆動輪はアスファルトに力強く食いつく。BMWが最小限のスリップで走行する一方、「RS 6」は道路に固く食いつくように走行する。加速テストではBMWが追加の電気駆動力を発揮し、250km/hまでで、アウディを1秒以上引き離す。

性能

モデルBMW M5 TouringAudi RS 6 Avant performance
加速
0-100km/h3.6秒3.3秒
0-200km/h10.9秒11.2秒
0-4分の1マイル11.38秒11.21秒
ラップタイム
コンチドローム1:30.181:31.54
車重2,465kg2,105kg
重量配分前/後52/48%56/44%
旋回径(直径)12.2ⅿ11.3ⅿ
シート高580mm515mm
ブレーキング
100km/h-035.7m35.0ⅿ
200km/h-0127.6m126.6m
燃費(テスト区間)6.85km/l4.42km/l

高速道路は両車の得意分野だが、今日のテーマではない。舞台はサーキットだ。ここではストップウォッチに任せることにする。結論から言うと、より速いのはBMWだ。「M5」は複数の強みを発揮する。まず、より効果的なブレーキが、コーナー出口から次のコーナー入口までの加速距離を長くしている。さらに、急ブレーキでも「RS 6」よりも安定しており、信頼感がある。ただし、「M5」の電子ブレーキはペダルの感触が鈍く、ABSの作動範囲をほとんど感じることができず、さらに「解除」もほとんど不可能だ。

サーキットではBMWが速い

ラップタイムの差は、より速い加速にある。コース上の最大速度を見ると、「M5」が次のブレーキゾーンに突入する速度がどれだけ速いかがわかる。BMWは233km/hに達するが、アウディは「わずか」225km/hの速度で進入する。

アスファルトとのより良いグリップと高い速度により、BMWはコンチドロームサーキットでアウディより1秒速い。

もう一つの要因は、フロントアクスルが路面とよりしっかりかみ合っている点にあり、BMWはそのバランスもより優れている。アウディは(総重量は軽いが、前輪への荷重配分が高いため)アンダーステアになりやすいのに対し、BMWはしっかりと路面に踏ん張っている。さらにM5は、荷重変化に対しての反応も穏やかで、リアが滑り出すことも少なく、その結果としてコーナリングがより正確かつ安定しており、結果的に速く走ることができる。

評価

モデルBMW M5 TouringAudi RS 6 Avant performance
ポイント400点満点中288点400点満点中284点
最終順位12
結論大幅に重いにもかかわらず、サーキットではアウディを軽々と上回る。洗練されていて、すべてが一体となっている。よりダイナミックに感じられ、100馬力少ないにもかかわらず、M5を凌ぐ加速力を見せることさえある。依然として素晴らしいバランスだ。

主観的な面では、印象は異なる。アウディはより軽快で俊敏に感じられ、エンジンの回転も活発で、荒々しいサウンドがそれをより力強く印象づける。ステアリングの反応も繊細で、ドライバーの着座位置はより低く、すべての情報がリアルに伝わってくる。しかし、そうした要素は結果に影響しない。我々のテストは数値に基づく。M5の方が優れている。そしてそれは、実のところ今に始まったことではない。

結論:
パフォーマンス数値や価格は驚異的だが、ドライビングプレジャー、スピード、実用性はどちらのモデルにも圧倒的に備わっている。スポーツ性という観点―つまり「M」や「RS」が評価されるべき領域―から見ると、新型BMW M5のほうがより速く、そして完成度の高い芸術作品だ。

フォトギャラリー:2台のパワーワゴンを比較テスト

Text: Jan Horn and Mirko Menke
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD