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リッターあたり20km以上の平均燃料消費という特に燃費のよい中古ディーゼルモデル4台「BMW 320d」「シトロエン カクタス」「ルノーキャプチャー」「VW ゴルフ」をご紹介!

2025年2月23日

中古ディーゼル車はどうだ?:燃費のよい中古ディーゼル車4台。ディーゼルエンジンの最大の強みは、その効率性だ。我々のテストでリッターあたり20km以上の燃料消費量という、特に経済的な中古車4台をご紹介!

登録台数の統計を見れば、ディーゼル車の人気が落ちていることは疑いようがない。排ガス不正問題が発覚した8年前、電気自動車やハイブリッド車がまだ大きな役割を果たしていなかった頃、ディーゼル車の登録台数はほぼ50%を占めていた。それが、最近では多くのメーカーが小型車やコンパクトカーの低価格帯セグメントでディーゼルエンジンを搭載しなくなっている。

それ以来、減少傾向にあり、過去12ヶ月間では15%強にとどまった。一方で、ガソリンエンジンは依然として登録台数の約3分の1を占めている。これはディーゼル燃料の価格動向によるもので、特に2020年以降は急騰したが、現在は再び下落している。

テスト時の燃料消費量が20km/ℓ上回る中古ディーゼル4台

「最も経済的な燃料消費量」でフィルタリングしたテストデータベースの分析により、10年落ちのディーゼルモデルが特に多いことが明らかになった。ここではそのうちの4台を紹介する。いずれもテストでの燃料消費量はリッターあたり20km以上の好燃費で、場合によっては航続距離1,000km以上が可能だ。

大型セダンやSUVではないため、走行距離10万km未満の中古車が数多く市場に出回っている。また、ディーゼル人気が低迷しているため、かなり手頃な価格で提供されている場合も多くある。

さらに、これらのモデルの旧型車には尿素噴射システム(SCR触媒コンバーター)が搭載されていないことが多い。窒素酸化物排出量が多いのが欠点だが、車両の部品が傷みにくく、AdBlueの補給が不要なのが利点である。

シトロエン C4 カクタス BlueHDi 100

・製造年:2014年~2018年
・出力:100馬力
・テスト消費量:21.7km/ℓ
・中古車価格:8,000ユーロ(約130万円)から

シトロエン C4 カクタス:シトロエンは重量に細心の注意を払った。それもまた効率性を高めている。
Photo: Christoph Boerries / AUTO BILD

エアバンプが特徴的なこの車は、シトロエンは2世代目ではプラスチックバンパーを使用しなくなったため、初代「カクタス」はより特別なものとなっている。これは、よりリラックスしたタイプの1つであり、柔らかいサスペンションだけでなく、柔らかいシートも備えている。これは魅力的だが、カーブ時の横方向のサポートが不足しているため、煩わしく感じることもある。この小型のクロスオーバー型車は、シトロエンが軽量構造に仕上げたもので、ディーゼル車でも車両重量は1.2トン未満だ。

このため、この愛らしいフランス車は、倹約家であるだけでなく、十分な俊敏性も備えている。100馬力で0から100km/hまで12秒以内に加速できるため、ゆったりとしていながら、決して鈍重ではない。この独特なデザインのディーゼルモデルは、最も経済的な車種のひとつだ。

弱点:「カクタス」は「C3(第2世代)」をベースとしており、TÜV(ドイツ技術検査協会)では、摩耗したステアリングジョイント、排気システム、スプリングとダンパーの欠陥が注目されている。軽量にもかかわらず、コンポーネントは小型化されているようだ。錆もTÜVだけでなく、我々の長期テスト車の「カクタス」が分解された際にも見られた。ギアボックスの故障により、評価はD+にとどまった。2016年11月に、マニュアルギアボックスが改良された。エアコンの操作は困難だ。すべてが中央スクリーンを介して行われ、頻繁にクラッシュする。オプションのETGギアボックスは、ギアチェンジの間に長い休止があり、煩わしい。

大林晃平: 残念ながら日本には正規輸入されなかった「カクタス ディーゼル」。当然現在、中古車市場ではほぼゼロ(ほぼ、というのは並行輸入されたものがごくたまにあるから)。ちなみにガソリンエンジンの「カクタス」は一時期のプレミアム価格がずいぶん落ち着き、100万円前後とシトロエンらしい価格で売られている。一見安いかなと思うが、プラスチックパーツの劣化をはじめ、各部の経年劣化は進行しているので、購入には覚悟してあたるべき。

VWゴルフ7 1.6 TDIブルーモーション

・製造期間:2013年~2017年
・出力:110馬力
・テスト消費量:20.4km/ℓ
・中古車価格:9,000ユーロ(約145万円)から

最大限の経済性を求めるのであれば、1.6 TDI(90~115馬力)が第一選択肢となる。
Photo: Christian Bittmann

「ゴルフ7」の多彩な才能のレパートリーには、経済性も含まれている。110馬力の「1.6 TDI」は、我々のテストでリッターあたり20km以上の平均燃費を達成した、特に倹約的な候補車の1台だ。少なくとも、250ニュートンメーターは1,500回転で既に利用可能であり、燃費の良いエンジンを搭載した「ゴルフ」は、必要であれば最高速度200km/hまで到達することができる。

Photo: Toni Bader

その他の長所は周知のとおりだ。広々とした空間、適切なサスペンションチューニング、快適なシート、簡単な操作などだ。人気車種であるため、中古車も豊富に選べる。

弱点:特に初期モデルの「ゴルフ7」では、ナビゲーションシステムが頻繁にクラッシュし、煩わしい。マニュアルトランスミッションでギアチェンジに問題がある場合は、ケーブルを調整すると改善することが多い。一部のオーナーは、ギア比が広いことを不満に思っている。一方、DSGモデルでは、特に冷間時にクラッチが硬いことがある。

Photo: Toni Bader
Photo: Toni Bader

大林晃平:「ゴルフ7」の最後のほうに日本に正規導入されたディーゼルモデル。実は期待ほどの完成度を持っていなかったと落胆のインプレッションも多かったが、乗ってみればそれほど悪くはなく、燃費ももちろん悪くはない。当初の期待値が高すぎたのかもしれないが、安ければ買っても損はしないと思う。「1.2」とどちらにするかは悩ましいが、久しぶりのディーゼルモデルゴルフが欲しければ大体200万円で買えるので、実用と割り切るのなら悪くないと思う。

ルノー キャプチャー1.5 dCi 90

・製造:2013年~2019年
・出力:90馬力
・テスト消費量:21.7km/ℓ
・中古車価格:8,500ユーロ(約140万円)から

ルノーは、「キャプチャー」でかなり成功した製品を生み出した。初代モデルは、技術的には小型車「クリオ(ルーテシア)IV」をベースとしているため、前輪駆動のみとなっている。「キャプチャー」は、特にスタイリッシュなツートンカラーのペイントを注文した顧客に人気があり、とりわけ経済的な車種のひとつだ。特に、ここで紹介する90馬力のディーゼル車だ。「キャプチャー」は、購入者のなかでもお買い得品を求める人々にも感銘を与えた。

状態の良い中古のルノー キャプチャーを見つけるのは難しくない。
Photo: AUTO BILD / Sven Krieger

たいしたことないように聞こえるかもしれないが、220ニュートンメーターという最大トルクのおかげで、この小さな車にも十分なパワーがある。快適性を重視したキャプチャーは、高齢の顧客を惹きつけることが多く、そのため、フランス車の整備された中古車はすぐに売れてしまう。

弱点:5速マニュアルトランスミッション(110馬力仕様は6速)搭載車の方が、あまりスムーズではないDSGトランスミッション(EDC)搭載車よりも好ましい。シートの横方向のサポートは弱く、長距離走行には必ずしも適していない。また、「クリオ(ルーテシア)」の車台は重量が重いという欠点もある。TÜV(ドイツ技術検査協会)は、このことがサスペンションの欠陥が平均以上になる原因であることを指摘している。重大な錆や排気ガス試験での問題も発生している。さらに、塗装の質が悪いと、塗装のはがれにつながる可能性がある。

Photo: Christoph Boerries

大林晃平:残念ながらこれまた日本には導入されていない「キャプチャー ディーゼル」。「カングー」のディーゼルモデルから類推すると、とてもいい感じだと思うので、ぜひ導入してほしい。ちなみにガソリンエンジンはだいたい100~200万円程度と、ルノーらしさ全開のお買い得感のある価格で、中古車市場でも見つけやすい。「キャプチャー」自体は乗り心地もいいし、使い勝手の良い大きさなのでSUVを探している方にはダークホースとしてお薦めしたい。込みこみ200万円ポッキリくらいが、程度の良い物件の目安か。

Photo: Christoph Boerries
Photo: Christoph Boerries

BMW 320d EfficientDynamicsエディション

・製造:2011年~2018年
・出力:163馬力
・テスト消費量:21.7km/ℓ
・中古車価格:12,000ユーロ(約195万円)から

184馬力と190馬力の320dバージョン(写真)も、テストでの燃費はリッターあたり20km以上だった。
Photo: Toni Bader / AUTO BILD

BMWは「F30」世代に力を注ぎ、先代モデルと比較して、より良く、より自信に満ち、よりリラックスしたものとなった。これは最適化されたシャーシによるもので、ダイナミックな才能を犠牲にすることなく、快適性を大幅に向上させている。これはオプションのドライビングエクスペリエンススイッチなど、シャーシや駆動のレスポンス特性に影響を与える新しい仕掛けによるものでもある。特に成功を収めたのは、従来の6段から8段に増えたZFの新オートマチックトランスミッションだ。素早く、かつスムーズなギアチェンジで印象づけるだけでなく、幅広いエンジン回転域により燃料の節約にも役立つ。

2リッターターボディーゼルエンジンは、163馬力と380Nmのトルクを発揮する。これにより、トップスピードは230km/hに及ぶ。我々のテストでの消費ラップでは、このバイエルン車はリッターあたり21.7kmという驚くほど経済的なディーゼル燃料消費を記録した。

弱点:TÜV(ドイツ技術検査協会)の報告書によれば、「F30」ではスプリングやダンパーの欠陥、サイドブレーキの故障、オイル漏れがますます多く見られるようになっている。また、排ガス試験にも不合格になるケースが増えている。一方、「F30」では錆びは問題にならない。しかし、タイミングチェーンは問題であり、N47エンジンとその後継であるB47モジュールエンジン(2015年以降)の両方に影響を及ぼしている。エンジンルームからチャタリング、グラインド、スクレイピングの音が聞こえないコールドスタートテストに合格しない限り、購入は認められない。安全策として、専門業者によってすでに交換されたタイミングチェーンは、最適化されたチェーンテンショナーにより、よりスムーズに動作すると言われている。これらのエンジンでは、メーカーの指示に従って定期的なオイル交換が必須だ。

大林晃平:わが国でもガソリンエンジンモデル以上に売れたといわれた「F30」のディーゼルモデル。実際に乗ってみればディーゼルのネガは見当たらないばかりか、ディーゼルエンジンゲイト前ということもあってか、トルクもりもりで実に頼もしい。現在日本でも中古車市場に多く存在し、セダンモデルならば、100万円以下からゴロゴロ見つかる。だがあまりに安いと過走行物件も多いし、エンジンはともかくトランスミッションが心配。それでも150万円くらい握って、吟味しながら探せばかなりいい物に出会えると思うので、実用ディーゼルエンジンセダンがお好みの方にはぜひお勧めしたい。

Photo: Toni Bader / AUTO BILD
Photo: Toni Bader / AUTO BILD

ディーゼルエンジンの魅力

常日頃、僕は周囲の人間から「ディーゼルエンジンフェチの変態」扱いされていて、まあそれは間違いではないし、実は内心ほくそ笑むような、やっぱり真正のディーゼルバカなのかもしれない、と自分では思っている。

今も我が家のクルマは2台ともディーゼルエンジンだし、その前も、その前の前も、その前の前の前も、もひとつ前も、さらに前もディーゼルエンジンを所有していた。

古くは若き日に所有した車が、2台目にして、いすゞ ジェミニのディーゼルエンジンだったし、その後もなんだかんだで、事情が許す限り、ディーゼルエンジンの車を選び続けてきた。なんでそんなにディーゼルエンジンの車が好きかというと理由は簡単で燃費が良く、ガソリンに比べて軽油が安いからで、ガソリンスタンドに行って軽油を入れていると、ちょっとバーゲン品の安いものを買えて、得したように感じることができるからと、つまり僕はケチな人間なのである(笑)。

海外では軽油とガソリンの価格がほぼ同じだが、日本では政策的に軽油の税金が安く設定されているため、レギュラーガソリンよりも、もちろんハイオクガソリンよりも軽油は安く給油できる。言うまでもなく今のディーゼルエンジンの車は黒煙も全く出さないし、始動時にグローランプが消えるまで待つこともなく、アイドリング時にブルブル振るえることはあり得ない。パワーだってまったく引けをとらないばかりか、トルクのモリモリ感は(一時期に比べれば随分減ったが)、ディーゼルエンジンの車の方が強く感じることが多い。だからディーゼルエンジンバカに言わせれば、なんで皆さん高いガソリンを給油しないくちゃいけない「ベンジン」のモデルをわざわざ買うんですか、と説教したい気持ちなのである(笑)。

そんなディーゼルエンジンの車の本場は言うまでもなくヨーロッパであり、ヨーロッパでは軽油はガソリンと同じくらい高価なのだが、やはり燃費の良さとワンタンクでの航続距離などで人気が高かったのだという。一時期わが国にはメルセデス・ベンツとBMWくらいしかディーゼルエンジンの車は輸入されていなかったが、その頃はヨーロッパの街角には圧倒的にディーゼルエンジン搭載車が多かった。そしてそんな車たちが入ってこないかなぁ、と思っていたら、様々な車種が輸入されることになり、ディーゼルエンジンフェチにとってはビンビンに硬くなるかのごとく興奮したが、それもつかの間、例のフォルクスワーゲンのディーゼルゲイト問題でヨーロッパ国内でも急速につぼみ始めてしまったのは皆様ご存じの通りである。

結局このままディーゼルは世の中から淘汰され、消え去ってBEV一辺倒の世の中になってしまうのか、と個人的に意気消沈していたのだが、どっこい、まだまだそうは問屋はおろさず(?)、これからもしばらくはディーゼルもガソリンエンジンといった内燃機関も、まだまだハイブリッドなどの形で生き延びるような状況に、再び風向きが変わってきている、というのが2025年1月時点での状況であるといえる。おそらくここ数年でディーゼルエンジンが世の中から消えてしまうというようなことは考えにくい。

さて、今回紹介されている中で日本に正式導入されているのは「BMW 3シリーズ」と「ゴルフ」のみで、残念ながら「シトロエン カクタス」と「ルノー キャプチャー」のディーゼルは日本には導入されていない。他のシトロエンのディーゼルエンジンモデルや、カングーディーゼルの完成度を基準にして考えれば、「カクタス」も「キャプチャー」も、走行性能など、かなりいい感じに仕上がっているモデルだと思われるし、ガソリンエンジンモデルに比較してもネガティブな面はほぼないだろう。

「BMW 3シリーズ」のガソリンエンジンを凌駕するほどの走行性能を持っているし、「ゴルフ」も実用車としての本筋はガソリンではなく、維持するコストの安いディーゼルエンジンモデルの方なのではないだろうか、とさえ思う。確かにガソリンエンジンモデルと比べると複雑なメカニズムを持っているために、「3シリーズ」も「ゴルフ」も新車時のコストはディーゼルの方が高いが、中古車でガソリンエンジンモデルとディーゼルモデルが同じ値段で並んでいたとしたら、僕は一瞬も悩まずディーゼルを選ぶと思う。

それにしても、なんでそんなに自分はディーゼルエンジンが好きになったのだろう・・・と記憶をさかのぼってみたら、思い当たる原因が頭の中に浮かんだ。それはあの三本和彦先生である。三本和彦先生はその昔、「フローリアン ディーゼル」を長年愛用していたし、その後もメルセデス・ベンツのディーゼルを大切に所有していた。テレビ番組の『新車情報』でも、ことあるごとにディーゼル(と三角窓と黒塗りバンパー)の魅力を伝えていたし、氏の原稿にはディーゼル愛が溢れているものも多かった。そして多感な年齢の僕は、そんな三本節にやられてしまい、ディーゼルウイルスに感染したのではないか、と、そう思う。

天国の三本和彦先生、おそらく僕も人生の最後のクルマまでディーゼルを選び続けると思います。まだまだこれからディーゼルエンジンがどんな進化を遂げるか、つたない文章ですがその経過を追いかけていこうと思いますので、天国から「不躾棒」を使ってご指導ご鞭撻をきびしく、卒宜しくお願い致します。(大林晃平)

Text: autobild.de