【このシューマッハのF355なんぼ?】シューマッハの愛車だったとされるフェラーリF355 GTSがオークションに!しかし本当に彼の所有車だったのか?
2025年2月10日

ミハエル シューマッハのフェラーリF355 GTS:青いフェラーリが競売にかけられるが、本当にシューミの所有車だったのか?オークションハウス、RMサザビーズは、ミハエル シューマッハが所有していた青いフェラーリを競売にかける。しかし、シューミは本当にこのF355 GTSを所有していたのだろうか?
「捕まった!」と「BILD am SONNTAG」紙は当時書き、「この写真はシューミに多くの問題を引き起こす可能性がある」と付け加えた。

Photo: BILD am SONNTAG
・なぜシューミの最初のフェラーリは政治問題となったのか?
・なぜこのフェラーリが今オークションにかけられているのか?
・シューミのフェラーリF355はどこにあったのか?
・シューミはF355をどこで運転したのか?
・シューミは車に傷を残したのか?
・その経緯は完全に記録されているのか?
・シューミのフェラーリはいくらで落札されるのか?
・オークションに出品されている車はシューミのフェラーリなのか?
・シューミのフェラーリはどこで買えるのか?
なぜシューミの最初のフェラーリは政治問題となったのか?
1995年9月の時点では、F1世界チャンピオンのミハエル シューマッハ(現在56歳)は、まだベネトンチームと契約中であった。そして、1995年のエンジンはルノー製であったため、その契約には、他のブランドの車に乗ってはならないという条項があったのかもしれない。
しかし、そこにフェラーリが現れた。あるいは、シューマッハが移籍を決意したからか。1995年の夏には、1996年シーズンにフェラーリから参戦することが決まっていた。そして1996年3月10日のオーストラリアグランプリで、フェラーリのF1マシンで初めてのレースに臨んだ。
そしてある日、シューマッハ家に真新しい「フェラーリF355 GTS」が現れた。フェラーリの最新モデルではない。「F50」はその後発売されたが、ベースモデルである「F355」でさえ挑発的だった。今日、ファンたちは、シューマッハが「ブルールマン」(カラーコード516/C)というカラーと「クレマ」レザー(A3997)の組み合わせを自身の好みで選んだのか、あるいは控えめなカラーがルノーとのトラブルを最小限に抑えることを意図したものだったのか、推測している。結局のところ、フェラーリレッドであればさらに挑発的だったかもしれない。
この非常に有名なフェラーリがオークションにかけられる?
どうやら、そうらしい。オークションハウス、「RMサザビーズ」は、2025年2月4日から7日にかけて青い「F355 GTS」をオークションにかける予定だ。この車は、本当にシューミが使用していたようだ。
オークションハウスは出品車の写真だけでなく、この新聞記事の切り抜きも公開している。記事には「日付なし」と記載されており、RMサザビーズはいつ掲載されたのか把握していないようだ。しかし我々は、この記事が1995年9月24日付の「BILD am SONNTAG」紙に掲載されたものであることを突き止めた。

Photo: Willem Verstraten/RM Sotheby’s
しかし、書類によれば、現在オークションにかけられているフェラーリは、1996年4月13日に初めて登録されており、その時点では、7か月近く経っていた。つまり、シューマッハは少なくとも2台の異なるダークカラーの「フェラーリF355」を運転していたことになる。1995年の車は所有していたのだろうか?不明である。
シューマッハのフェラーリF355は、どこにあったのか?
約21年間、現在オークションにかけられているこの車はコレクターのガレージに保管されていた。このコレクターは2004年5月のモナコヒストリックグランプリでこのフェラーリを購入した。この車をガレージに放置して傷むのを待つのではなく、何度も運転し、アントワープ(ベルギー)近郊のウィネヘムで修理に出していたのは素晴らしい。当初、走行距離は約21,000kmだったが、オークションハウスによると、現在は47,500km近く走行しており、過去21年間で年間平均2,200km強のペースで走っていたことになる。
シューミはF355をどこで走らせたのだろうか?
1996年4月30日、ホッケンハイムリンクで開催された1996年ドイツグランプリで4位に入賞した2日後に、ヴィースバーデンのフェラーリ輸入代理店から納車された。車検証には、当時シューマッハのマネージャーを務めていたヴィリー ウェーバー氏の会社である、シュトゥットガルトの「ウェーバーマネジメントGmbH」の住所が記載されている。その後、誰かが「Michael Schumacher」と書き加えている。

Photo: privat
当時、シューマッハはすでにモナコに住んでおり、青い「F355」は5月5日に地元のフェラーリディーラー「モナコモータース」で最初の点検を受けた。その時点での走行距離は1,639kmだった。2004年、「モナコモータース」は、この車は1997年9月まで同社のサービスを受けていたと述べている。
シューマッハは車に何か痕跡を残したのだろうか?
我々は、車にダメージがあったという認識はない。ミハエル シューマッハは、運転席の背もたれに大きなサインを残した。

Photo: Willem Verstraten/RM Sotheby’s
その歴史は完全に文書化されているのだろうか?
「文書化された歴史」とは何を意味するのだろうか?通常、その車がいつどこにあったか、誰が所有していたか、走行距離はどのくらいかを示す文書が入手可能であることを意味する。販売契約書、車両登録書類、修理請求書、TÜV(ドイツ技術検査協会)の報告書などだ。
このケースも同様だが、いくつかの疑問点がある。売り手とRMサザビーズは、このフェラーリが何人のオーナーの手を経てきたのか、また、ヴィリー ウェーバーの会社でどのくらいの期間走行されていたのかを知らないようだ。分かっているのは、2002年には、カンヌ近郊のムージャン在住のピエール ヴァランタンが所有しており、その後、すぐ隣のヴァロリス在住のクリストファー アレンが所有していたということだけだ。
そして、エンジンについてだが、RMサザビーズは、ウェブサイト上でいくつかの書類を公開している。(分厚い)請求書数枚、整備手帳、この車に関する雑誌記事3本分、さらにはメーカーのクラシックカー部門である「フェラーリ クラシケ(Ferrari Classiche)」による査定書まである。
その査定書によれば、エンジンはいつか交換されたことが分かる。実際、1996年のサービスブックにはミハエル シューマッハの名前も記載されており、エンジン番号は42783と記載されているが、この車はエンジン番号44042で販売されている。RMサザビーズも、この車の説明でこの点について言及している。おそらく非常に高価なエンジン交換の請求書は、ウェブサイトでは確認できない。

Photo: Archiv RM Sotheby’s
シューマッハの車にはより強力なエンジンが搭載されていたのだろうか?テストモデル?すべて憶測するしかない。
シューマッハのフェラーリはいくらくらいで落札されるのだろか?
おそらく、それはわからないだろう。オークションハウスは秘密にしておきたいようだ。RMサザビーズはオークションを「シールド」と呼んでいる。入札する大富豪たちは、他の入札者がいくらで入札しているのかも知らない。しかし、他の入札者よりも低い金額を提示した人は、90秒間入札額を引き上げるチャンスが与えられる。結局のところ、これはeBayのようなものだ。ただし、最終的な落札価格は、最高入札者、オークションハウス、そして売り手のみが知ることになる。
クラシックデータによれば、これほどまでにコンディションの良い「F355 GTS」の現在の平均価格は15万5,000ユーロ(約2,500万円)だ。しかし、シューマッハの名前が付いたものには、コレクターは大金を支払うだろう。シューマッハのサイン入りの飲み物のボトル2本でも、パドックパスやナンバープレートとともに、オークションでは、1,440ユーロ(約23万円)で落札された。つまり、有名人が所有しているというだけで、そして特にシューミの場合は、車の価値が大幅に高まるのだ。
そして、それが偽造者の目を引くこともよくある。言うまでもなく、良品でも普通のフェラーリを購入し、偽の書類とシャーシナンバーを付けて有名人の車として売り出せば、かなりの利益を得ることができるからだ。
オークションに出品された車は、実際シューミが所有したフェラーリなのだろうか?
シャーシナンバー「ZFFXR42B000105416」のこの「F355 GTS」については、「フェラーリ クラシケ」による工場査定が真正性を証明しているようだ。しかし、フェラーリですら、査定費用6,000ユーロ(約100万円)では、科学捜査的な方法で車を検査することはできなかっただろう。
シューミのフェラーリはどこで買える?
RMサザビーズのウェブサイトで入札者登録ができる。登録するには、クレジットカード(5,000ユーロ=約82万円がブロックされる)のほか、十分な資金があることを証明する銀行明細書などの書類を提出する必要がある。
最高入札者が落札価格を支払うのはもちろん、レトロモビル展示会場から車を移動させるだけでも600ユーロ(約10万円)かかる。購入者はその費用も支払わなければならない。

Photo: privat
「BILD am SONNTAG」紙が想像したような、ルノーF1チームとシューミの間に「大げんか」が実際に起こったのかどうかはわからない。ルノーはシューマッハを追い出すべきだったのだろうか?
Text: Frank B. Meyer
Photo: Archiv RM Sotheby’s