【ベスト16】史上もっとも高い金額で落札されたフェラーリ×16台
2020年10月17日
このクルマなんぼスペシャル:ビンテージフェラーリの落札価格ベスト16
以下のフォトギャラリーで、過去に落札されたフェラーリ中、落札価格の高かった16台を紹介する。これは過去のオークションにかけられた最も高価なフェラーリ車16台のランキングだ。その落札価格は、軽く数億円を超え、ベスト5に至っては、いずれも想像を絶する金額だ。
第16位:
1956年製のフェラーリ250GT ツールドフランスが、2014年にロンドンで開催されたオークションで、786万ドル(8億6,460万円)の価格を達成した。
このタイプの車両は9台のみ製造された。
Photo: RM Auction
第15位: フェラーリ275 GTB/C シリーズII
12台作られたうちの1台で、2012年にモンテカルロでおこなわれたオークションで、790万ドル(約8億6,900万円)で落札された。
Photo: Werk
第14位:
フェラーリ250 GTカリフォルニア スパイダーLWBが、アリゾナ州フェニックスで、880万ドル(約9億6,800万円)で新オーナーに売却された。
50台作られたうちの1台だ。
Photo: RM Auction
第13位: 1953年製フェラーリ375 MMスパイダー
落札価格: 908万ドル(約9億9,880万円)
Photo: RM Auction
第12位: フェラーリ250 GT TdFベルリネッタ(1957)
2014年、ロンドンでのオークションで、946万ドル(約10億4,060万円)という金額で落札された。
Photo: RM Auction
第11位: フェラーリ250 LMスカリエッティ(1964)
スカリエッティがデザインを手掛けた1964年製フェラーリ250LMに、無名のコレクターが支払った金額は、正確には962万5千ドル(約10億5,875万円)だった。
Photo: RM Auction
第10位: フェラーリ275 GTB/4スカリエッティ
このスカリエッティのデザインしたフェラーリ275 GTB/4(かつてハリウッドスターのスティーブ マックイーンが所有していた車)は、RMオークションで、ちょうど1,000万ドル(約11億円)で落札された。
Photo: RM Auction
第9位: フェラーリ250LM(1964)
同じく1964年製のフェラーリ250 LM。RMオークションでの落札額は、1,150万ドル(約12億6,500万円)だった。
Photo: RM Auction
第8位: フェラーリ250カリフォルニア
俳優のアラン ドロンが以前所有していたこのフェラーリ250カリフォルニアは、2015年2月におこなわれたオークションで、すべての人の予想を上回る価格で落札された。エキサイティングな入札戦争の後、1,510万ドル(約16億6,100万円)を獲得した。
もちろん、この状態のまま、である。
Picture: DPA
第7位: フェラーリ250 GT SWBカリフォルニア スパイダー
オークションハウス、グッディングの開催したオークションに出品されたこのスタイリッシュなフェラーリスパイダーは、1,580万ドル(約17億3,800万円)を獲得した。
Picture: Gooding&Co
第6位: フェラーリ375プルス スパイダー(1954)
ボーンハムによってオークションにかけられた、この希少な375プルス スパイダーの落札価格は1,830万ドル(約20億1,300万円)だった。
Picture: DPA
第5位: フェラーリ275 GTB4/Cスペチアーレ
RMオークションに出品されたこの275 GTB4/Cスペチアーレは2,640万ドル(約29億400万円)で買い取られた。
Picture: RM Auction
第4位: フェラーリ290 MMスカリエッティ(1956)
かつてのレース界の伝説的存在である、ファン マヌエル ファンジオがドライブしたこともある、スカリエッティのデザインによるこの1956年製フェラーリ290 MMが、2015年12月のサザビーズオークションで記録した落札価格は2800万ドル(約30億8,000万円)というものだった。
Picture: Tim Scott ©2015 Courtesy of RM Sotheby’s
第3位: フェラーリ 335 Sスパイダー スカリエッティ
第3位を獲得したのは歴史的アイコンフェラーリだ。
2016年2月、この車のために入札者が11分間の激しい攻防を繰り返した後、ようやく決着し契約は成立した。パリのオークションハウス、アールキュリアル(Artcurial)によって競売にかけられた、スカリエッティデザインのフェラーリ335 Sスパイダーは、3,570万ドル(約39億2,700万円)で買い取られた。
Picture: Artcurial Motorcars / Christian Martin
1957年に製作されたスポーツカーのアイコンは、ピエール バルディノンの伝説的なコレクションからの1台で、2012年に彼が亡くなった時には50台ものフェラーリが彼のガレージには所有されていた。335 Sスパイダーの曲線的なフォルムは、スカリエッティによってデザインされたものだ。
ドライバーのヴォルフガング フォン トリップスは、ボンネットの下に4.1リッター12気筒エンジンを搭載したホットなイタリアンで、ルマン24時間耐久レースで2位に入賞した。
もともと365HPの強力な3.8リッターV12ティーポ-140を搭載していた高貴なフェラーリは、セブリング12時間レースからそのレーシングキャリアを開始した。そしてミッレミリアへとキャリアアップしていった。
ミニマリスト、シンプル、そして美しい。これこそ1957年当時のレースの美学だ。最も重要なインスツールメントはレブカウンターで、その針は最大10,000rpmまで駆け上がる。
Picture: Artcurial Motorcars / Christian Martin
第2位: Ferrari 250 GTO
ボーンハムによってオークション委かけられたこのフェラーリ250 GTOは、信じがたい3,810万ドル(約41億9,100万円)という落札価格を記録した。
Picture: www.bonhams.de
栄えある第1位は? フェラーリ250 GTO(1965)だ。
1位は現在の記録保持者である1962年に製造された赤いフェラーリ GTO 250だ。2018年8月25日、ペブルビーチ(カリフォルニア州)で開催された「コンクールデレガンス」期間中のRMサザビーズで、シャーシ番号3413GTを持つこのモデルが、4,840万ドル(約53億2,400万円)という、信じがたい金額で、新しいオーナーの手に渡った。
Picture: www.bonhams.de
だが、最も高価なフェラーリの真のナンバー1は誰なのか、議論の余地がある。オークションに出品された車以外にも、個人売買で法外な価格をつけたお宝が何台か存在する。
特に36台しか製造されていないGTOは、愛好家の間で非常に高い価値を持っている。
その何台かの例外を以下に紹介しよう。
このシャシーナンバー4675GTを持つ1963年のフェラーリ250GTOは、スペシャリストポータルサイト「barchetta.cc」によると、コンコルソ デレガンツァ ヴィラデステ2014で、4,200万ドル(約46億2,000万円)で販売されたという。
Picture: Hardy Mutschler
シャシーナンバー5111GTのこのミリオンダラー250は、2013年に5,200万ドル(約57億2,000万円)で新しいオーナーを見つけたとされる。もし事実であるとするならば、これは、史上最も高価なフェラーリとなる。
Picture: Alexandre Guillaumot DPA
おまけにもう1台ご紹介しよう。
イギリスのフェラーリスペシャリストのタラクレスト(Talacrest)は、2016年に250 GTOを売りに出したが、誰も5,200万ユーロ(約65億円)という金額を払う意思を表明しなかった。
車は生産組立ラインから出荷された2番目のGTOだ。
通常、非常にまれな250 GTOはコレクター間でのみ取引され、一般の人々はそれについてほとんど耳にしない。
ブルーの250は、F1チャンピオン&ルマン24時間レースチャンピオンのアメリカンレーシングレジェンド、フィル ヒルと彼のNARTチームに販売される前に、テスト目的でフェラーリによって最初に使用されていたものだ。この間、数々の表彰台を獲得している。
ブルーの夢。このモデルには消耗の兆候はない。車は完璧な状態だ。
オリオ、アクア、ベンジア、世界で最も裕福な車のコレクターだけがこの景色を楽しむことができる。
2016年末以降、高級クラシックカーの価格はやや冷え込んでいる一方で、フェラーリのクラシックカーの価格はここ数年、目まぐるしいほどの高騰を続けている。エレガントなボンネットの下では、伝説の300馬力V12が活躍している。
メイドインイタリア。ボンネットの下から見ても、この250GTOはまるで、60年代の生産ラインから現代までタイムスリップしてきたかのように見える!
Picture: talacrest.com
クラシックフェラーリは高い、特にGTOとか、限定物はとびきり高い、というのはもう十分に知れ渡った話ではあるが、実際にこうして数字にして並べてみると、本当に高かった。
もちろん、その絶対的な価値もさることながら、投資目的の車もあるだろうし、美術品や工芸品としての価値、と考えれば絵画よりも複雑な機構と、ちゃんと走る(自動車として使える、復刻レースに出られる)といった点では勝るとも劣らない価値があるものなのかもしれないが、こんなウン十億円の価格では、もう我々一般大衆にはファミリーレストランでの、オタク談義の話題にするのが限界で、よもや手に入れようなどとは思いもよらないだろう。
上記のほかにも、おそらくどこにも話題に上がることなく、水面下で愛好家から愛好家のもとに秘密裏に譲られている場合もあるだろうし、実際に今回は明らかになった部分だけだから、もっと深い世界がそこにはあるのかもしれない。
これからもフェラーリは価値を下げずにこのまま高値安定なのかどうか、と聞かれればおそらく安くなることはないだろうと思うが、これから出るフェラーリなどが、ここまでの価格を持つものになるのかと尋ねられれば、それはなんともわかりません、と答える以外にない。さすがにこれからの時代、今回の車種のような領域まで、ネオクラシック、あるいはこれからクラシックになるフェラーリが高騰するかというと、個人的にはそこまではいかないのではないだろうか、と予測している。
その理由は台数などのことをはじめ、いくつかあるが、今のフェラーリはどれもレースに出ていないし、ルマンにもフォーミュラーにも出ている市販車は存在しない。フェラーリという会社の成り立ちと歴史を考えた時、昔のGTOやテスタロッサと、今の市販車との一番の違いはそこなのではないか、と思う。
Text: Christian Jeß, Matthias Bruges
加筆:大林晃平