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【このクルマなんぼスペシャル】本当の意味での伝説の1台 フェラーリ250 GTO

2020年10月12日

フェラーリ250 GTO: 落札価格世界記録保持車

4,800万ドル(約52億円)のフェラーリGTO! 
このフェラーリ1台の価格で、メルセデス300SLガルウイングが30台買える!!
ペブルビーチで、このフェラーリ250GTOは、オークションで、歴史上最も高価な車となった。
その落札価格はなんと4,840万ドル(約53億2,400万円)!!!

Photo: Courtesy of RM Sotheby’s
Photo: Courtesy of RM Sotheby’s

2018年、ペブルビーチでオークションの新しい歴史が生まれた。
1962年に製造された赤いフェラーリGTO 250が、オークションで史上最高額で落札されたのだ。
シャーシナンバー「3413GT」のこのモデルは、4,840万ドル(約53億2,400万円)という驚異的な価格で落札されたのだった。
比較するならば、この金額であれば、メルセデス300 SLのガルウィングカーが駐車場いっぱいに並び、手の届かない夢の車でさえも手に入れることができるだろう。そんなに世の中に300 SLがあれば、の話ではあるが。
このフェラーリは、2018年8月25日、ペブルビーチ(米カリフォルニア州)で開催された、コンクールデレガンスの開催中に、RMサザビーズがおこなったクラシックカーオークションで競売にかけられた1台だ。
この赤いGTOは、シリーズで製造された36台のフェラーリのうちの3台目で、元マイクロソフトのチーフエンジニアで、熱心なコレクターでもある、グレッグ ウィッテン氏のコレクションから出品されたもので、エンジン、トランスミッション、リアアクスルは今でもオリジナルパーツのままだ。
ウィッテン氏は2000年からこのフェラーリを所有し、様々なクラシックカーのイベントや、GTOのアニバーサリーツアーに4回参加した。

Photo: Courtesy of RM Sotheby’s

300馬力のV12
記録を塗り替えたこのGTOには、波乱に富んだ過去がある。
フェラーリのファクトリーカーとして、1962年のタルガフローリオで、F1世界チャンピオンでルマン優勝者のフィル ヒルがテストカーとしてドライブした1台だ。
同年、GTOは初代オーナーである、ジェントルマンレーサーのエドアルド ルアルデ-ガバルディに売却された。
彼はこの年、イタリアのナショナルGT選手権で何度も優勝し、10レースで9勝を挙げている。
1964年、RMサザビーによれば事故歴のないハンドメイドのフェラーリ250 GTOは、スカリアリからボディワークのアップデートを受けた。
他の数人のオーナーの中には、世界的に有名なジュエリー王国のトップであるジャンニ ブルガリもいた。

Photo: Courtesy of RM Sotheby’s
Photo: Courtesy of RM Sotheby’s
Photo: Courtesy of RM Sotheby’s

議論の余地のないナンバーワンとしての250 GTO
3,500万ドル(約38億5,000万円)というエントリー入札価格(最低入札価格)でさえ、以前の記録保持者(車)のレベルだった。
このシリーズのグランツーリスモは、まさにこの金額でオークションに出品されている。
それまで最も高価だった車は、2014年にイタリアのオークションで無名の落札者によって、3810万ドル(約41億9,100万円)で落札された、赤い250 GTOだ。

以前の記録保持者(車): 落札者にとって、3,800万ドル(約41億8,000万円)以上の値打ちがこの赤い250 GTOにはあった。

世界で一番高いクルマは、という子どもだけではなく、一般的な方々が関心を持つ質問への答えとして、まあ答えておいて(だいたい)、間違いのない車種は、フェラーリGTOか、ブガッティ(の、ロワイヤルとか アトランティク)あたりだろう。
特にフェラーリGTOといえば、ウン億円は当たり前だった時代はとっくの昔に過ぎ去り、今やウン十億円、という価格になっているのだから、庶民や一般的な(特に車好きではない)考えの方だったら、腰を抜かさんばかりの金額である。
家やマンションといった無粋な比較基準は持ち出さないが、今回の53億円という金額は、ホンダ ジェットだったら、ざっと9機、伝説的なイタリアのボートである、リーバ アクアラマだったら(もはや新品はないけど)、100艇、フェラーリの現行ラインナップの中からローマでよければ200台、アルファロメオ ジュリア2.0ターボ スプリントでよければ1,100台、ホンダN BOX G・EX(FFモデル、ナビなし)であれば1,785台にあたる。
ここまでの金額となると、ゴッホとかゴーギャンとか山口晃といった美術の世界の話か、それこそベルエアか六麓荘町の大型物件くらいしか頭に浮かばないのが悲しいが、言ってみればGTOも走らせるというよりは、もはや飾って、愛でる歴史的な美術品のような存在なのであろう。
どうも無粋なお金の話しかしないのはなんとも恥ずかしいが、とにかく今回の金額は「今のところの」最高額であって、今後はもっと上がるかもしれない。なにしろ今ある台数がすべてで、これからも(偽物がでなければ)増えようがなく、高価格安定維持は必須なのである。

Text: Christian Jeß, Matthias Bruges
加筆:大林晃平