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【ガチンコ勝負】イタリア対ドイツ アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ VS メルセデスAMG C 63 S

2020年10月9日

想像できない素晴らしさと、想像できる素晴らしさ

ジュリア クアドリフォリオ ヴェルデとAMG C 63 Sのトラック対決。現在過激なスポーツセダンといえば、アルファとメルセデス。我々はこの2台を試して、違いを見つけた。

メルセデスには洗練された技術が多く含まれている

アルファロメオは、4つの車輪にエモーショナルな最高のものを提供している。
高速の歴史と伝統、優れた後輪駆動DNA、ツインターボの縦置きエンジン技術は、アルファの最速タイプをプッシュする。
2基の強力なターボチャージャーが、3.9リッターV6から510馬力を生み出し、後輪を強力に駆動する。
一方、メルセデスAMG C 63 Sは、クローバーリーフのアルファロメオのような、ロードレースの伝統を持っていない。
しかしその代わり、C 63 Sは、電子的にコントロールされたドライビングモードからの正確な装備を有している。
4.0リッターの排気量と510馬力を併せ持つ高精度V8ツインターボは、マルチディスククラッチ、トラクションコントロール、そしてサスペンションコンポーネントを備えた9段オートマチックトランスミッション間で絶妙に洗練されたコンビネーションを発揮する。

ハイレベルのエンジニアリング。メルセデスAMG C 63 Sでは、精密かつファインチューニングされたすべてのパーツが絶妙に連動する。

ドライビングパフォーマンスに関しては、ジュリアが先行している

基本的にはアルファはより速い車で、メルセデスはスポーツカーとして優れている。
例えば0-100km/h加速では、ジュリアは同じパワーとやや重い車重のCクラスを楽々と引き離す。
アルファは最初の数メートルでパワーを発揮する。
アルファがクアドリフォリオに最高時速307km/hまでの走行を可能にしていることもプラスポイントだ。
簡潔に説明するなら、イタリア車はブレーキも半端なものではなく強力だ。
時速100km/h時から完全停止までの距離で、Cクラスに1メートル以上の差を付けることは、賞賛に値する。

より速い。ジュリアは0-100km/h加速と最高速の両方ともC 63 Sより速い。

レーストラックでは、C 63 Sはより正確だ

そしてテストトラックへ。
ここで、普段はどちらかというとのんびりしているCクラスが華々しく、見事な変身を遂げる。
貪欲さと熱意でCクラスは、アスファルトをしっかりと掴み、そして、アンダーステアや荷重の変化にも的確に反応して、正確な走りを見せる。
要するに、C63は見事に仕事をこなすのだ。
ステアリングシステム(我々の意見ではベストポジションは「コンフォート」)は、繊細で、アスファルトの路面が何を必要としているかを瞬時に判断し、適切な量のトルクを供給してくれる。
コーナリングも、ステアリングをわずかに開き、少量のパワーを適用すれば、メルセデスは意図したように半径を取る。
ツインターボベンチレーションによる幅広いセットアップ力だけでなく、9方向(!)の調整可能なトラクションコントロールの予想外の柔らかさにより、C63はコーナー出口でもパワーを失うことなく、力強く加速前進することができる。
ドリフト角があるにもかかわらず、優れてコントロールされ、安心感を与えてくれることも素晴らしい。

テストトラックツール。C 63 Sは、たやすく、クイックに操作できる。最速ラップタイムは1分34秒90を記録した。

アルファでは、明らかにドライバーはより多くのことが求められる

C63からジュリアに乗り換えてみよう。
シートはピッタリとフィットする。
そして、すぐに雷のようなスタートダッシュとともに63を追い抜く。
イタリア車は、メルセデス(ほぼ1.8トンの重量)に比べて、57kg車重が少ないだけにもかかわらず、はるかに軽やかに感じる。
ステアリングホイールを半分ほどひねると、イタリア車は、1車線分シフトする。
それほどクイックなのだ。
これがコース修正をするときの主観的な感覚だ。
ドライビングスタイルは、ライン上の細心の注意を要求する。
また、アルファは前輪が路面をよりよく噛みしめることも注目に値する。
ブレーキの効きが良くなったことで、ストレートの終盤でのスピードも向上している。
しかし、ドライバーは自分の役割をしっかりと果たさなければならない。
彼が運転の安定性を電子機器に任せると、ポジション「d」(ダイナミクスの略)であっても、不適切に厳しくセダンにブレーキをかけるからだ。
ドライバー自身が要点をつかみ、適切に行動しなければならない。
メルセデスでは、これらはすべて直感的に機能する。

ドライバーズカー。テストコースではジュリアが1分34秒12で、C 63 Sよりじゃっかん速かった。しっかりコントロールすることは必要だが。

テクニカルデータ: アルファメロメロ ジュリア クアドリフォリオ ヴェルデ
● エンジン: V6ツインターボ、フロント縦置き ● 排気量: 2891cc ● 最高出力: 510PS@6500pm ● 最大トルク: 600Nm@2500rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、8速AT ● 最高速度: 307km/h ● 0-100km/h加速: 3.9秒 ● 全長×全幅×全高: 4639×1873×1426mm • 乾燥重量: 1720kg • ラゲッジコンパートメント容量: 480リットル ● 燃費: 8.9km/ℓ ● CO2排出量: 266g/km ● 価格: 80,420ユーロ(約1,005万円)より

テクニカルデータ: メルセデスAMG C 63 S
● エンジン: V8ツインターボ、フロント縦置き ● 排気量: 3982cc ● 最高出力: 510PS@6250pm ● 最大トルク: 700Nm@1750rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、9速AT ● 最高速度: 290km/h ● 0-100km/h加速: 4.2秒 ● 全長×全幅×全高: 4757×1839×1426mm • 乾燥重量: 1777kg • ラゲッジコンパートメント容量: 435リットル ● 燃費: 9.3km/ℓ ● CO2排出量: 254g/km ● 価格: 84,854ユーロ(約1,060万円)より

結論:
ジュリアは100点だ。
少なくとも古い価値観によって採点するならば。
速く、レーシーで、エキサイティングで、魅惑的だ。
究極的には、同じように性能の優れたC 63 Sほど普遍的ではない。
C 63 Sのドライブコントロール性能は説得力があり、そのV8は文句なく素晴らしい。

モデル末期となってしまったが、だからこそ完成度の高いメルセデスベンツCクラスをベースとしたC63 Sとアルファロメオ ジュリアの高性能版であるクアドリフォリオ、それはなかなかの好敵手対決と言える。
こういう趣味的な車の場合、最終的には、信奉するブランドであるとか、昔から憧れていたメーカーなどなど、そういう部分が一番重要で、クルマの性能とか完成度とか、あるいは故障しやすいかといったファクターは、実はあまり重要視されないものなのかもしれない。
そう考えると今回の対決でいくら性能やハンドリングの優越を客観的に比較しても、本当に欲しい人は一直線にわき目も降らず欲しいほうの一台を選ぶ、クルマを買うなんていうものは昔からそういうものだ。
特にアルファロメオとメルセデスベンツはそういう意味では愛好家は水と油というか、正反対な人たちが多い(まあそれでも、どちらも好き、という人もいるとは思うが…)。

ということで、今回の比較も、お好きな方を選べば間違いのない選択ではないでしょうか?という結論になるが、今やアルファロメオの高い完成度や洗練性、さらに故障の少なさなども決してメルセデスベンツに劣らないものとなっているということだけは付け加えておきたい。であるから、余計に好きなものを、自分が一番気に入ったものを買うことが幸せ、という結論で間違いないと思うし、そもそもまったく性格の違う2台なのだから、比較などしてもしょうがない、とも思うのである。

Text: Jan Horn
加筆:大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD