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【初テスト】最高のパフォーマンスを実現するプラグインハイブリッド 新型「メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス」を徹底テスト!

2024年11月27日

メルセデスAMG GT 63 S E パフォーマンス:最高のパフォーマンスを実現する新型プラグインハイブリッド駆動。メルセデスAMGにとっては、これは初めての試みだ。これを実現するために、アファルターバッハでは4ドアモデルの駆動システムをGTに移植している。

もちろん、「AMG One」はまだ購入可能だが、実際にはすでに完売しており、ドバイ以外の公道で目にする可能性はかなり低いだろう。そこで、オンラインで設定可能なものを見てみよう。例えば、新型の「AMG GT」だ。

新型「GT」やプラットフォームを共有する「SL」、そして4ドアの「GT 63」にも、現在ではプラグインハイブリッドパワートレインが搭載されている。正直に言って、このテクノロジーを「SL」や「GT」のスポーティなボディに搭載できたことは、非常に素晴らしいことと言える。

6.1kWhの小型バッテリーは、純粋な電動モードで13km走行できる。しかし、GTはそれを目的として設計された車ではない。

AMGの強力な4リッターV8エンジンを搭載したため、フロント部分はすでにかなりいっぱいになっている。そのため、電動モーター、バッテリーパック、電子機器は、新型の高性能モデルのフロアパンとリヤに移動されている。これにより、トランクスペースは182リットル(GT)または110リットル(SL)に減少するが、言うまでもなく、このような車では、積載スペースは通常あまり重視されない。

システム出力816馬力のメルセデスGT 63

出力についてさらに詳しく説明すると、その数値は膨大だ。内燃エンジンだけでも612馬力で、通常の63よりも27馬力多く、電動モーターはブーストモードでさらに150kW(204馬力)を追加する。その結果、システム出力の最大値は816馬力、そして最大トルク1,420Nmという途方もない数値となる。

これまで通り、AMGの万能兵器である4リッターV8エンジンは、今でも1人のマイスターによって組み立てられている。

その結果、このモデルレンジでは最速の0-100加速タイムである2.8秒を記録している。そして、低回転域での加速は本当に素晴らしいものだ。2.2トンの車体が抵抗なく前に飛び出すのだ。その限界は主に物理的法則によって定められるが、それは新しいミシュラン製パイロットスポーツS5がまずそのパワーをすべてアスファルトに伝えることができるか否かにかかっている。

GTとSLは、その余分な重量を隠している

タイヤは、効率的な全輪駆動のおかげで、素晴らしい働きをしている。「GT」と「SL」は、その余分な重量を隠すことにも非常に長けている。ステアリングはこれまで通り敏感で、追加の駆動のおかげで重量配分はノーマルモデルよりもさらに改善されている。もちろん、余分な重量はリヤアクスルにかかっている。

その一方で、従来の「63」シリーズがすでに重量級であるため、E-パフォーマンスモデル2種が我々にとって意外と普通に見えるかもしれない。225kgが追加されたところでそれほど大きな影響を与えないのだ。

E-Performanceモデルの標準装備:カーボンセラミックブレーキシステム。

バッテリーパック自体は非常に小さく、使用可能容量は4.84kWhだが、それでも「GT 63 S Eパフォーマンス」を13km走行させることができる。しかし、これは第一の目的ではない。なぜなら、言うまでもなく、このコンセプトは燃料の節約よりもパフォーマンスを重視して設計されているからだ。

「GT」にはかなりの予備容量があるため、いつでもパワーアップが可能だ。エネルギー回生はレースモードで機能し、ブレーキや減速時にエネルギーがバッテリーにフィードバックされる。サーキットでは、1周するだけで次の周回分のバッテリーを充電でき、3周目から再びアタックを開始できる。少なくとも理論上は、という話だが・・・。AMGの新しいスポーツカープラットフォームはサーキットで非常に優れた性能を発揮するが、「63 S E パフォーマンス」をサーキットで頻繁に見かけることはまずないだろう。タイヤに大きな負担をかけてしまうし、AMGは、612馬力とカップタイヤを搭載した、本物のサーキット用武器である「GT 63 PRO」をつい最近発表したばかりだから、わざわざ重い「63 S E パフォーマンス」を振り回す必要はないと言える。

SLはGTよりも5,950ユーロ(約100万円)高いが、晴れた日のドライブを楽しくしてくれる。

一方で、「63 S E パフォーマンス」は、日常的な運転やショッピングストリートでの散策にはるかに適している。ただし、この特徴は今回追加された「GT 63 S E パフォーマンス」の存在意義を問うものだ。なぜなら、通はクローズドボディの「GT」ではなく、わずか5,950ユーロ(約100万円)の追加で、「SL」に手を伸ばし、オープンエアオプションを手に入れる可能性が高いからだ。高速道路でもソフトトップは走行音をしっかりと遮音するので、違いを感じさせることはない。

次にコストについて見てみよう。「GT」の割引なしの価格は217,770ユーロ(約3,600万円)、「SL」は223,720ユーロ(約3,700万円)だ。つまり、電動アシストなしの場合と比べて約29,000ユーロ(約480万円)高くなる。確かに高いが、標準装備のセラミックブレーキだけで追加コストの3分の1を占めている。

結論:
この駆動系により、最もパワフルな「GT」は縦方向のダイナミクスのベンチマークとなる。しかし、ドライビングダイナミクスの専門家は「GT 63 PRO」を選ぶ可能性が高く、目利きは「SL」を選ぶ。これにより、「GT 63 S Eパフォーマンス」は、ニッチの中のニッチに位置づけられることになる。

Text: Alexander Bernt
Photo: Mercedes-Benz AG