550馬力の新型「BMW M3 CS」をサーキットでテスト 果たしてM3 CSはその高価格に見合う性能と楽しさを備えているのか?
2024年9月13日
BMW M3 CS(2024):550馬力の直6エンジン。M3 CSは、どういうわけかCSLの臭いがプンプンする。サルーンは見た目もシャシーもCSLにそっくりで、値段も高い。だから本当に速いんだろうね?
様々なカーボンパーツで20kg軽量化され、「M4 CSL」の550馬力と黄色いデイタイムランニングライトが移植され、最高時速リミッターが解除され、バケットシート、セミスリック、すべてのベル&ホイッスルが標準装備された「トラックパッケージ」が装着された全輪駆動の「BMW M3」がなんと14万6,000ユーロ(約2,365万円)。かなり充実しているようだが、ちょっと高すぎないか?
比較のために:これまでで最速かつ最もスポーティな「M4 CSL」は19,000ユーロ(約307万円)高く、「M3 CS」のオプションであるセラミックブレーキが標準装備されている。全輪駆動の標準的な「M3」は100,300ユーロ(約1,624万円)で購入できる。M部門(M GmbH)は、「CSL」の部品が余っていたので、それを使って「M3 CS」をそのまま作り、価格をかなり高く設定したようだ。結局のところ、「CSL」は伝説的なものであり、高価なものであれば、それは優れて速くなければならない。
開発者のガルヒンガーさんには悪いが、それは私たちだけの意見ではなく、多くのBMWやMのフォーラムにも溢れているのが現実なのだ。でも、この「M3 CS」が「M4 CSL」と同じくらい速かったら、確かにみんなかなりおとなしくなるのも事実だ。しかし、書類上でもそうはならない。「CSL」は130kg軽く、「M3 CS」には(まだ)設定されていないミシュラン製カップ2 Rタイヤを履いている。もちろん、「CS」には確実な全輪駆動が搭載されているが、正直なところ、それも数秒とかからない。しかし、よくあることだが、主観的にも客観的にも事実が必要だ。そうして初めて、有効な判断ができる。ザクセンリンクサーキットのオンとオフで試してみよう。
BMW M3との違い
ノーマルの「M3」との違いをざっと見てみると、前述のように「CSL」のお化粧直しだけではなかった。ターボのブースト圧を上げただけ?そうではなく、直列6気筒ターボエンジンのクランクケースはライナーレスのクローズドデッキ設計で、剛性を高めることで特に高い燃焼圧力に対応できるように設計されている。さらに、フリクションロスを低減するためにシリンダーライナーの重量が最適化され、独立アクスルキネマティクス、適合スプリングとダンパーを含むシャシーセットアップが変更され、走行安定性制御、アダプティブダンパー、ブレーキシステムのソフトウェアがよりシャープになった。
私たちはラウジッツリンクサーキットのDEKRAテストオーバルで縦方向のダイナミクスを測定した。M部門はゼロから100km/hまでを3.4秒としている。ローンチコントロールを作動させ、ターボの回転を上げて発進。特に最初の数メートルで、「M3 CS」は世界で最も自然なことであるかのようにトラクションをかける。カップタイヤのおかげもあって、このサルーンは我々のテストでは、規定よりコンマ2秒速いわずか3.2秒で100km/hまで加速した。200km/hまでは550馬力の「CS」がわずかに上回るが、200km/hから280km/hの領域では「CSL」がわずかに速かった。
最高速度302km/h
一般道や高速道路、日常的なドライビングについて多くを語る必要はないだろう。キャンバーを増やし、シャシーを改良したにもかかわらず、この「M3」は簡単にそれができる。302km/hは夢物語ではなく、それほど長い加速をしなくても出せるのだ。
しかし、ザクセンリンクサーキットではどうだろう?そのラップタイムは「CSL」に迫るのか?ノーマルの「M3」を上回るのか?最初の数メートルで明らかなように、「CSL」には間違いなく及ばない。だが、そのハンドリングは印象的で、安定性と俊敏性を織り交ぜながら流れるようなラインを描き、ステアリングの精度、コーナリング時のグリップ、トラクションは「M3」よりも一段と高い。しかし結局、「CS」は「M3」よりコンマ7秒速いだけだ。労力とコストの割には少なすぎる。
ちなみに、先代モデルの「M3 CS」は、バッジを付けた「M4」よりも色白に見えた。というわけで、夏に登場する「M4 CS」が「CSL」にぐっと近づき、「CS」バッジと金額に見合ったものになることを期待するしかない。
結論:
正直なところ、「CS」の価格プレミアムは恐ろしく高く、性能の向上はごくわずかであるため、このテストの終わりには、5万ユーロ(約810万円)安い、「M3コンペティションxDrive」の購入を勧めるしかない。
Text: Guido Naumann
Photo: Ronald Sassen / AUTO BILD