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純粋主義のロードスター「マツダ MX-5」はその本質を保っている!今や希少な存在となったMX-5の魅力をスコットランドで堪能する

2024年7月24日

マツダ ロードスター(MAZDA MX-5)の走行レポート。スコットランド ハイランドで強さを発揮したマツダ MX-5。他のロードスターが陰鬱な雰囲気に押されてレースから脱落する中、マツダ MX-5はどんな逆境にも打ち勝つ。

自由な時間に新鮮な空気に触れたい人ほど、オープンカーやロードスターについてあまり知りたがらない。「アウディTT」、「メルセデスSLK」、そしてやがて「BMW Z4」も歴史に名を刻むことになり、残された数少ないオープンエアモデルの空気はますます薄くなっている。

フレッシュエアムーブメントの先達であるブレイブハートトップレスだけが、いわば勇敢にもこのトレンドに逆らっている。ちょうど35年前にデビューした「マツダ MX-5」は、オールドイングリッシュスタイルのライトウェイトロードスター復活の引き金となっただけでなく、「ポルシェ ボクスター」や「アウディ TT」、「メルセデス SLK」、「BMW Z3/Z4」といったモデルを生み出した。そして、ライバルや模倣車のどれよりも長生きしている。

マツダ MX-5:33,190ユーロ(約564万円)より

そして、日本の誇るオープントップモデルはその空気の供給を断つことなど夢にも思わないだろう。それどころか、世界で最も成功したオープンスポーツカーに、さりげなく、しかし効果的なイメチェンを施し、ロードスターの空の暗雲がいずれまた晴れることを期待している。ここスコットランドのハイランド地方のように、天候は世の中よりも速く変化する。

純粋主義のロードスター:マツダ MX-5はその本質を保っている。

しかし、晩春のインバネス北部の朝は寒くて不快かもしれないが、この旅には「MX-5」が真っ先に選ばれる。もちろん、人工の火で暖められた「レンジローバー」のほうが快適だし、「ディフェンダー」なら悪路を恐れる必要はない。しかし、「MX-5」ほどカーブを楽しめるクルマは他にないし、狭いコースでこれほど正確にポジションを決められるクルマも他にない。そのうえ、33,190ユーロ(約564万円)からという価格は、クルマだけでなく休暇も予算に含めることができる。

「MX-5」を集中的に楽しめるようにするため、マツダは4世代にわたってドライバーをどんどん中央に移動させ、クルマに近づけてきた。その前に立つ限り、あなたはデザインのどこが変わったかを自問するだけではない。何よりも、自分の1.89メートルをどうやって人間らしくクルマに収めればいいのか知りたくなるのだ。

しかし、レタッチされたヘッドライトやテールライトをひと目見ただけで、文字通り悟りの境地に達するように、乗り込んですぐにシートとステアリングホイールの間をすり抜けると、なぜかすぐに安心できる。窮屈でもなく、かといって離れているわけでもなく、重心や、いや、クルマのGスポットに近く、アスファルトに驚くほど近い完璧なポジションをすぐに見つけることができる。

マツダはMX-5に1.6リッターと2リッターのエンジンを用意している。

なぜこれが重要なのか?大半のクルマでは、快適に座れて、頭と膝に十分なスペースがあれば十分だ。しかし、「MX-5」は本格的なスポーツカーであり、接触とコントロールがすべてだと考えている。マツダのマーケティングは「人馬一体」という言葉を好んで使う。「CX-5」のようなファミリーカーにとって、これは少し突飛な表現だ。しかし、ドライバーとクルマがどこかで「一体化」しているとすれば、それはここである。

そして、カーブを曲がるたびにそのことに気づく。ロードスターは、他のクルマとは違って、ほとんど直感的に理想的なラインを保ってくれる。歩くときに片足を前に出すように、ここでは何も考えずにステアリングを切ることができる。

極めて歯切れの良いギアスティック

これほど楽しいのは、「MX-5」が30年以上にわたって果敢に守り続けてきたクラシックなロードスターの美点によるものだ。小さくて軽いだけでなく、極めて歯切れの良いギアスティック、そしてもちろん後輪駆動。フェイスリフトでワイヤレスのApple CarPlayなどという馬鹿げた機能が導入されたとはいえ、ディスプレイは少し大きくなり、電子制御が速度、車線、注意力を監視するようになった。結局のところ、誰がこんなクルマの中でテキストメッセージを読みたいのだろうか?そして、ドライバーが常に完全に集中しているクルマがあるとすれば、それはこのクルマだろう。

スピードは相対的なものだ。MX-5の最高速度219km/hは速く感じる。

そして今回のアップデートで、さらにレベルアップした。というのも、2つのミニエンジンのうち大きい方を選ぶと、184馬力と205Nmの2リッターエンジンに加えて、リアアクスルに新しい非対称リミテッドスリップディファレンシャルが装備されるからだ。

これを体感するには、専門学校でドライビング物理学の学期を履修するか、アップルクロス峠などの壮大なヘアピンカーブをただ乗り込んで駆け上がるしかない。エンジンは7,500rpmの限界まで難なく回転し、そのけたたましい咆哮がどんなサウンドシステムも不要にする一方で、MX-5はあらゆるカーブで貪欲に粉砕し、再び元気よく加速する。

MX-5は依然として軽量

それもそのはず。わずか1トンの車重では、4気筒エンジンでも楽勝だ。そして最後に、峠の頂上からさらにきついカーブを下って海岸に戻るとき、新しいシートカバーが以前より見栄えがよくなっただけでなく、何よりも遠心力との戦いでより大きな支えになっていることに気づく。

フェイスリフトによって、コックピットにモダンさが加わった。

0-100km/h加速6.5秒や最高速度219km/hといった数字に、ドイツ南部のポルシェドライバーやその友人たちが大笑いしても、ここハイランド地方ではすぐに喉から手が出るほど笑えるだろう。というのも、その旺盛なパワーとワイドなヒップを持つ本格的なロードスターが狭いコースでついていくのが難しいのに対し、MX-5は山間部を明日をも知れぬ速さで駆け抜けるからだ。1.6リッター、132馬力のベーシックなエンジンでも、「911ターボ」よりも楽に走破できるのだ。

しかし、「MX-5」をハイランドでヒットさせているのは、フォーマットとハンドリングだけではない。もうひとつ、このクルマには特別な特徴がある。従来通り、ソフトトップは手首をひねるだけで開けられ、片腕で後方に投げ出すことができる。したがって「MX-5」は、ここ北部の大西洋の気まぐれな天候に対処するための装備としては、最も高価な高級コンバーチブルよりも優れている。

この先もずっと太陽が照らし続けてくれることを願って。ロードスターの魅力は、相変わらず生き生きとしている。

そして、何度か突発的なにわか雨から身を守ったり、その見返りに太陽の光を一秒一秒楽しんだりしたことのある人なら、愚かなオートマチックトランスミッションとは関わりたくないと思うだけではないだろう。

水平線に溶け込みそうなほど低く垂れ込める暗く迫り来る雲であれ、きらめく青空であれ、なだらかな丘であれ、険しい崖であれ、穏やかな湖であれ、荒れ狂う海であれ、ここスコットランドの北部ではいつでもどこでも、新しいパノラマを見るたびに、どんなに荒廃した廃墟であれ、風に折れ曲がり亡霊のように枯れ果てた木々の絡み合いであれ、「MX-5」と見事に調和する、目に見えない仲間が記憶の中で際立ってくる。クリストファー ランバートとショーン コネリーが「MX-5」初公開の直前、1986年にこの不毛の北の大地を世界的に有名にした『ハイランダー』。

そして、まるで魔法のように、クイーンのフレディ マーキュリーがあなたの耳元で、”永遠に生きたいのは誰?”とアンセムに問いかける。たとえば「マツダMX-5」。このクルマに乗れば、年老いた樹液でさえ若返ったように感じ、それだけで不死身になれるからだ。ハイランダー自身の言葉を借りれば、”これひとつしかない”。

Text: Thomas Geiger
Photo: Craig Pusey / Thomas Geiger / AUTO BILD