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【このクルマなんぼ?】懐かしい!覚えてますか? BMW Z1 ほぼ新車状態 落札額は?

2020年8月31日

この30年前のBMW Z1は、わずか284kmしか走行していない。そして今、このロードスターは売りに出されている。驚くことに、その価格は思ったほど高くない!

BMW Z1は普通のクルマではない! BMWファンはこのロードスターを「公道用コンセプトカー」と好んで呼ぶが、その主な理由はその近未来的なデザインにある。 発表から30年以上経った今でも、Z1はクラシックカーには見えない!

1989年から1991年の間に、内外装にE30(Z)と表記されたBMW Z1は、8000台がまさに手作業で製造された。このロードスターのトリックは、もちろんサイドスカートに格納可能なドアで、Z1のオーナーはオープンドアでの運転が可能になる。ボンネットの下には、よく知られた2.5リッター直列6気筒エンジン(M20)が搭載されており、170馬力と222Nmを発揮する。1,250kgのロードスターを7.9秒で0から100km/hまで加速し、225km/hという最高速度を備えている。

リトラクタブルドアは、小さなロードスターのトリックであり、大きな入り口を確保している。

BMW Z1は約4万ユーロから中古で販売されている

技術革新にはそれなりの価格が付いていた。生産最後の年には、手作りのZ1の新車価格は89,000ドイツマルク(約570万円)だった。その後の数年間、価格は幾分下落したものの、その後は継続的に上昇した。近未来的な外観を持つZ1がコレクターの間で人気を博したのは、ここ数年だけではない。ドイツで販売されている最安中古モデルは4万ユーロ(約500万円)前後だが、その価格帯のユーズドカーは通常は6桁以上の走行距離のものだ。

30年間でたった284キロしか走っていない

さらに興味深いのは、最近アメリカで販売されたこのBMW Z1の価格だ。1990年に製造されたこのロードスターは、過去30年間で284キロしか走行しておらず、実質的に新車の状態であるため、コレクターにとっては非常に魅力的な存在となっている。元々はドイツの個人コレクションからのもので、2020年までアメリカには輸入されておらず、オークションサイト www.bringatrailer.com で、オークションに出品されている。出品者によると、外装色の「トップレッド」はZ1の外装色の中でも最も人気のある色の一つで、3,102台が生産されたとのこと。もっと珍しいのは、「パープルブルー」、「ファンイエロー(fun yellow)」、「マジックバイオレット」の3色だ。このZ1の内装はクラシックグレー、ファブリックトップはブラックだ。

2.5リッター直列6気筒エンジン(M20)は170ps、222Nmを発揮する。

Z1の装備については、すべてのロードスターがほぼ同じ装備で、例えばすべてがエアコンなしで納車されていたほかは、特に語ることはない。16インチのホイールでさえもオリジナルだ。多くのオーナーは、長年にわたってハルトゲやアルピナ、BBSからZ1用のホイールを譲り受けてきた。非常に短い走行距離を持つこのロードスターでは、すべてが絶対的なオリジナルの状態にある。2019年末にはディーラーでフル点検整備も受けている。

新車同様のBMW Z1がこの値段


おそらくこのユニークなBMW Z1がいくらで売られたのかという疑問が最後に残る。デジタルハンマーでは、101,000ドル(約1,100万円)で落札されている。それ自体は高額ではあるものの、ドイツでは、多くのZ1が1万キロ未満という走行距離の中古Z1が9万ユーロ以上(約1,100万円)以上で取引されているので、直接比較して、この新車同様のZ1の落札価格は決して高いとは言えない。むしろバーゲン価格だ。さらに高額なのは、Z1をベースに66台しか造られなかったアルピナモデルのRLE(ロードスター限定車)で、すでに10万ユーロ(約1,250万円)以上の価格で取引されている。

アンビリーバブル! 30年の間にわずか284キロ。このBMW Z1は実質的に新車だ。

BMW Z1といえば、言うまでもなく「あのドア」である。電動で上下に動く、あのドア、あれがあってこそのZ1だ。隣の車にぶつける心配もなく、ガルウイングのようにガレージの天井にぶつける心配もなく、とにかくスマートに上下にシュッと動く、あの電動ドア。開けたままでも走ることができるし、とにかくZ1の大きな魅力のひとつはあのドアに間違いない。残念ながらその後のBMWにまったく採用されないところをみると、コストの面か、重量か、耐久性か、側面衝突か、サイドシルの高さによる乗降性の悪さか、そういった点がウイークポイントとしてその後の量産化にはNGが出たのだろう。本当にあのドアは格好良かっただけに、Z1だけで終わってしまったことには残念な気持ちしかない。だがZ1の魅力はドアだけかというと、そんなことはまったくなく、まず何よりも、この未来的なスタイルが魅力的だ。登場から30年たっても古さを感じさせる部分など皆無で、BMWのデザイナーである長島譲二さんには悪いが、この後に登場したZ3よりも、Z4よりもずっと未来的でスタイリッシュなのではないか、と思う。

もうひとつ、Z1の魅力はこのサイズにある。スリムでとにかく小さい。30年前だからこそ成立した形と大きさ、とエンジニアたちは言うかもしれない。であるならば……、今のテクノロジーを使って、普通のドアでこのサイズの車を作ることができたら、きっと魅力的だろうな、と思ってしまう。Z1を見て、たった170馬力、とは言わないで欲しい。このサイズならば十分以上だし、オープンモデルでは過剰なパワーなど、風との戦いになって、苦痛なだけである。

さて今回のZ1、ざっと1000万円以上とのことだが、これは新車価格の倍ということになる。だがそれもしかたない。もしどこかに月極駐車場(しかもあまざらし)を借りていたとして、計算してみるとひと月当たりの金額は2万円にいかないくらいである。しかも、これはそこに置いておいたままの放置プレイの金額であって、コンディションを保ちながら30年保管するというのがどれだけ大変なのか、そう考えるとこの金額もリーズナブルとも思えるのである。

Text: Jan Goetz
加筆:大林晃平