【ああ純粋に楽しい】世界で最もパワフルなSUVの一台「ダッジ デュランゴ ヘルキャット」アメリカ製V8高性能SUVを試す！

ダッジ デュランゴ ヘルキャット（Dodge Durango Hellcat）： 世界で最もパワフルなSUVのひとつで、HEMIエンジンを搭載した特別なSUVだ。荒れた路面を走るためのスポーツカーは、ドイツ南部の育ちの良すぎるパフォーマンスSUVとは一線を画す歓迎すべきモデルだ。

良質で誠実なロックミュージック、ハンバーガー、バーベキュー、全盛期のアーノルド シュワルツェネッガーのようなパンチのある8気筒エンジン。そしてこれらすべては、政治家や有名人がどんなに影響力を持とうとも、それよりもずっと強く、そして何よりも永続的なのだ。ブルース スプリングスティーンが何度目かのヨーロッパツアーを行い、夏の間中、前庭のスモーカーでリブが焼かれている一方で、少なくともステランティス大家族の「ダッジ」はV8エンジンに忠実であり続けている。一方、ここドイツでは、多くのブランドが環境に配慮し、e-モビリティを賞賛し、マイルドハイブリッドの3気筒エンジンに悪態をついているが・・・。

そして「ジープ」と「ラム」でさえ、今では、古き良き8気筒ヘミエンジンを新しいV6ターボに置き換えることが増えている。しかし、スプリングスティーンが今でも「ボーン トゥ ラン」と唸り、バーガーキングで直火焼きバーベキューをするように、少なくと「もダッジ」は今でも8つの炎で、地獄のように熱く燃えている。

ダッジ デュランゴ ヘルキャット：710馬力

少なくとも「ヘルキャット」は、6.4リッターエンジンの罪深いほど美しいスポーツバージョンだ。そして、彼らはエレクトリックエスタブリッシュメントとの戦いに真剣に取り組んでいるため、「チャレンジャー」や「チャージャー」だけでなく、「デュランゴ」にも搭載し、アメリカのロングランカーを世界で最もパワフルなSUVのひとつにしている。「ランボルギーニ ウルス」、「アストンマーティンDBX」、「ベントレー ベンテイガ」、「ポルシェ カイエン」はもういらない – 710馬力の「ヘルキャット デュランゴ」は、ハンマーのぶら下がる場所を示してくれる。

ここドイツでは、ステランティスは公式にはこの絶望的に政治的に正しくない原始人を国内に持ち込むにはハードルは高い。しかし、この国にもアメ車好きのガソリンヘッズがたくさんいるため、スウェーデンのインポーターである「KW Auto」は、ステランティスの正式な許可を得て、この「ヘルキャット」を大西洋に持ち込もうとしている。

従来のV8、5.7リッター、360馬力のモデルも7万ユーロ（約1,190万円）弱から用意されている。しかし、11万4,444ユーロ（約1,945万円）のヘルキャットを選ぶべきだ。

全長5.11メートル、重量2.7トン。まるで誰かが地獄の門を開けたかのように、「ダッジ」は停止しているときでさえすべてを轟かせ、デトロイトの巨大なボンネットに開けられた鼻孔から炎が燃え上がるのを文字通り待っているかのようだ。

889Nmは悪魔のような効果を繰り広げる

そして、遅くとも足が初めて下がるときには、炎を見ずとも感じることができる。スーパーチャージャーのヒュイーン、ヒュイーンという音とともに、710馬力と889Nmが悪魔的な効果を発揮し、巨体を3.6秒で0から100km/hまで加速させる。モータウンがスピードメタルを演奏すると、こんな音がする。

もちろん、このパフォーマンスクラスには、「デュランゴ」よりも正確で、峠道をもっと楽しく、神への信仰をあまり必要としないSUVがある。というのも、カーブがきつくなればなるほど、たとえアダプティブサスペンションをスポーツに設定し、ダンパーをそれに見合った固さにしていたとしても、ステアリングホイールを強く握らなければならず、息が短くなるからだ。

また、20インチホイールにピチピチサイズのディスクが装着されているとはいえ、ブレーキング時のちょっとした先見性も損なわれることもある。結局のところ、「デュランゴ」はポルシェのような精密工具ではなく、スレッジハンマーで道路を叩く蒸気「ラム」なのだ。

ディテールにもう少し気を配り、素材の選択にもっと工夫を凝らせば、「デュランゴ」にとっていいことだろうし、デジタルインフォテイメントをアップデートするのも悪くない。エリート欧州SUVと比較すればなおさらだ。しかし、まず何より、どれもパワーが弱い。第二に、それらはすぐに2倍の値段になる。たとえ114,444ユーロ（約1,945万円）がアメリカ車にとっては大金だとしても、どんなにパワフルなエンジンを積んでいても、ランボルギーニ、ベントレー、アストンマーティンはもちろん、AMGやその他のモデルに比べれば「ヘルキャット」はお買い得なのだ。

高級料理の代わりにビールとハンバーガー。そして第三に、「DBX」から「ウルス」に至るまで、どれもモータウンから来たマッスルマンよりずっと個性がない。そして、心臓の代わりに頭脳を論証する必要がある人のために、他のパフォーマンスSUVにはない3列目シートがある。その後ろには、通常の2,400リットルの代わりに490リットルのトランクスペースしかないが、経験豊富なドライバーなら、アクセルをワンプッシュするだけで、一度に5人の友人の顔からパワーを追い出し、悪魔に送り込むことができる。なんという天にも昇る喜びだろう！

結論:
政治的正当性なんてクソ食らえ、だ。もちろん、「ヘルキャット」は純粋な罪であり、時代錯誤であり、最後のネジまで理不尽である。そして、スプリングスティーンのライブを3時間観た後と同じように、長距離ドライブの後は骨が痛み、手が熱くなり、耳鳴りがする。しかしその代わり、生々しく純粋なパワー、正直な性格、誠実な人柄に触発される。お願いだから、もう1回だけアンコールを。そうしたら、明日からまた4気筒か電気自動車に乗る。約束するよ！

ダッジ デュランゴ ヘルキャットのテストドライブ動画：https://youtu.be/-L-ApswDdq8

Text: Thomas Geiger
Photo: Dani Heye