テスト プラグインハイブリッドはSUVに適しているか BMW X1 xDrive25e
2020年8月17日
BMW X1 xDrive25e: テスト、プラグインハイブリッド、エンジン、価格
プラグインハイブリッドとして、BMW X1は大切なSUVのなにかを失う? ハイブリッド技術を搭載したBMW X1 25eは、社用車ドライバーやガソリン節約崇拝者にとって非常に興味深いものになるはずだ。しかしX1は、プラグインハイブリッドシステムによって本当により良くなったのだろうか? 我々はテストによってそのことを明らかにする。
諺にもあるように、すべてを手に入れることはできない。
新型BMW X1 25e、すなわちバッテリーへの充電接続を備えたハイブリッドバージョンは、スマートドライブによりスピードを向上させ、電気の経済的利用を可能にしている。
しかし、一方で、その代償として、重要なSUVの特性を失っている。
プラグインハイブリッド技術を搭載したX1は、バッテリーの電力だけで50キロ以上走行したり、運転中に様々なレベルのアシストで加速や燃料の節約を助けたりすることができるようになる。
その過大な重量は、X1の実用的な価値を制限している
しかしその他にも必要なものがある。なぜなら、無積載で1797キロのX1は重たい塊だからだ。
それ以外の点では、典型的なBMW X1で、全方位の視界の良さ、非常に首尾一貫した操作コンセプト、気持ちよく整頓されたコックピット、完璧に読みやすい丸い計器類が兼ね備わっている。
残念なことに、シートは非常にタイトに布張りされており、小さくて狭いように見える。
非常に敏感なドライバーは、傾斜したステアリングコラムにぶつかる可能性がある。
制動距離の点で最適化の可能性が残されている
クルマが動き出すと、「BMWフィーリング」はさらに強くなる。
X1は回避の試みを見事にマスターしており、悪路でもしっかりとしたグリップを発揮し、ロスなくパワーを伝達することができる。
しかし、張りのやや強すぎるスプリングが走行時の快適性を低下させ、ステアリングは明確な復元力を欠いている。
X1は、時速100km時から、辛うじて約40メートルの制動距離で完全停止したが、これでは、この価格リーグのプレミアムSUVとしての価値は絶対にない。
3気筒エンジンはハイブリッドシステムが停止することを許可しない限り、顕著に、そして快適にハミングする。
標準燃費は実際には達成できない
アクセルを踏むと、最初の数メートルでの電気駆動と3気筒エンジンの切り替えは、目立たず、かすかに聞こえてくる程度だ。
BMWは非常に直線的でパワフルに突っ込んでいき、1.5リッターのターボが電気自動車を強力に推進する。
純粋な電動モードでも、SUVは非常に優れたパフォーマンスを発揮する。
バッテリー1本あたりの航続距離は57kmとBMWは約束していたが、我々のテスト中、X1は、適度な速度での走行で、60km以上を達成した。
燃料消費はBMWが約束している数字を達成することはできず、テスト中の平均燃費はリッターあたり13.3キロという、ちょっとがっかりさせられる平凡な数字だった。
結論:
高価なハイブリッドX1には多くの技術がある – しかし、小さな欠点もある。
最低限のラゲッジスペースは許容できるが、快適性と適度なブレーキの欠落は、残念というか、不快だ。
AUTO BILDテストスコア:2-
うーん、結構厳しい。本国AUTO BILDのテスターもX1のプラグインハイブリッドはお気に召さなかったのだろうか、という内容のレポートだった。
まあこういうプラグインハイブリッドシステムにしろ、電子制御デバイスなどというものは日進月歩、というよりも秒速、分速で進化するものだから、そのコントロールなどがすでに「今日売られているモデル」では熟成されたり洗練されたりしている可能性は大いにあろう。
それはそれで自動車ジャーナリスト泣かせな話ではあるのだが、今の自動車とは、とにかくあっという間に改良されて進化していくような時代、なのだろうと思う。
さらに、このプラグインハイブリッドという機構に関しても、主にバッテリーやモーターなどを中心にその性能は毎年絶え間なく進化していっているとそう考えたほうが良い。
さてそんなわけで、今回のX1ハイブリッドだが、言うまでもなくBMWが誇る最新のハイブリッドシステムを4輪駆動に組みあわせたハイテクなSUVだ。そんな最先端な自動車がやや不本意ともいえる辛い評価を下されてしまったが、私なりに分析するならば、おそらく車全体の仕上げというか、煮ツメができていないまま市場に出てきたモデルなのではないかと思う。
本当に昨今のドイツメーカーのラインナップ数は覚えきれないほど多く、その開発陣やテストチームの仕事量はどれほどのものなのかと心配になってしまうが、このX1ハイブリッドに関して言えば、おそらく十分な熟成期間がないまま、シミュレーションを中心とした検証だけで世の中に出てきてしまった一台なのではないかと推測される。
もちろん前述のようにこれから洗練され改良が施されるに違いないが、それでいいかというと、決して良くはないと思う(初期モデルを購入した人に失礼ではないか!)。
そういう意味を込めて、本国のテストグループも厳しい評価をしていると信じたいし、年々良くなり続けるようなモデルなのであれば、一般ユーザーも購入する時は十分に年式などを考慮して選択しなければいけないのではないだろうか。
Text: Jan Horn, Dennis Heinemann
加筆:大林晃平
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD