これまた面白い発想だ! 万能Eキャンパー Eモブス eブッシー コンセプト
2020年8月12日
エリクトリックキャンパー Eモブス eブッシー(Emobs eBussy)
「eブッシー(eBussy)」はVWバスの代替品となれるであろうか?
完全電動の「eブッシー」は安価な上に、バン、ピックアップ、キャンピングカーなど様々な用途に使用できる多才なモデルだ。このコンセプトは実際に世の中に出てくるのであろうか?そして世界を変えるだろうか?
いや、これはテスラからの新しいコンセプトではない。れっきとしたドイツの会社のコンセプトモデルだ。それも万能の電気自動車だ。
1台であらゆるものに対応
「eブッシー」は、フラットベッドトラックからバス、さらにはキャンピングカーにも転用できる多用途な電気軽自動車だ。
ドイツのElectric Brands社(略してEmobs)の研究開発中のコンセプトモデルは、2021年秋の市場投入を目指している。
太陽電池パネルを搭載した「eブッシー」の基本バージョンは、14,200ユーロ(約177万円)という低価格から販売される予定だ。
全長3.60メートル、重量わずか450キロの「eブッシー」は、通常の道路用の標準シャシーと、高さが異なり、メーカーによると困難な地形でも使用できるオフロードシャーシの2種類のシャシーが用意される予定だ。
どちらのシャシーを選んでも それぞれ10台の車両バリアントが可能となるとされている。
最大1トンの積載量
商用にもプライベートにも使えるこの軽量の自動車のオーナーは特別な工具を使わずに素早く個々のボディを交換できるようになっている。
ダッシュボード上でハンドルを動かすことさえできるので、「eブッシー」は左ハンドル車からセンターハンドル、右ハンドル車へと素早く変異していく。
そして驚くべきことに、「eブッシー」の車両重量は450kgから最大600kgまでしかないが、1000kg(1トン)までの積載量に対応できるようになっているそうだ。
多くのモジュール(構成要素)に多くの選択肢
それは、センターモジュール付きの標準モデル用シャシー、四輪駆動、運転席のソーラールーフ、サウンドシステムが含まれている基本的な「フリーダム」バリアントから始まる。
価格は約 15,800 ユーロ(約197万円)と予想される。
その後、トランスポーター、リアキャビンの有無にかかわらずピックアップトラック、ティッピング機能を備えたプラットフォームトラック、コンバーチブルピックアップ、キャンピングカーと進む。
28,800ユーロ(約360万円)のキャンピングカーが最も高価なバージョンだ。
そのかわり、「eブッシー」のキャンピングカーには、冷蔵庫、テレビ、コンロ、真水タンク、シンク(流し)が標準装備されている。
道路上の電気
「eブッシー」は、出力20馬力の電気駆動装置を搭載しており、軽量バスを時速90kmまで加速させることができる。
標準モデルの10kWhのバッテリーを搭載した電気自動車の航続距離は200kmになると予想されている。
価格表には、より大きな30kWhのバッテリーがオプションで用意されており、航続距離は600km以上になるはずだ。
ルーフに設置されたソーラーパネルとリカバリー(ブレーキを介したエネルギーの回収)を行うことで、1日あたり200kmの走行が可能となり、電気自動車の航続距離は最大800kmに達すると予想される。
「eブッシー」は、家庭のコンセントや急速充電ステーションで3~6時間で充電が可能とされる。
加えて、Eモブスは、ドイツ全土にバッテリー交換ステーションの設置を計画している。
環境にフレンドリー&ネットワーク化
「eブッシー」はどこで手に入るのだろうか?
軽量EVは、自動車販売店も含めた取引先を通じて全国に流通される。
この良くも悪くも人々の目を惹くモバイルは、すでに同社のホームページから注文することができる。
Eモブスは10年間の保証をつけている。
「eブッシー」は6色のカラーバリエーションを持つ。
最大4名までの乗員を保護するために、助手席セーフティセルとクラッシュボックスがフロントエリアに組み込まれている。
そして、環境面でもまたこの車は、ドイツのミュンスターに拠点を置く同社にとって重要な役割を果たしている。「eブッシー」は98パーセントリサイクル可能なになることを目指して開発されているからだ。
この画期的で驚異的な制限のない「eブッシー」は、所有者のニーズに合わせた機能的な乗り物であり、価格も手頃なのだ。
駆動方式に納得できない人は、1000Nmというトルクに説得されるかもしれない。
本当にまだ詳細はまったく不明だが、この「eブッシー」が世の中に出てきたとしたら、車の価値観が変わることになるかも、と感じる驚くべき部分がいくつかある。
まずステアリングホイールが右にも左にもセンターにも動く、というのはびっくりで(似たようなものはウニモグにもあったが、あれは右と左、だけだった)、どういう仕掛けになっているのかさっぱりわからないが、とにかく新しい発想であることは間違いない。
さらに200万円以下の価格で、500kgを切っていて、変幻自在でキャンパーにもなって、ソーラーパネルで充電できて、1000Nmもトルクがあって、しかもしかも注文受付中だというのだから驚くしかない。
恥ずかしながらメーカーも、この車の存在もまったく知らかったが、この車が来年(ちゃんと)出てきたならば、相当驚く自動車メーカーがあるかもしれない、と真剣に思った。
特に日本で軽自動車を作っているメーカーなどは、興味津々なのではないだろうか?
それでも…、こんな車、「絵にかいた餅」じゃん、とか、信頼性や様々な安全基準など、軽自動車の足元にも及ばないと、という人もいるかもしれない。それも間違いではないし、まだまだ海のものとも山のものとも言えない状態できちんと生産化するには長い道のりが必要である、という意見は間違いではない。
だがそれでもこんな自由な発想のクルマが登場する(かもしれない)ことに、まだまだ自動車には可能性があるという点を僕は率直に嬉しく思うし、これからも人の移動や楽しみにために、自動車はかけがえのない存在でいてくれそうだ、と心から安堵するのである。
Text: Adele Moser
加筆:大林晃平
Photo: Emobs