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初テスト ホンダe ホンダ初のフルEV その実力と魅力は? そして価格は?

2020年7月28日

ホンダe(2020): テスト、市場ローンチ時期、価格、インテリア、パワーユニット

ホンダeに関する全情報。レトロなエクステリアデザインに未来志向のインテリアを備えた全電動式ホンダeはいよいよ2020年内にマーケットデビューする予定だ。そんな注目のホンダeをテストしてみた。

➤ 市場ローンチ時期
➤ インテリア
➤ ドライビングインプレッション
➤ 航続距離とバッテリー
➤ テクニカルデータと想定価格

市場ローンチ時期:
待望のホンダの小型電気自動車がデビューする。
2017年のフランクフルトモーターショーで発表したホンダ アーバンEVコンセプトの生産モデル、ホンダeだ。コンセプトモデルに比べるとホンダeはやや丸みを帯びているものの、そのデザイン言語は、ほぼコンセプトモデルのものを引き継いでいる。丸い目のような愛くるしいヘッドライト、滑らかなボディワーク、伝統的なドアミラーの代わりに小型のカメラ。プロトタイプモデルと異なるのは、2ドアの代わりに4ドアを備えていることだ。
ホンダeは新しく開発されたプラットフォームをベースにしており、今後開発される他のEVモデル(A~Bセグメント)にも適用される予定だ。
ホンダeのマーケットデビューは当初の予定通りであれば、2020年内となる。
欧州では予約受付(頭金800ユーロ=約10万円)も始まっており、すでに多数の予約が入っていると聞く。

ホンダeは、世界最高峰のデザイン賞である、2020年のレッドドットデザイン賞のカーデザイン「Best of the Best賞」を獲得した。

インテリア: 内装もレトロ
車高は低く、車内へはとても楽に快適に乗り込むことができる。インテリアには、必要なだけのボタンが備わっている。中央にはエアコン、シートの間にドライビングモードとパーキングブレーキのためのボタンがある。ダッシュボードはその名の通り、車の全幅にわたって伸びる木製のパネルだ。ホンダはその上にモニター風景を載せている。
2つの12.3インチのタッチスクリーンにインフォテインメントアプリケーションと運転情報が表示される。
左右にデジタルバックミラーがある。ミラーの代わりには、ドアに取り付けられた標準カメラが左右にある。それらの映像を常に映し出す。
2台のスマートフォンをインフォテインメントシステムに接続し、2つのタッチスクリーンで操作できる。
後列用のドアハンドルはCピラーの中にあり、やや面倒だ。
前席はとても快適だが、後席はやや窮屈だ。無理に4ドアにする意味があったのだろうか、2ドアのままでよかったのではないかという声も聴かれる。

クールなホンダeのコックピット。すべての情報は左右に広がるパノラマスクリーン上に表示される。

ドライビングインプレッション: 敏捷でダイナミック
我々はほぼ生産モデルのホンダeプロトタイプをテストコースで試乗した。
このおとなし気でキュートな見かけの小型EVは、予想に反してドライビングオリエンテッドでワイルドなクルマだ。
全長3.90メートルのホンダeは、重量1500キロで、154馬力と315Nmのトルクを兼ね備えている。
そして実際にそれらのパワーがその威力を発揮する。
彼は鎖につながれた犬のようにぐいぐいと前方に引っ張っていく。
その推力はとほうもなく強い。
しかしホンダeは決してスーパースポーツカーではない。
むしろホンダeは、ミニを彷彿とさせるような、張りのある走りを見せる俊敏な小型車で、とても機敏で、とてもダイナミックな動きを見せる。

ホンダeは性格的には、ミニを彷彿とさせる俊敏でダイナミックなドライバーズカーだ。

前後の重量配分がちょうど50:50になっているのも、ホンダeが癖になりそうな要素だ。ステアリングをよりダイレクトなものに設計しているので、カートのように感じる。
35.5kWhのバッテリーを搭載しているので、200km以上の航続距離があるはずだ。
もちろんサーキットで我々のような走りをすればそうはいかない。
しかし、時速70km/hで、パイロンを駆け抜けるレースも電気自動車ならでの楽しいもある。特に車両の重心が非常に低く、正確にはアスファルトから50センチの高さにあるからだ。
最小回転半径も8.6メートルと、リアエンジンのトゥインゴよりも50センチ少なく、スマート フォーツーよりも1.30メートル多いだけだが、スマートはシートが2つ少ない。

航続距離とバッテリー: 約220キロ
ホンダeの電動モーターには、35.5kWh のバッテリーが供給されている。
これだけあれば、コンパクトカーで約220kmの走行が可能だ。
当然充電時間は重要で、バッテリーは30分以内に80%まで充電される。
充電はCCS2プラグで、ユニーなことに、そのソケットはフロントフードの黒いフラップの後ろに隠されている。
一般的な家庭用ソケット(プラグ)からでも充電は可能となっている。

アーバンEVコンセプトと異なり、2ドアから4ドアになったホンダe。

テクニカルデータと価格: 154馬力と315Nm
ホンダeには2つの性能レベルが用意され、エンジンは常にリアアクスルに配置されている。
エントリーレベルは100キロワット(136馬力)のバージョンであり、トップモデルは113キロワット(154馬力)のバージョンだ。
両方のエンジンバージョンとも、電動モーターは315Nmのトルクを生成する。
性能的には、約8秒で、コンパクトEVをゼロから100km/hまで加速させる。
そのベーシックバージョンのホンダeは、33,850ユーロ(約423万円)から開始し、36,850ユーロ(約460万円)でより強力な「アドバンスモデル」が購入できる。
Eホンダを購入する際に適用される、4380ユーロ(約54万円)の環境ボーナスを差し引くと、価格はベースモデルが29,470ユーロ(約368万円)、トップモデルが32,470ユーロ(約405万円)となる。
さらにグッドニュースなのは、つい先ごろ政府が、コロナ禍で沈んだ景気需要を高めようと、補助金の額を上げると発表したことだ。
このスタイリッシュなホンダeはさらに安くなる可能性がある。

生産型コンパクトモデル、ホンダeは154馬力と315Nmのトルクを有する。
ちなみに、ホンダeのベーシックモデルの日本での価格は435万円の予定だ。国のEV購入補助金は40万円。

いよいよホンダeが発売開始になる。
アーバンEVコンセプトとして登場した時には、シビックの再来とか、この格好のままガソリンエンジンモデルを、などと評価の高いデザインだったが、実際の市販モデルもかなり「いい感じ」で、やればできるじゃん、などと無責任な外野としては、えらそうなコメントをしてしまう。
よくよく見ればアーバンEVコンセプトよりもちょっと全体のキレが目減りしている感じはあるが、あっちはコンセプトモデル、こっちはがんじがらめの条件にしばられた市販モデルなのだから仕方ない。これまた初代シビックの雰囲気を残しながらも、未来的で格好のよい内装ともども、現在のホンダの4輪車の中では白眉なのではないだろうか(レジェンドの内外装を見た後では、とても同じメーカーのセンスとは思えない)。
実際に乗った感じとか、航続距離等はまだまだこれから改良の余地も、進歩の可能性もある部分だし、年々進化することを希望したいが、ひとまずこのカッコウのまま世の中の道路を走り始めることを素直に喜びたい。
そしてこの素敵なセンスを、他のすべてのラインナップに分け与えてあげることが、今後の課題なのではないだろうか。

Text: Wolfgang Gomoll, Andreas May, Andreas Huber
加筆:大林晃平
Photo: Honda