【33年間愛され続けたBMW】走行距離35万7千km&1,840万円の維持費と修理費 V12搭載の高級クーペ「BMW 850CSi」の物語
2024年2月24日
BMW 850CSi E31(1991):このBMW 850CSiには、33年の歳月と357,000kmを走行する間に、約115,000ユーロ(約1,8400万円)以上の維持費と修理費が費やされた!
日常的に乗るクルマは、経済的で、手頃な価格で、実用的というのが一般論だ。しかし、ある勇敢なイギリス人が「BMW 850CSi」を25年以上、30万km以上も日常的に運転したのだ。5リッターV12を搭載するラグジュアリークーペを日常的に運転するのはどんなものだろう?
「ブロケードレッドメタリック」というエレガントなカラーをまとった「BMW 850CSi」は、新しいオーナーのアカウントでインスタグラムに登場した。彼は多くの特別なモデルを所有するBMWコレクターで、この「850CSi」の特別なストーリーをフォロワーと共有している。
マニュアルトランスミッションを搭載したBMW 850CSi
彼が詳細な投稿で説明しているように、アルピナ製パーツと6速マニュアルトランスミッションを搭載した「BMW 850CSi」は、1991年にドイツで納車された。5年後、この車はイギリスに輸出され、1997年にあるコレクターが購入した。
この勇気ある男性は、300馬力の「8シリーズ(E31)」を日常的に使用するために購入した。5リッターV12を搭載したBMWの大型クーペを日常的に運転するには、ランニングコストに見合うだけの資金と勇気が必要だ。
振り返れば、BMWが「E24 6シリーズ」の後継モデルとして1989年のIAAで社内呼称の「E31 8シリーズ」を発表したとき、その車には優れていて高価なものがすべて搭載されていた。それゆえ、全長4.78メートルのクーペに「BMW 750i E32」の5.0リッターV12が搭載されたことは驚きではない。最高出力は300psで、6速マニュアルまたはオートマチックトランスミッションが用意されていた。
この「850CSi」は、人気の高い6速マニュアルトランスミッションを搭載し、長年にわたって日常的に使用され、多くの走行距離を積み重ねてきた。現在、走行距離は357,000kmに達している。
彼が購入してから25年間、30万kmをはるかに超える走行距離の中で、さまざまな整備や修理が必要だったことは言うまでもない。しかし、実際にどれだけの維持費がかかったかに関して、彼はすべての請求書を集め、きれいにファイリングした。
11万4,000ユーロ(約1,820万円)以上の整備費用
これを見ると、イギリスのBMW専門店「ミュンヘンレジェンド」だけで、合計97,709.23英ポンド(約1,820万円)が「E31」に投資されていることがわかる。請求書はなんと59ページにも及ぶ。
要するに、このBMWには新車から12万ユーロ(約1,900万円)以上の整備代が支払われたのは間違いない。因みに「BMW 850CSi」の中古車は20,000ユーロ(約320万円)以下で入手可能であり、よく整備された個体は35,000~40,000ユーロ(約560~640万円)である。
しかし、この「8シリーズ」のオーナーが長年にわたって集めてきた思い出と喜びは、彼にとってかけがえのないものだ。何しろ、「850CSi」での旅は毎日がハイライトだったのだから。
850CSiは現在、大規模なBMWコレクションの一部となっている
「850CSi」がBMWの莫大なコレクションの一部となり、大切に保管されていることは、この上ない喜びである。長年にわたって日常的に使用されてきたこの大型クーペは、新しいオーナーによって大規模な改修が施された。いまや33年落ちの「E31」は、35万7,000kmというより3万5,700kmに見える。
Text: Jan Götze
Photo: Instagram/m635bmw