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初試乗テスト いよいよ登場ミニ初のEV その評価は? ミニ クーパーSE

2020年6月29日

ミニ クーパーSE: テスト、電動、価格

E-ミニの楽しさ。BMW i3のテクノロジーに第二の人生を。電気駆動システムを搭載したミニは、シティカーとしての真の目的を見出す。初の試乗テスト。

厄介なカーブ、上り坂、下り坂でのより優れたパフォーマンスを欲するミニファンのための代替案、それがこの新型ミニ クーパーSEだ。
聞き覚えのある名前だが、ミニブランドからの新しいモデルだ。
アレック イシゴニス卿は、横置きエンジンと前輪駆動を備えた世界初の近代的な小型車、ミニを発明した。
1956年に発売されたミニは、2001年にはBMWのブランドに昇格した。
クーパーSというモデル名も以前から知られているが、今回の車の最後に付いているEという文字は電動モビリティの略だ。
試乗テスト中、我々はこの電動ミニを心から楽しんだ。
それはかなりの数の利点を持っているし、むろん、デメリットもそれなりにある。

誕生した当時、ミニはスペース活用の模範生だった。全長が3060ミリで、4人乗りと荷物を積めるスペースを提供していた。
今日では、2シーターのスマートでさえ、すでに全長が2.7メートルになっている。
そして、ミニは3845ミリにまで成長した。
それがいまでもミニにしているのは、他の多くのコンパクトカーが、今では4.5メートルにまで伸びているからだ。
しかしそうかといって、少なくともとても快適なミニのフロントシートの後ろに、多くのスペースを望むべきではない。
衝突時安全基準により、ドアは厚く、衝突ショック緩衝ゾーンは長くなっているため、その間に乗客や荷物を乗せるための大きなスペースはあまりない。
背の高いドライバーや助手席のパッセンジャーは、ほとんどフロントでリラックスして大声で笑い合うことができるが、後席のことは忘れてほしい。
そこに座りたい人を除いて…。

フロントにはリラックスできる、ゆったりとしたスペースが備わっている。見慣れない感じのメーターパネルに注意。
211リットルしか入らない小さなトランクを考えれば、後席を荷物置き場として使ったほうがいいだろう。

i3からのe-ドライブがミニに凄まじいパワーを与える

ミニSEは充電ケーブルを荷台の床の下にきれいに隠している。
そしてステアリングホイールの前に大きなディスプレイまで、備わっている。
ミニ クーパーSEは基本的にBMW i3 Sのドライブトレインを継承しており、184馬力を備えている。もっとも重要なことは、電動モーターは最初から270Nmのトルクを発生させることだ。
そしてスポーツモードでの静止状態から時速100km/hの加速はスペック表に記載された7.3秒よりもはるかにパワフルに感じられる。

パワーユニットはBMW i3のものを転用している。

クーパーSEは約束されたレンジを達成していない

フルスロットルにするとミニはあなたをシートに釘付けにして、途切れることなく、陽気な旅は続く。
時速は150キロまで、その以上はバッテリーのことを考慮して、制御されている。
そしてここに欠点の一つがある。
BMWからのパワーユニットを、ミニは29kWhのバッテリー容量の範囲内で何とかしなければならないからだ。
本来なら、総航続距離は、242から270kmの間だが、クーパーSEはその距離を提供できていない。今回のテストでも、非常に慎重なドライビングとハンドリングにもかかわらず、200kmに達することはなかった。急速充電器で、35分後には再びフル充電となるが、それでも短い、と言わざるを得ないだろう。
価格について言えば、財布の中身は豊かでなければならない。なぜならばこのミニは最低でも32,500ユーロ(約400万円)はするからだ。多数のオプションを加えるとさらに価格は上昇する。
この価格はミニではない。

遠距離へのドライブには失格。我々のテストでは、ミニの航続距離は200キロしかなかった。それも非常に穏やかなスロットル操作で。この航続距離は、やや心配になる数字だ。

テクニカルデータ: ミニ クーパーSE
• エンジン: 電動モーター • バッテリー容量(リチウムイオン電池): 28.9kWh • 最高出力: 135kW(184PS) • 最大トルク: 270Nm • 駆動方式: 前輪駆動、AT • 最高速度: 150km/h • 0-100km/h加速: 7.3秒 • 全長×全幅×全高: 3845×1727×1432mm • 乾燥重量: 1410kg • ラゲッジコンパートメント容量: 211~731リットル • テスト時航続距離: 200km • 価格: 32,500ユーロ(約400万円)より

結論:
ミニの電気自動車、というと馴染めない人と、そうでない人が世の中にはいるだろうと予想できる。
馴染めない人は当然、昔のオリジナルのミニを知っている人で、ミニを持っていたり、持っているだけではなくいろいろと手を加えて楽しんだり、アレック イシゴニスの信者だったり、カストロールのにおいが大好きだったり、とにかく昔のミニを深く知っている人であればあるほど、ミニの電気自動車には拒否反応が出る可能性が高い。
一方、電気自動車ミニウエルカムな人は、現在のミニのラインナップに違和感を覚えず、ペースマンもクロスオーバーだって楽しくっていいじゃないといった人々にとっては何も問題なく受け入れられるのではないかと思われる。
別にペースマンやクロスオーバーといったモデルも決して悪いとは思わないし、そういう今までになかった価値観の自動車を、ミニというブランドで売ることがBMWの作戦なわけだし、そう考えれば電気自動車のミニだって必然の上に登場した車であるともいえる。
ちょっと残念なのは、BMW i3にはあった「レンジエクステンダー」のモデルがないことで、ああいった、ちょっとした工夫の施された電気自動車モデルがミニにもあったとしたら、より魅力的であったのではないか。
今回のレポートで記されているように、スペースユーティリティの欠点、航続距離の短さ、かなり高価な価格などは、ミニであるならばある程度は許されるような気もする。
特に街乗りのお洒落でクリーンなミニとして割り切れば、航続距離はぎりぎり許される気もするが、であるならばそこにもう一工夫レンジエクステンダーのモデルがあっても良かったかもしれない。
せっかくBMWグループの一ブランドとして君臨するのだから、BMWのテクノロジーで使えるものはなんでも使えばいいのにと思ってしまうのだが…。そこには何らかの内部事情があるのかもしれない。
AUTO BILDテストスコア: 3+

Text: Stefan Voswinkel
加筆:大林晃平
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD