2023 SUPER GT 第8戦 MOTEGI GT300kmレース 前戦に続き逆転で#36 au TOM’S GR Supraが連勝!タイトルの行方は?
2023年11月8日
2023 SUPER GTは早くも今シーズン締めくくりの最終戦。11月5日(日)栃木県のモビリティーリゾートもてぎ(1周4,801m×63周)には30,000人もの観客が訪れた。不安定な天候の中、レースは激しいバトルが繰り広げられ、手に汗握る展開となった。果たして年間王者の行方は?
GT500クラスの今シーズンのチャンピオン争いは、前戦で優勝して69ポイントでランキングトップに立った#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)。2位の#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は62ポイント。53ポイントで3位の#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)の3台に絞られた。#36は決勝レースで2位以上を確保出来れば、#3 、#16の順位に関わらずシリーズタイトル獲得。ランキング2位で臨む#3号車がタイトルを獲得するには、#36が11位以下の無得点、#16の2位以下が最低条件であった。
GT500クラス シリーズを制する難しさ
#16がタイトルを獲得するには、この決勝レースでの優勝が最低条件であるが、さらに#36が8位以下、#3が4位以下であればタイトル獲得となる。もしくはポールトゥウィンを飾った場合は#36が7位以下、#3が3位以下になるとタイトル獲得となっていた。
そして前日に行われた予選であるが、まるでドラマかと思わせるような展開となった。まずは見事ポールポジションを獲得したのはランキング2位の#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)。ミシュランタイヤのラストレースに華を添えることが出来るのか注目が集まった。
2位にはこちらもラストランとなるNSXを走らせる#17 Astemo NSX-GT (塚越 広大 / 松下 信治)が見事フロントロウを獲得。そして3位には意地の走りでチャンピオン獲得に最も近い#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)だ。タイトル獲得の可能性があった#16ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)は9位となり厳しい状況に追い込まれてしまった。
決勝レースは、雨が降ったり止んだりする中、ポールスタートの#3 Niterra MOTUL Zがミシュランタイヤのラストレースを飾るかのごとく序盤からリードを保ち後続を引き離す。その後方では#17 Astemo NSX-GTと#36 au TOM’S GR Supraとの好バトルが展開されるが23周目V字コーナーでようやく#36 au TOM’S GR Supra坪井がアグレッシブに攻め続けた結果2番手に躍り出た。
トップを快走する#3は24周目を終えた時点でピットイン。一方#36は27周目を終えた時点ピットインをした。#36がピットアウトした時点では順位は変わらない。その後、次第に雨が強まり始め、48周目に#16が再度ピットイン。雨でなければタイヤ無交換作戦をとったのであろうが、レインタイヤに交換をして勝負に出た。
そして、なんと残り4周を残したの59周目のS字コーナーでスリックタイヤのままトップを快走していた#3が濡れた路面で痛恨のスピン!コースオフして万事休す。これにより2番手を走っていた#36がトップに浮上し、そのままフィニッシュ。見事勝利をもぎ取り、年間タイトルも獲得した。
2位にはGT500ラストレースになるミシュランタイヤを履く#23 MOTUL AUTECH Zがしぶとい走りで5番手スタートから2位でフィニッシュして、シリーズランキング3位を獲得。3位は終盤にレインタイヤに替えて追い上げた#17となった。
#3はその後13位フィニッシュでノーポイントとなったが、シリーズランキングは2位となった。
GT500ドライバーランキング
1位 #36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔 / 宮田 莉朋
2位#3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正 / 高星 明誠
3位 #23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生 / ロニー・クインタレッリ
4位 #16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺 / 大津 弘樹
5位 #1 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴 / ベルトラン・バゲット
6位 #17 Astemo NSX-GT 塚越 広大 /松下 信治
7位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也 / 山下 健太
8位 #8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀 / 大湯 都史樹
9位 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛 / 中山 雄一
10位 #100 STANLEY NSX-GT 牧野 任祐
11位 #100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴
12位 #19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資 / 阪口 晴南
13位 #38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路 / 石浦 宏明
14位 #64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也 / 太田 格之進
15位 #37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京 / ジュリアーノ・アレジ
16位 #24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹 / 平手 晃平
17位 #100 #100 STANLEY NSX-GT 木村 偉織
GT300クラスもドラマチックな展開であった
まずはGT300クラスで今シーズンチャンピオン獲得の可能性があるのはこちらも前戦で優勝を飾ったランキングトップの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)と、#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)の2台に絞られた。
#52と#2のポイント差は20点もあるため、#2が逆転チャンピオンになるには、予選でポールポジションポイントを獲得して、優勝した上で#52が11位以下でレースを終える必要がある。
予選では、その#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が二人の見事なアタックによりタイトル獲得の最低条件であるポールポジションを獲得することに成功した!
シリーズランキングトップの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)は7番手となった。
決勝はスタート前にパラっと小雨が降ったものの、ほぼドライでスタート。逆転チャンピオンを賭けた#2 muta Racing GR86 GTがそのままポジションキープ。その後、場所によって雨が降っていたようだが#88 JLOC ランボルギーニ GT3がペースを上げ、16周目の3コーナーで鋭い突っ込みでインを差し#2を追い抜きトップに浮上する。このままでは終われない#2であるが、その後21周目を終えた時点で7位スタートの#52がピットイン。なんとタイヤ無交換作戦に出た。同時に#65 LEON PYRAMID AMGもピットインをするが、こちらはリアタイヤのみ交換する作戦だ。
25周目を終えた時点で#2と#88がピットイン。#2は#52同様にタイヤ無交換作戦にでる。一方#88はリアタイヤのみを交換した。その後、トップは#88、#65、#2と続く。#52号車は5番手争いをしていたが10位以内でフィニッシュすればタイトルを獲得できるので無理は禁物だ。だが何が起こるか分からないのがSUPER GT。最後まで気を緩める事は出来ない。
一時は#88に#65が急接近したが、#88は2位の#65とのマージンを広げていく。終盤の大粒の雨により、残り6LAPくらいのところで#2がレインタイヤへ交換する勝負に出た。しかし10分程で雨は止み、その作戦は失敗となり逆転チャンピオンの確率は逆に遠のいてしまった。
そのままレースは終了。優勝を飾ったのは今季初優勝となった#8 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)であり、元嶋は嬉しいSUPER GT初勝利だった。2位には#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)。3位はなんと予選13位から素晴らしい追い上げを魅せた#6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)だ。
そして、今回非常に厳しいレースとなった#52は7位フィニッシュで無事にゴールし、見事タイトルを勝ち取る事に成功した。#2号車は9位でレースを終えて、シリーズランキング2位を獲得。なお、予選24番手スタートとなった#56リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 名取 鉄平)はスタートドライバーを務めた名取のオーバーテイクショーで、18台抜きの6位フィニッシュを果たしシリーズランキング3位に入った。
GT300ドライバーランキング(1〜10位)
1位 #52 埼玉トヨペット Green Brave 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰 / 野中 誠太
2位 #2 muta Racing GR86 GT 堤 優威 / 平良 響 / 加藤 寛規
3位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R NISSAN GT-R NISMO GT3 J.P.デ・オリベイラ / 名取 鉄平
4位 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥 / 篠原 拓朗
5位 #24 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志 / 小出 峻
6位 #7 Studie BMW M4 荒 聖治
7位 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史 / 元嶋 佑弥
8位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人 / 山内 英輝
9位 #6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章 / ロベルト・メリ・ムンタン
10位 #7 Studie BMW M4 柳田 真孝
毎戦、誰もが予想できない展開が続くハラハラドキドキのSUPER GT。是非来シーズンも、サーキットに足を運び、生でこの壮絶な超高速バトルを観ていただきたい。
Photo/Text:Hisao sakakibara
【筆者の紹介】
Hisao sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。