河西工業の「KASAIハイパピア」が2023年度「Altair Enlighten Awardサステナブルプロセス部門」で奨励賞を受賞
2023年10月3日
8月1日に計算科学と人工知能(AI)の分野で世界をリードするAltair(アルテア)が発表した、2023年度「Altair Enlighten Award」で河西工業株式会社の「KASAIハイパピア(KHP)」が奨励賞(Honorable Mention)を受賞した。その「KASAIハイパピア(KHP)」について開発担当者にお話を伺いました。
河西工業株式会社(以下河西工業)が奨励賞を受賞したのは、CO₂排出削減、材料の再利用 / リサイクル、節水など、エンジニアリングと製造における進歩に関する「サステナブルプロセス部門」です。
河西工業は日本国内の先端技術系のアワードでは多くの賞を受賞していますが、「Altair Enlighten Award」のようなグローバルなアワードにエントリーするのは初めてとのこと。軽量化、リサイクルについては、河西工業が創業以来手掛けていることで「Altair Enlighten Award」の趣旨とも合致するためエントリーすることになったそうです。
河西工業- KASAIハイパピア、KASAI独自のリサイクル素材
受賞した「KASAIハイパピア(KHP)」は、100%リサイクルされたポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、純タルクで構成される自動車の内装パーツに使われる素材です。
自動車の内装パーツを製造する過程で、素材の半分以上が廃材として廃棄されます。リサイクルという意識が皆無だった時代に河西工業はその無駄を如何に無くすかに着目、研究開発が続けられています。今では社会のリサイクルに対する意識が高まっていることが追い風になっていますが、リサイクル素材を新車のパーツに使用するということにネガティブなイメージが90年代くらいまではあったかと思います。河西工業の中でも「KASAIハイパピア(KHP)」の生産、開発部門は地味なイメージと、素材の粉砕加工の工程で、健康被害を被る可能性もあったことから、スタッフの同意を得ることが難しい時期もあったといいます。
それでも、環境改善を重ね40年に渡る開発が続いている「KASAIハイパピア(KHP)」は「捨てるものをなくす」というコンセプトのもと、リサイクル・プラスチック市場の普及に貢献すると同時に、自社でリサイクルを行っているため、新たなリサイクル素材そのものの使用量を削減しています。ただし、廃材をリサイクルするだけでは素材が足りないため、新たなリサイクル素材は少なからず使用する必要はあるそうです。
「KASAIハイパピア(KHP)」は群馬県太田市にある工場とアメリカのKASAI NORTH AMERICA,
INC.Manchester Plantで生産されています。使用される素材が、日本とアメリカでは違うのですが、河西工業が持つ特許技術によって、工場がどこにあっても、極めて安定した素材を製造することができるようになっています。
日本はPPのリサイクルが進んでるため、比較的楽に入手できるますが、アメリカではリサイクルPPが普及していないため、バージンPPの使用率は高い傾向にあるそうです。ただし、製造工程で発生する「廃材」は再び粉砕されリユースされます。
「KASAIハイパピア(KHP)」の6つの特徴
・リサイクル市場からの再生プラスチックを100%使用可能
・製品端材の再利用を可能とする工程内リサイクル技術
・成形性・剛性・リサイクル性に優れた独自配合によるサステナブル材料
・産業廃棄物ゼロを目指したサステナブル材料
・地域特性にあわせた最適なサステナブルプロセス設計
・最大0.7mmの薄板により射出製品に比べて製品の軽量化を実現
他社の追随を許さない高い技術を持つ河西工業は、更なる軽量化と強度、遮音性の高い製品を供給するために開発を続けていきます。
Enlighten Award概要
米国自動車研究センター(CAR=Center for Automotive Research)と共催するAltair Enlighten Awardは、二酸化炭素排出量の削減、水やエネルギー消費の抑制、材料の再利用とリサイクルに成功した、持続可能性と軽量化の優れた取り組みに対して表彰されるAward。自動車OEM、サプライヤー企業が対象となる。https://altair.com/altair-enlighten-award-jp
アウトビルトジャパンはAltair Enlighten Awardのメディアパートナーです。
Text:アウトビルトジャパン
Photo:アウトビルトジャパン/河西工業