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【チューニング】ブガッティ ヴェイロンより強力なアウディRS6アヴァント誕生

2020年6月15日

アウディRS6アヴァント チューニング: 1010馬力、ウィールズアンドモア

ドイツのチューナー、ウィールズアンドモアは5つのステップを通じて、アウディRS6アヴァントのパワーを強大にアップグレードする。これにより、このスポーツステーションワゴンはブガッティ ヴェイロンよりもパワフルになる。

600馬力、800Nmのトルクをボンネットの下に秘めたアウディRS6アヴァントは、決してセールスマン用のステーションワゴンではない。
しかし、ウィールズアンドモアは、ツインターボ4リッターV8がさらなる可能性を秘めていると考え、そのことを実際に証明してみせた。
ドイツのケルンの西、ベルギーとの国境沿いにある小都市、ベスヴァイラーのチューナーは、5段階のパフォーマンスアップグレードで、RS6のパワーを段階的に高め、最終的には初代ブガッティ ヴェイロン16.4よりも優れたパフォーマンスを発揮するように作り変えた。16気筒エンジンを搭載したハイパーカー、ヴェイロンは、1001馬力という驚異の出力を備えてデビューしたことは記憶に新しい。
そして今、ウィールズアンドモアのRS6アヴァント チューンナップバージョンがそのパワーを超える!

ブガッティのパワーへの5つのステップ
● ステージ1(2,100ユーロ=約26万円):
ウィールズアンドモアはソフトウェアのアップグレードだけで、V8から710馬力と920Nmのトルクを引き出す。

● ステージ2(7,688ユーロ=約96万円):
フロントおよびミドルサイレンサーに代わる新型スポーツエキゾーストシステムの採用により、725馬力と930Nmのトルクが得られる。

● ステージ3(12,521ユーロ=約156万円):
エアインテークとエアダクトシステムの変更に加えて、新しいフィルターの採用により、ウィールズアンドモアは786馬力、1060Nmの高出力を達成する。

● ステージ4(33,529ユーロ=約419万円):
いよいよ本格的になってきた。アップグレードへのステージ4では、チューナーが2基のより大型のターボチャージャーを装着し、コンプレッサーの性能を向上させる。その結果、出力は965馬力へと飛躍し、トルクは1250Nmへと上昇する。

● ステージ5(41,932ユーロ=約524万円):
いよいよ1010馬力と1250Nmへの最終ステージだ。最大のパワーアップのために、ウィールズアンドモアは、パフォーマンスを低下させるすべてのものを慎重に削除する。触媒コンバーター、粒子フィルター、サイレンサー、等。
ステージ5をクリアしたRS6アヴァントは、多くの運転の楽しみをもたらすことが保証されているが、騒音に悩まされる住民も少なからずいることだろう。

ステージ5アップグレードを完了したアウディRS6アヴァントは、ブガッティ ヴェイロン16.4よりも9馬力のパワーアップを実現している。なんと、このスポーツステーションワゴンは、1010馬力という信じられないパワーを発揮する。

このRS6がどれくらい速く、どれくらい高価なのかは明らかにされていないが、もともとRS6はポルシェ911並みに速いのだから、おそらくアウディR8よりも速いことは確実だろう。価格は推測の域を出ないが、ブガッティ ヴェイロンよりも高いことはありえない。ヴェイロンの半額くらいではないだろうか(それでも5,000万円はするが)?

最初はなんとも無謀なことをするものだと思ったが、改めて考えてみれば、アウディRS6のクアトロシステムも、ブガッティ ヴェイロンも、ピエヒの野望と執念によって生みだされたテクノロジーとシステムの上に成り立つ自動車であった。であれば、このRS6は意外と天国の上のピエヒも喜ぶような一台なのかもしれない。
ただし心配なのは、そのタイヤと空力安定性と燃費である。

ヴェイロンの開発に多大な時間がかかり、販売が遅延した理由は400km/hを超えた場合の空力安定性と、タイヤの信頼性と、驚くほどの熱処理であったといわれている。
空力安定性に関しては、超高速領域でたびたび実際に「飛んでしまった」と伝えられているし(そのために、一度停止して専用キーを2本入れて、400km/hモードを設定するなどの苦肉の策が用意されたのだ)、タイヤに関しても400km/hを出すためにはミシュランの専用タイヤをわざわざミシュランにホイールを送って(つまりもうワンセット予備のホイールが必要だし、タイヤ交換には数百万円出して交換しなくてはいけないらしい)新品に交換しないといけないのだという。
さらに、400km/hという速度では、100リッターのタンクは15分でカラになるといわれ、そのほとんどは熱として放熱してしまうのだそうだ。

そんなことを考えると、このチューンドRS6、1010馬力とは言え、ヴェイロン並みの超高速を出すことは難しいと思われるし、いくらクアトロシステムとは言え、運転する者のスキルが要求されるだろう。

だがこの車にとって大切なのは、1010馬力を持ったRS6という数字が一番なのだからそんなことは考えなくてもいいのかもしれない。実際に安心して?400km/h出せる道などテストコース以外、あり得ないのだから。いや、400km/h以上出せるテストコースでさえ稀だ。

Text: Michael Gebhardt
加筆:大林晃平