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2020年と2021年にデビューするプジョー、シトロエン、DSのニューモデル

2020年6月11日

プジョーとシトロエンとDSから今年から来年にかけてデビューするモデル一覧

フランスからのニューモデル情報。新型プジョー e-エキスパート(e-Expert)、
ハイブリッド仕様のシトロエンC5エアクロス、スポーツバージョンの508.2021年までに登場するPSAグループのニューモデルの最新情報(一部画像なし)。

プジョーは、今後数年間で何台かのSUVモデルを発売する予定だ。
例えば、2008の第二世代。この小型SUVは新しいPSAプラットフォームCMPをベースに大幅に成長している。
プジョーの姉妹ブランド、シトロエンもそのSUVの範囲を増殖させている。しかし、古典的なリムジンの愛好家もたくさんユーザーとして抱えるシトロエンは、新型シトロエンC5で、フランスの中間層を取得したいと考えている。
また、DSは、DS 8で、アッパークラスのドイツの競争相手たちを攻撃したいと考えている。
むろん、シトロエンもプジョーも、すべてのモデルレンジで電動化も推進している。
以下にプジョーとシトロエンとDSの2021年末に向けた展開を検証する。

シトロエンC5エアクロス ハイブリッド

トップバッターはシトロエンC5エアクロス ハイブリッドだ。市場投入は2020年半ば、価格は40,390ユーロ(約504万円)から。
C5エアクロス ハイブリッドは、シトロエン初のプラグインハイブリッド駆動のシリーズ生産モデルだ。視覚的には、ハイブリッドのロゴと、左後輪の上にある充電接続用のフラップだけで、電動化バージョンと認識できる。
駆動方式は、180馬力の1.6リッターターボエンジンと80kWの電動モーターで構成されている。その結果、225馬力のシステム出力と320Nmのトルクが、8速オートマチックトランスミッションを介して前輪に送られ、駆動する。
もう間もなく市場で見かける日が来るだろう。ディーゼルエンジンのモデルとどちらが魅力的かは、選ぶユーザー次第か。
Photo: Citroën Communication / DR

プジョー e-エキスパート(e-Expert)

プジョー e-エキスパート(e-Expert)。発売は2020年秋を予定。
プジョー エキスパートには、将来的に完全電動バージョンのe-エキスパートが用意される予定だ。PSAグループの兄弟車である、オペル ヴィヴァロ-eと同様に、電気自動車にも 50kWhと75kWhの2基のバッテリーパックが装着される。航続距離は230~330km。
おそらく日本には導入されないだろうが、こういう商用車が電気自動車になるのは理にかなっているし、ぜひ推進して欲しいと思う。
Photo: PSA Group

プジョー スポーツエンジニアード508コンセプト

プジョー スポーツエンジニアード508コンセプト。市場投入は2020年。プジョーは、プロダクションモデルに限りなく近い、スタディモデル、プジョー スポーツエンジニアード508(Peugeot Sport Engineered508)で、近い将来デビューする、ハイブリッド仕様の市販スポーツモデルがどのようなものになるかを示している。
このハイブリッドスポーツカーは、既に発売されている 508 セダンをベースにしている。スタディモデルのボンネットの下には、フロントの110馬力の電動モーターとリアの200馬力電動モーターによってサポートされている4気筒ターボガソリンエンジンが搭載されている。合わせて、500Nmのトルクを生み出す。
現在大変好評な508に加わるハイブリッド車は、スポーティーモデルというのがミソ。単なるハイブリッドではないところがいけてる。
Photo: PSA Group

シトロエンC1とプジョー108エレクトロ

シトロエンC1とプジョー108エレクトリック。市場投入は2021年。
シトロエンのボス、リンダ ジャクソンは、PSA グループは、C1(写真は C1アーバンライドのスタディモデル)と108 の後継車は、おそらく電気駆動のみに頼るだろうと、インタビューで述べた。
この2台のコンパクトカーは、ほぼ同じトヨタ アイゴ(Aygo) と一緒に開発されている。今後数カ月の間に、両グループは小型車の後継車についての共同開発を続けるかどうかを決める予定だ。これは、トヨタが『アイゴ』の後継車にどちらの駆動方式を好むかにかかっている。
リンダ ジャクソン氏によると、小型車のセグメントは縮小しているため、モデルは将来の顧客のニーズに合わせたものにしなければならないという。
おそらくフィアット新型500の好敵手。だが今や同じグループのメーカーなのであった。
Photo: Werk

以下、最新情報のみ(画像なし)。

DS8
価格:約35,000ユーロ(約437万円); 市場投入予定:2020年。
DSはメルセデスEクラス、アウディA6およびBMW 5シリーズに対抗できるモデルの投入を計画している。DS8で、フランス人は、特に地元のフランスで、ドイツのトップグループから上流階級層のマーケットシェアを奪い返そうとしている。
サルーンはデザイン的には2017年に発売されたSUV、DS7クロスバックをベースにしている。潤沢なクロームと、リトラクタブルドアハンドルなどの技術的な洗練は、プレミアムな主張を支えることを意図している。
新しいDSフラッグシップは、プジョー508同様、EMP2プラットフォームをベースにしている。全長は約4.85mで、ドイツの競合モデルたちよりもわずかに短い。
最大 225馬力のガソリンエンジンと、508でお馴染みの最大180馬力のディーゼルエンジンを搭載する。
PSAは、プレミアムオフシュートDSにより強力なバージョンのエンジンを採用することも考えている。最大300馬力のプラグインハイブリッドの設定だ。
だが残念ながらハイドロニューマチックではない。

プジョー308
価格: 約22,000ユーロから; 市場投入:2020年。
PSAはコンパクトカーでリスクを冒したくはないため、308シリーズは慎重(やや保守的)に改訂されただけであり、新しいシリーズも、現代的なボディラインにもかかわらず、308と認識されるプロフィールを備えている。
ボディには、剣のようなデイタイムランニングライト、狭いグリル、黒いトリムパネルで接続されたリアライトなど、兄貴分である508のディテールを踏襲している。
100〜200馬力のガソリンエンジンとディーゼルエンジンに加えて、250馬力(GT)と300馬力(GTi)の2つのプラグインハイブリッドモデルも計画されている。
GTiには、リアアクスルに2基目の電動モーターが取り付けられており、そのモーターが後輪を駆動することによって全輪駆動システムを備えることとなる。おそらく208のような純粋な電動バージョンも今後投入されるだろう。
まだまだガソリンエンジンもディーゼルエンジンのモデルも普通に選べるし、大きく性格が変わることはないモデルだが、ゴルフ8の良きライバルになることは間違いない。

シトロエンC5
価格: 約32,000ユーロ(約400万円)から; 市場投入: 2021年予定。
Cエクスペリエンス(Cxperience)コンセプトの研究に基づき、シトロエンは次期C5についての見通しを示した。シトロエン幹部は、C5は他の競合モデルと簡単に交換できるようなセダンにはしないということを発表した。先代のDS、CX、C6と同様に、個性的なデザインで、競合モデルより際立たせることを目指している。
新しいシトロエンC5は、独自のプラグインハイブリッドドライブを搭載しており、システム出力は最大300馬力、電動のみによる航続距離は50キロだ。このことからも、すべてのC5がプジョー508と技術的基礎を共有することは不思議ではないと理解できる。
フランス人は伝説的なハイドロニューマチック(油圧式)サスペンションこそ廃止したが、C5エアクロスでよく知られている油圧ストップ付きサスペンションは、伝統を意識した、快適な運転を保証することを目的としている。
まだまだその詳細は不明だが、プジョー508のように魅力的であってほしい。

プジョーとシトロエンはどちらも好きなブランドだったし、長年、発表されるモデルを楽しみに待っていた。それがいつの頃か、どれが208で、308で、3008で、5008なのか分からなくなり、DSとシトロエンのラインアップが判別できなくなるという事態に陥ってしまっている。
おそらくどちらのメーカーもSUVを発表し始めたころからなのか、ラインナップが整理できていないような、それでいながら次々に新型が発表されるような状況だった。

そんな中、いつの間にかシトロエンはDSのブランドを独立させ、ハイドロニューマチックを廃止した。
一方のプジョーはステアリングホイールが極端に小さくなり、タコメーターが反時計回りになり、508などはシトロエンよりもずっとアバンギャルドな姿に変貌を遂げた。
乗ってみるとどちらのメーカーの車も、まだまだフランス車の魅力を持っているし、今や日本でも魅力的なディーゼルエンジンのモデルが多数売られていることは確かである。
今年はカングーのライバルとなるような車種も導入されるし、まだまだ楽しみな気持ちがある反面、フィアット(ということはクライスラーとも)と同じグループになったPSAが今後どうなっていくのかも気になる部分であることは間違いない。

これからもイタリアとフランスの良い部分を保ちながら、魅力的な車を発表していくことを期待しているが、独立した「DS」というブランドをあえて作ったことや、他社と同じようにSUVのラインアップをまだまだ拡充し続けることが正解なのかどうかは、正直わからない。そしてフィアットとクライスラーとの関わりが吉と出るのかどうかは、だれにも予想がつかないことだろう。
できれば2CVやキャトル(ルノー4)のようなシンプルな小型車や、昔のDSやランチアのようなエレガントで独創的な高級車が登場してくれたら、と願ってやまない。

Text: Michael Gebhardt, Elias Holdenried
加筆:大林晃平