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ロックな760馬力シェルビーGT500のドライビングレポート!

2020年6月8日

フォード マスタング シェルビーGT500: テスト、エンジン、価格

EV、プラグインハイブリッド、スピードリミットといったテーマばかりが話題になる今日この頃。そんな風潮に対抗するのがフォード マスタング シェルビーGT500だ。

フォードマスタングシェルビーGT500を楽しむために、アンヘレスクレストハイウェイ(LA)で爆音を響かせたり、ブラックベアマウンテン(NY)でドリフト走行したりする必要はない。

地下駐車場の中でスターターボタンを押すだけで十分だ。パワフルなコンプレッサー5.2リッター8気筒から排出されるサウンドによって体の芯まで揺さぶられるからだ。 パフォーマンスデータの771psならびに847Nmだけをとっても、史上最強のマスタングだということがわかる!

シェルビー マスタングはそばを通る人々の目をくぎ付けにする。

シェルビーはフォードを視覚的トップモデルに変身させる

そして、それはかつてないほど危険に見える。たとえオプションのカーボンキットを選択しなくても、通行人の目と口は動かずに開いたままだ。もっともシャープな形のフォード マスタングは、そのもの自体ある種のショーだ。リトルバングラデシュ(LA近郊)の駐車場に置かれたシェルビー マスタングに向けて、無数のスマホが向けられ、シャッターが切られた。ある男性は、近くの山々で、いつも自分のBMW M3でマスタングにチャレンジしていると語った。しかし彼はまだこの新しいトップモデルのことは知らない。もちろん、エンジンからの膨大なパワーは強烈な印象をもたらし、ドライビングモードによっては恐ろしいノイズとともに途轍もない加速性能を発揮する。しかし、もしマスタングのもっとも強力な性能を味わいたいのであれば、コーナリングにチャレンジしなければならに。強力な推進力はコンプレッサーを介して発揮され、5.2リッター8気筒が強力な、ほとんど信じられないほどのパワーを引き出す。

マスタングの最高時速は290km/hで規制されている。

素晴らしいバランス

全長4.81メートルのシェルビーGT500はスーパースポーツのファーストクラスの走りを見せる。アルカンタラで覆われたハンドルレバー上のボタンを操作することによって、ステアリングの動きを調整できるようになっている。
そしてコーナーを攻めるときはあまり野心的にならなくても済む。ノーマルモードでは、クルマのコントロールは「すばらしい」の一言だからだ。スポーツモードも、トラックモードも必要ない。ロードサーフェイスに吸い付く32.8インチのフロントタイヤと34.6インチのリアタイヤとも相まって、完璧なパフォーマンスをみせる。
このことはダンパーのチューニングにも当てはまる。頑丈なボディを備えるGT500に十分すぎる快適性を提供する。そして、たとえトランスミッションが完璧なものとは言えなくとも、1.9トンのフォードマスタングGT500を運転するのは掛け値なしに楽しい。

インテリアの加工やデザインには多大な期待を持たないほうがいい。

その他には72,900ドルに値するほどの喜びはない?

しかし、インテリアには目をつぶらなければならない。処理はせいぜい平凡で、使い勝手は中程度、インスツルメンツは数年前の機能性だ。最新のものからは程遠いレベルのナビゲーションスクリーン、凡庸なインスツルメンツ、安っぽいトグルスイッチ、80年代のようなクライメートコントロールシステム、すべてが典型的なマスタングだ。
しかしだれがそんなことを気にするだろうか。これはキャノンボールだ。ポニーカーのファンのみならず、誰もが一度は乗ってみたいと夢見るクルマなのだ。その熱気、その楽しさ、72,900ドルで手に入る情熱、おそらく他のどのクルマにはないものだ。そこには古き良き時代へのタイムトラベルと日常的な足としての楽しさも含まれている。ラゲッジスペースに380リットルの容量が備わっていて、実用性が高いことも最後に付記しておきたい。

Text: Julian Rabe