1. ホーム
  2. 新車&ニュース
  3. ジャガー・クラシックが「E-TYPE」のレース初勝利を称える「E-TYPE ZP COLLECTION」を発表

ジャガー・クラシックが「E-TYPE」のレース初勝利を称える「E-TYPE ZP COLLECTION」を発表

2023年6月17日

ジャガー・クラシックは「E-TYPE」のレースでの初勝利を称え、2台1組、7組限定の「E-TYPE ZP COLLECTION」を製作すると発表した。オールトンブルーのドロップヘッドクーペとクリスタルグレーのフィックスドヘッドクーペの2台1組で構成される。

先日、「CLASSIC DEFENDER WORKS V8 ISLAY EDITION」を発表したイギリス、コベントリーにあるジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークスでは、両ブランドの優れたリボーン・レストアや、ジャガーの「Lightweight E-TYPE」、「XKSS」、「D-TYPE」、「C-TYPE」など、オリジナルの仕様での製造再開(コンティニュエーション)を専門に手掛けている。

「E-TYPE ZP COLLECTION」は、「E-TYPE」の歴史における重要なストーリーを称えるもので、その名称はレース用に改造を施した7台の初期車両に由来している。当時のジャガーのチーフデザイナーであったクロード・ベイリーは、量産型「E-TYPE」をジュネーブモーターショーで世界初公開した翌日に、エンジン、ギアボックスにチューニングが施された7台の「ZP」車両の詳細仕様を公表た。その1か月後の1961年4月15日、「ECD 400」および「BUY 1」の登録番号が付けられた2台の「E-TYPE」が、GTカーレースのオールトンパーク・トロフィーに参戦し、1位と3位を獲得したことで「E-TYPE」は、「C-TYPE」や「D-TYPE」といったジャガーを象徴するモデルによって確立されたモータースポーツのDNAを受け継ぎ、レースにおける栄光の歴史がスタートした。

オールトンパークで優勝したインディゴブルーの「ECD 400」はグラハム・ヒルがステアリングを握り、パールグレーの「BUY 1」はロイ・サルバドーリがドライブして3位を獲得。その後、サルバドーリは、1961年5月21日に開催されたクリスタルパレスで優勝し、1961年から1964年にかけて、「E-TYPE」はサーキットで目覚ましい成功を収め、通算24回の表彰台を獲得した。

クラシック・ワークスの卓越した専門知識

ZPコレクションは、1961年から1964年にかけて生産し、3.8リッター・エンジンを搭載したシリーズ1 「E-TYPE」の仕様をベースに製造される。265bhpを発生するこの3.8リッター・エンジンには、日常的な扱いやすさを考慮して、電動クーリングファンや電子イグニッションを備えたアロイラジエーター、光沢仕上げのステンレススチール製エキゾーストシステムが装着される。

さらに各車両には、Bluetooth接続、ナビゲーション機能を備えたジャガー・クラシック・インフォテインメント・システムが搭載される。

5速マニュアル・トランスミッションは、すべてのギアにシンクロメッシュ機構を備え、ヘリカルカットギアと強化鋳造アルミニウムケーシングを採用することで信頼性と耐久性が向上、クロスレシオのギアによりスムーズな変速を可能になっている。ただし、オリジナル車両の完全性を維持することを目的に、このトランスミッションを搭載するために、ボディシェルやその他のコンポーネントの変更はしていいない。オリジナリティを維持した上で利便性を向上する措置がとられる。

すべての車両は、ジャガー・クラシックのエキスパートが約2,000時間をかけて作業し、高度なクラフトマンシップと丹念が込められており、芸術作品の域に達する完成度を誇る。

車両概要

ドロップヘッドクーペ】
・グラハム・ヒルがドライブしたインディゴブルーの「ECD 400」から着想を得たオールトンブルーで塗装
・ボンネットとドアにあるラウンデル(ゼッケンを表示するための丸いエリア)はホワイトで仕上げ、フロントエアインテークの内側には、同色のリップスティックを装着。オリジナル車両を忠実に再現するため、グリル全体のモチーフバーとフロントオーバーライダーは削除
・ジャガー・クラシックのエンジニアはノーズを再加工し、さらに40時間以上かけて手作業で仕上げ完璧な美しさを追求
・クローム仕上げのバンパー(フロント/リア)
・ワイヤーホイールおよびジャガーヘリテージのロゴ入りホイールキャップ
・1961年当時の仕様を正確に再現するために、ブナ材のステアリングホイール、溶接されたボンネットルーバー、ロック可能なキー付きの外部ボンネットラッチ(「ZP」ロゴ付き)と革製ボンネットストラップを採用
・リアエンドには「ZP」および「JAGUAR」ロゴを、燃料フィラーキャップ、車両カバー、ルーフカバーにも「ZP」ロゴをレイアウト
・フロントフェンダー後方のシルバーのシールドの中にはユニオンジャックと「E-TYPE」のシルエット、「Project ZP」のレタリングを配置
・インテリアは、ブリッジ・オブ・ウィアー社のレッドレザーを採用し当時と同じくハードデュラトリム仕上げ
・ゴールドのグラウラー・ホーンボタンに加え、アルマイトアルミニウムのセンターコンソールには、英国の彫刻アーティストであるジョニー“キング・ナード”ダウェル(Johnny “King Nerd” Dowell)が手掛けたビスポークのパネルを追加。オールトンパークのサーキットレイアウト、ヒルの名言「In a race my car becomes part of me, and I become part of it(レースで車は私の一部となり、私は車の一部となった)」、そして栄光の勝利を象徴する月桂樹の冠(ペアのもう1台と組み合わせるために半分)が描かれている

フィックスドヘッドクーペ】
・ロイ・サルバドーリが勝利を収めた「BUY 1」からインスピレーションを得て製作
・オリジナル車両のパールグレーに着想を得たクリスタルグレーのエクステリアカラーを採用。クリスタルという名称は、サルバドーリが「E-TYPE」で初めて勝利を収めたクリスタルパレスから由来
・ドロップヘッドと同様、ホワイトのラウンデル、クローム仕上げのバンパー、溶接されたボンネットルーバー、専用のサイドグラフィックディテールを装備。さらに英国バーミンガムのジュエリークォーターに拠点を置くスペシャリスト、ヴォートンズ(Vaughtons)と協力し製作したエクステリア・エンブレムも装着
・ダークネイビーのブリッジ・オブ・ウィアー社のレザーインテリアと、それにマッチするハードデュラトリム、ブナ材のステアリングホイールを採用
・アルマイトアルミニウムのセンターコンソールのパネルには、月桂樹の冠(残りの半分)、クリスタルパレスのサーキットレイアウト、車両のシルエットに加え、ロイ・サルバドーリのニックネームであった「King of the Airfields(飛行場の王)」の文字を彫刻

なお、各車両には、当時、ドライバーのヒルとサルバドーリが着用していたものを再現したヘルメットが付属する。これらは、1950年代からヘルメットを製造してきた英国の専門メーカー、エバーオークのビル・ヴェロ(Bill Vero)が製造する。そして、インテリアと同じレザーを使い、ジャガー・クラシックのトリムエキスパートが製作した、テーラード・レザーのヘルメット収納用バッグ、車両ハンドブック用のレザーポーチも附属する。さらに、「ZP」ロゴ入りの専用車両カバーと、トランクフロアの下に収納できる特注のジャッキ(専用の収納バッグ付き)も付属する。

V8搭載最後のジャガーのスポーツカー

また2023年後半、ジャガーのSV BESPOKEパーソナライゼーションチームは、「E-TYPE ZP COLLECTION」にインスピレーションを得た限定モデルとして「F-TYPE ZP EDITION」を発表予定だ。このモデルは、5.0リッター V型8気筒 スーパーチャージドエンジンを搭載した最後のジャガーのスポーツカーとなる。この限定モデルのうち14台は、「E-TYPE ZP COLLECTION」を購入された顧客に割り当てられ、これにより、今後二度と再現されることのないカルテッドが誕生する。

そして、ジャガーは2025年からモダンラグジュアリーな電気自動車(EV)専門ブランドへと変革を遂げることを掲げており、これにより、1935年にウィリアム・ライオンズ卿が設立したジャガー・ブランドのエキサイティングな新しい扉が開かれることになる。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:ジャガー・ランドローバー・ジャパン