シルバーアローの雷鳴 Part1
2020年5月19日
グッドウッド・リバイバル2012 – 18.09.2012
1939年以来、アスファルト上に雷やうねりは出現しなかった。ついにこの年、戦前のドイツのシルバーアローレーシングカー10台が、再びイギリスで雷鳴を放ちながら、センセーショナルなショーを披露したのだった。
1939年以来、73年ぶりに10台のシルバーアローが再びグッドウッド・モーター・サーキットのスタートラインに並んだ。アウトウニオンが5台、メルセデス・ウニオンモデルが5台だ。(Photo: Werk)
その精神をアウディが伝統として受け継ぐ、アウトウニオンシルバーアロー艦隊がグッドウッド・リバイバルに参加し、主役を担った。左から、アウトウニオン・タイプA(1934)、アウトウニオン・タイプC(1936)、アウトウニオン・タイプD(1938)、そして2台のダブルコンプレッサー付きアウトウニオン・タイプDというラインナップだ。 (Photo: Werk)
5台中4台のメルセデスベンツ・シルバーアロー。左から、W165、W154、W125、そしてW25だ。(Photo: Werk)
1930年代伝説のシルバーアロー10台が最後に会ったのは73年前のことだ。 1939年9月3日の午後、ベルグレイドGPの勝者が決まったとき、第二次世界大戦はすでに始まっていた。合計数千馬力のマシンを目の当たりにして、再び観衆が再び息を飲む。加えて、これは、これまでで最も高価な自動車文化遺産の行進でもある。専門家は、アウディとメルセデスベンツのヒストリック部門がコレクションの中からイギリスに持ち込んだ10台は、合計で最大5億ユーロ(約625億円)の価値があると見積もった。10台中2台は個人の所有物だ。
パドックは、広告も含め、ベルンで開催されたスイスGPのオリジナルのままを再現すべく特別に構築されたものだ。シルバーアロー・レーシングマシンが勢ぞろいしている。写真の左側には、クラシックモデルのメルセデスベンツ・レーシングトランスポーターが置かれている。(Photo: Werk)
アウディ、もしくはアウトウニオンチームを誇らしげに紹介するのは、アウディトラディションのボス、トーマス・フランク(1番左)だ。マシンを操るレーサーは、左から、フランク・ビエラ、ニック・メイソン、そしてジャッキー・イクスだ。(Photo: Werk)
アウトウニオン・タイプD:73年ぶりの凱旋
毎年9月、マーチ伯爵はモータースポーツの歴史を祝う。3日の間、彼の始めたグッドウッド・リバイバルは完璧なレースプログラムを提供してくれる。約14万の人が事前にチケットを購入し、イベント入場券は見事に売り切れた。チケットは現地では入手できなくなり、人々が乗ってきた何百台ものクラシックカーが、伯爵の所有する広大な草原の地平線の彼方まで並んでいる。イングランド南部の小さなサーキットには、モータースポーツで評判を取り、名を挙げたすべての人とマシンが集結する。そしてフォーミュラー・マシンやGTレースカー、そしてレーシングバイクが、さまざまなクラスで真剣に、そして正々堂々と勝利を目指して競い合う。
観衆は勝利を手にしたドライバーの歓喜あふれた笑顔を目にする。レース前、レースの後、そして夜間でも、人々は情熱的にあらゆる場所に陣取って居座る。ここではすべてが昔のままのように見える。グッドウッド・リバイバルは、巨大な野外の仮面舞踏会のようなものになっているのだが、訪れるすべての人、チームには、古典的な衣服の着用が義務付けられているし、敷地内の建物もすべて過去のスタイルに従うことになっている。
車齢70年以上の8気筒および12気筒エンジンの信じられないほどの轟音がサーキット中に響き渡る。メルセデスW25とW125がアウトウニオン・タイプAを必死に追いかける。
このスナップショットの中では、約2,200馬力が唸りを立てている。前から後ろへ、メルセデスW25、アウトウニオン・タイプA、メルセデスW125、アウトウニオン・タイプC、そしてメルセデスW154という順列だ。(Photo: Werk)
ボンネットオープン!なんと素晴らしいマシンに、なんと何と素晴らしいエンジン!(Photo: Werk)
シルバーアロー・ショーで、アウディ・トラディションは、伝説のドイツ人レーサー、ベルント・ローゼマイヤーの栄光を称えた。75年前の1937年10月、最も有名なアウトウニオンのドライバーが英国グランプリで勝利した。これが彼にとって、悲劇的な事故の前の最後の授賞式となった。(Photo: Mario Puksec)
Text: Thomas Wirth