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すべてが新しい? ポルシェがカイエンをリフレッシュ 史上最大級のアップグレードとなった その全情報

2023年4月23日

全てが新しい。ポルシェ カイエン フェイスリフトの新機能について。ポルシェがカイエンをリフレッシュ、史上最大級の製品アップグレードを語る。

ポルシェとSUV、それは相容れないものである!?2002年にカイエンが発表されたとき、大きな反響があった。しかし、それから20年以上が経ち、疑念を抱いた人たちでさえも、「カイエン」が、ポルシェのモデルレンジにフィットしていることを認めざるを得なくなった。そして、どのように?!2022年に95,000台以上販売されたカイエンは、ポルシェの中で最も人気のあるモデルだ。弟分のマカン(約86,000台)をも凌ぐ勢いだ。

そして、さらに素晴らしいことに、市場投入以来、世界中で、合計約125万台の「カイエン」が販売されている。ポルシェはすでに、「カイエン」を、電気自動車として、20年代半ばから提供する意向を表明している。ただし、内燃機関モデルは、当分の間、プログラムに残り、並行して提供される予定であるため、電気自動車だけにはなるのはその先だ。

デザイン: 慎重に適応するのみ

「ポルシェ カイエン」の第3世代は、2017年末から発売されているが、販売台数が印象的に証明しているように、その古さにもかかわらず、顧客からの人気が非常に高いのだ。これによると、ポルシェは外観をあまり変えておらず、今でも同社史上最大の製品アップグレードのひとつと語っている。一見するとそう見えなくても、フロント全体のデザインは一新されているのだ。

ボンネットはより輪郭が強調され、フロントエプロンは、より角張った印象を与えるようになった。リフレッシュされた外観のトピックスは、新たに標準装備されたマトリクスLEDヘッドライトだ。HDマトリックスLEDライトは、別料金で、64,000ピクセル(ヘッドランプあたり32,000ピクセル)を個別に制御でき、コンストラクションライト、レーンイルミネーション、パッシングライト(車線変更前に隣車線を照らす)などの機能を備えている。

20インチが標準装備に

サイドビューはほとんど変わらず、ドアやサイドパネルはそのままで、ホイールだけが新しくなっている。フェイスリフトでは、20~22インチサイズの12種類のホイールデザインが用意されており、そのうち8種類がニューデザインとなっている。

従来19インチが標準であったホイールは、20インチになる。

リアでは、ポルシェは弟分の「マカン」からヒントを得て、連続したライトストリップを採用している。「カイエン」はすでにこれを備えていたが、以前はガラスの下にあり、現在は立体的なものとなっている。従来は「カイエン クーペ」にしかなかったが、ナンバープレートリセスはテールゲートから新たにモデファイされたエプロンに移動している。ポルシェは多くのコンポーネントを変更したが、このビジュアルは「革命ではなく進化」と、要約することができる。

リアでは、カイエンは弟分のマカンからヒントを得ている。ライセンスプレートのカットアウトは、エプロンに配置された。

インテリア: 新しいコックピットジェネレーション

完全に刷新されたインテリアについては、新しい操作コンセプト「ポルシェ ドライバー エクスペリエンス」によって、ポルシェはSUVに「タイカン」の風格を持たせた。

カイエンで感じるタイカン: ポルシェはフェイスリフトのためにコックピットを完全にリデザインした。

新しい操作コンセプトの中心となるのは、新しい12.6インチのフルデジタル曲面ディスプレイで、自由に設定できるほか、純粋主義者の人たちのために、5つのデジタル丸型計器を備えた「クラシックモード」まで用意されている。ちなみに。「タイカン」のディスプレイに似ていても、ポルシェによれば、同一部品ではないそうだ。

真新しい: パッセンジャーディスプレイ

ダッシュボードにきれいに埋め込まれた12.3インチのインフォテイメントディスプレイがそれを補完している。10.9インチの助手席用ディスプレイは、「タイカン」でお馴染みのもので、追加料金で利用可能だ。同乗者はこのディスプレイを使って、お気に入りの映画やシリーズを、便利にストリーミング再生することができる。ドライバーが気を取られないように、ディスプレイには、特殊なフィルムが貼られていて、運転席からディスプレイが見えないようになっている。これは、私自身、スタジオで自分の目で確認することができたので、「テスト合格」と言える!

10.9インチのパッセンジャーディスプレイは、追加料金でのみ利用可能で、タイカンでもおなじみの機能だ。助手席の人は、このディスプレイを使って、お気に入りの映画やシリーズを便利にストリーミング再生することができる。

しかし、それだけではない。ポルシェはセンターコンソールをさらに整理している。特徴的なグラブハンドルはそのままに、ギアセレクターレバーは姿を消した。ステアリングホイールの右側にある、小さなシフトバイワイヤースイッチに変わり、これも電気自動車の「タイカン」や、ハイパースポーツカーの「918スパイダー」でおなじみの機能だ。クライメートコントロールは、触覚フィードバックを提供するタッチボタンを介して行われ、これは素晴らしく機能する。カバーの下には、冷却された充電トレイがあり、スマートフォンを最大15ワットで非接触充電することができるようになっている。

ポルシェはセンターコンソールもそれとなく整理している。特徴的なグラブハンドルはそのままに、ギアセレクターレバーは姿を消した。ステアリングホイールの右側にある小さなシフトバイワイヤースイッチに変わり、これもタイカンでおなじみの機能だ。

ポルシェは、ドライブモードスイッチ付きのマルチファンクションスポーツステアリングホイール(390mmと365mmの2サイズ)を標準装備し、SUVに、「911」のテイストを採り入れた。このフェイスリフトは、新しいレザートリム、トリムパーツ、ドアパネルの変更によって締めくくられる。スペースは相変わらず広く、素材の選択も、文句のつけようがない。

装備: 標準装備が大幅に向上

標準装備に関しても、ポルシェは大きくステップアップしている。新しいコックピット、大径ホイール(19インチから20インチ)、マトリクスLEDヘッドライトに加え、アシスタンスシステムも拡充された。カイエンのシャシーも見直され、スチールスプリングサスペンションが標準装備され、そのダンパーは2バルブテクノロジー(伸側・縮側別ダンピング)を搭載するようになった。さらに、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)も標準装備されている。ポルシェは、フェイスリフトでは、ゆっくり走るときにはより快適なサスペンションを、速く走るときにはボディロールを大幅に低減することを約束している。アダプティブエアサスペンションも引き続きオプションで用意されており、従来の3室1バルブ技術に代わり、2室2バルブ技術が採用されている。

エンジン: 発売当初は3種類のエンジンから選択可能

2023年7月の市場導入時、ポルシェはドイツでカイエンに3種類のエンジンを設定する。エントリーモデルは従来通り、3リッターV6ターボを搭載したカイエンで、最高出力は353馬力、最大トルクは500Nmとなった(従来は340馬力、450Nm)。その上に位置するのがカイエンe-ハイブリッドで、その駆動は大幅に見直された。V6が304馬力に絞り込まれたのは、大幅にパワーアップした電気モーターによるものだ。ここでは、出力が100kW(136馬力)から130kW(177馬力)へと向上している。ポルシェは、システム出力を470馬力と650Nm(従来は462馬力と700Nm)としている。さらに重要なのは、バッテリー容量が17.9kWhから25.9kWhに増加したことで、電気走行距離が48kmから最大90kmに伸びたとされている。

もちろん、カイエン クーペもフェイスリフトされる。価格はベーシックバージョンで93,143ユーロ(約1,380万円)からだ。

「カイエンS」には、V8が搭載される!440馬力、550Nmの2.9リッターV6ビターボは性能の限界に近づいていたため、ポルシェはV6を捨て、新しい4リッターV8ツインターボ(V8エボ)に置き換えることを決定した。パワーは474馬力、600Nmで、0-100km/hのスプリントは4.7秒、最高速度は273km/hと、十分な性能を備えている。

カイエン ターボGTがプログラムから飛び出す

しかし、欧州では640馬力の「ターボGT」が販売終了となるため、パフォーマンスマニアは、強い意志を持つ必要がある。その理由は、言うまでもなく、これまで以上に厳しくなる排ガス規制だ。少なくともポルシェは、近い将来、キーワード「GTS」というエンジンレンジが拡大されることをすでに明らかにしている。

AUTO BILD誌副編集長のミハエル ゲバルトは、ポルシェのエンジニアのテストラップに同行することを許された。

ドライビング: どれほどスポーティなのか

ダウンサイジングと電動化の時代に、ポルシェが2.9リッター6気筒を捨て、4.0リッターV8ツインターボに置き換えることは、明確な意思表示である。そして、テストの状態でも、新しいエンジンはすでに立派な姿を見せている。この8気筒エンジンが、600ニュートンメーターのトルクを発揮し(従来は550Nm)、2トンを超える重量を持つSUVをハリウッドヒルズまで力強く押し上げる。

いつものようにZF製の8速オートマチックがパワーを制御し、スロットルを開ければエンジンは自発的に、そして典型的なV8の咆哮を伴って、そのパワーを発揮する。今回は、サスペンションのチューニングも新たに行われた。標準装備のアダプティブダンパーは2つのバルブで作動し、伸側と縮側を別々に調整できるようになった。これにより快適性が増し、ノーマルモードでは「カイエン」が少ししなやかに路面を浮遊し、パシフィックコーストハイウェイの長いバンプでは優しく快適に駆け抜ける。

同時に、このシステムはより広がりを可能にし、その結果、(さらに)よりスポーティな走りを実現する。「カイエン」は、スポーツモードまたはスポーツプラスモードで、ロサンゼルス北部のマルホランドドライブとサンセットブルバードの間にある曲がりくねった山道でこのことを印象的に示し、SUVの中でトップのアスリートであるという主張を再び強調した。エアサスペンション、スチールサスペンションのどちらを装備していても、「カイエン」はまるで肋骨の重さが数キロ軽くなったかのようにコーナリングする。

価格: カイエン フェイスリフトは、より高価になる

ポルシェ カイエン フェイスリフトはより高価になるが、これは装備の充実を考えれば当然だ。今後、カイエンのベース価格は89,097ユーロ(約1,320万円、従来は82,909ユーロ=約1,230万円)となる。カイエンe-ハイブリッドは少なくとも103,344ユーロ(約1,530万円、以前は97,903ユーロ=約1,450万円)、カイエンSは107,542ユーロ(約1,590万円、以前は101,473ユーロ=約1,500万円)から価格リストに載っている。したがって、サーチャージは5000~6000ユーロ(約74~88万円)、クーペバージョンは約3000~5000ユーロ((約44~74万円))となっている。

結論:
ポルシェは「カイエン」を慎重に改良したに過ぎないが、それは良いことだ。インテリアは大幅に近代化されたが、それでも過大な負荷がかかっているようには見えない。最初のチェックでも、操作コンセプトは納得のいくものだった。

Text: Jan Götze and Michael Gebhardt
Photo: Porsche AG