2023 SUPER GT開幕! 第1戦 OKAYAM GT300kmレース 開幕戦は見応えのある波乱万丈のレースとなった!
2023年4月18日
2023 AUTOBACS SUPER GT第1戦『OKAYAMA GT 300km RACE』の決勝レースが4月16日(日)(1周3,703m×82周)岡山国際サーキットで行われた。天候は、雨のち晴れのち雨、壮絶なバトルが展開された。
初日は終日雨模様
4月16日(土)は終日雨で、午前のフリー走行から全セッションウェットコンディションであった。午前のフリー走行では、至る所でコースアウトする車が続出していたが、それまでトップタイムを刻んでいた#39 DENSO KOBELCO SARD SUPRA 中山雄一がモスSコーナーと呼ばれる高速S字コーナーでスピンを喫した後、大きくタイヤバリアにヒットし、宙を舞うほどの大クラッシュが発生。幸いドライバーに大事はなく、ドクターの診断でも問題ないことが確認された。
予選結果
GT500クラス予選の上位は下馬評通り、雨に定評のあるミシュランタイヤを装着している#23MOTUL AUTECH Z 松田 次生 / ロニー・クインタレッリがトップで、#3 Niterra MOTUL Z千代 勝正 / 高星 明誠が続いてMOTUL AUTECH Zのワンツーとなった。続く3位にはダンロップタイヤを履く#64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也 / 太田 格之進が続いた。
GT300クラス予選は、トップが#65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥 / 篠原 拓朗、続いて#2muta Racing GR86 GT堤 優威 / 平良 響とブリヂストンタイヤ勢がワンツー、3位には#7 Studie BMW M4荒 聖治 / ブルーノ・スペングラーとなった。
決勝は大荒れの展開
2日目の決勝当日は、朝からウォームアップ走行終了後のスターティンググリッドまでは晴れ。そして、なんと前日に大クラッシュした#39 DENSO KOBELCO SARD SUPRA が決勝当日の朝6時まで脇阪寿一監督やチーム代表含め、メカニックやスタッフそして、他チームのスタッフまでもが協力して、見事に修復を終わらせ、ウォームアップ走行に立派な姿を表わした。筆者はたまらなく胸が熱くなり、なんて素晴らしい事なんだろうと、この記事をタイプしている今も胸が込み上げてくる。
スタート直前に雲が広がり、雨がぱらつき始める中、いよいよSUPER GT第1戦のスタートを迎えた。レース序盤はポールポジション#23 MOTUL AUTECH Z 松田次生/ロニー・クインタレッリのクインタレッリと予選2位の#3 Niterra MOTUL Z 千代勝正/高星明誠の千代が後続を引き離すが、周回を重ねる毎に雨脚が強まり、各車スリックタイヤでスタートしていたが、ウエットタイヤへの交換を余儀なくされる。トップの23号車は15周目に、後続車も続々とピットに飛び込んできた。2台のNissan Z GT500を追う100号車も16周目にピットイン。このタイミングでGT300車両がコースアウトし、コース上ではフルコースイエロー(FCY)が出る。さらに2台のGT300車両が相次いでストップしたため、そのままセーフティーカー(SC)が導入された。
ピットインのタイミングで2位となってしまった#23号車は、トップを走る#36号車を41周目に抜き再びトップに。この頃、徐々に路面が乾き出し、スリックタイヤへの交換とドライバー交代を行うチームが続々とピットイン。その後、2台のGT300車両が絡むアクシデントが発生し、2度目のSCが導入され、さらにSCランの最中に雨に加えて近隣に落雷が認められたため、レースは55周目に入ったところで赤旗、レース中断となってしまった。
その後、レースが再開されるも、また雨が強くなったことで、スリックタイヤで走行していた車両がタイヤ交換のため、一斉にピットイン。それにより、再び#23号車が労せずトップに返り咲くことに成功。一方#36号車がピットアウト直後に、作業ミスで左フロントタイヤが脱落し2コーナー外側でストップしてしまう。これで#3号車が再び2番手に返り咲き、3番手にはNo.8 ARTA MUGEN NSX-GT野尻智紀/大湯都史樹が急浮上してきた。
その後、61周目に入ったところでGT300車両2台にアクシデント。再び赤旗が提示されレースは中断。その後再びSC先導で走行を再開したものの、62周を消化して63周目に入ったところで3度目の赤旗が出され、これをもってレースを終了となった。
結果は、#23 MOTUL AUTECH Z 松田次生/ロニー・クインタレッリが、ポール・トゥ・ウインで今季初戦を飾るドラマのような勝利を掴んだ。そして#3 Niterra MOTUL Z 千代勝正/高星明誠が2位に入り、Nissan Z GT500がワン・ツー・フィニッシュ。3位にはARTA MUGEN NSX-GT 野尻智紀/大湯都史樹となった。奇跡の大修復を行なった#39 DENSO KOBELCO SARD SUPRA 関口 雄飛 / 中山 雄一は粘りの走りで見事8位になりポイントをゲットした。
GT300決勝
GT300は、ポールポジションからスタートした#65 LEON PYRAMID AMG 、#2 muta Racing GR86 GT 堤優威/平良響、No.7 Studie BMW M4 荒聖治/ブルーノ・スペングラーと数周に渡り予選結果のポジションのままレースは進行。雨脚が強まりGT300クラスも各車ピットインを行いウェットタイヤへと交換を行う。
その後、タイヤが脱落してコース上にストップしたり、ピットロード出口でストップ車両がでたりと相次ぐトラブルに、FCY(フルコースイエロー)が出されたあと、セーフティカー(SC)ランに切り替わった。このFCY、SCランの前後でピットインを行い、レインタイヤに交換したNo.18 UPGARAGE NSX GT3 小林崇志/小出峻のポジションを上げる。22周目にSCが退去し、リスタートを迎えるが、この時点で陽射しが出て、路面が急速に乾いていく。30周を過ぎると、GT300クラスの下位のなかではピットインし、スリックタイヤに交換するチームも現れ始めた。37~40周を過ぎると、ウエットタイヤとスリックタイヤのラップタイムに差が出始める。
これで、いち早くピットインしたのは4番手を走る18号車で、小出から小林崇志に交代し、さらにスリックへの交換を実施。トップを走っていた65号車も38周を終え篠原から蒲生尚弥へスイッチするなど、続々とドライバー交代とスリックタイヤへの交換が行われた。
GT500のレポート同様、計3回のFCYやSCランとなったことでレースは終了。GT300クラスは、#18 UPGARAGE NSX GT3 小林崇志/小出峻が優勝。2位は序盤からレースをリードした#65 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/篠原拓朗、3位は赤旗中断前のピットストップ後に大きく順位を上げたNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT 佐藤公哉/三宅淳詞となった。
GT500ポイント圏内リザルト
1位 #23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生 / ロニー・クインタレッリ
2位 #3 Niterra MOTUL Z3 千代 勝正 / 高星 明誠
3位 #8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀 / 大湯 都史樹
4位 #14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/山下健太
5位 #38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路 / 石浦 宏明
6位 #1 TEAM IMPUL MARELLI IMPUL Z 平峰一貴/B.バゲット
7位 #17 Astemo REAL RACING Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治
8位 #39 TGR TEAM SARD DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛/中山雄一
9位 #19 TGR TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN GR Supra 国本雄資/阪口晴南
10位 #64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也 / 太田 格之進
GT300ポイント圏内リザルト
1位 #18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志 / 小出 峻
2位 #65 K2 R&D LEON RACING LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/篠原拓朗
3位 #244 Max Racing HACHI-ICHI GR Supra GT 佐藤公哉/三宅淳詞
4位 #27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾 / 伊東 黎明
5位 #52 埼玉トヨペット Green Brave 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰
6位 #7 Studie BMW M4 荒 聖治 / ブルーノ・スペングラー
7位 #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮 / 坂口 夏月
8位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹 / 河野 駿佑
9位 #4 GOODSMILE RACING & TeamUKYO グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝/片岡龍也
10位 #56 KONDO RACING リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R J-P.デ・オリベイラ / 名取鉄平
次戦のSUPER GT第2戦は5/3-4に富士スピードウェイにて450kmレースとして開催される。是非ともサーキットに足を運び、生でこの壮絶な超高速バトルを観ていただきたい。
Photo/Text:Hisao sakakibara
【筆者の紹介】
Hisao sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。