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コンパクトSUV一騎打ち 新型メルセデスGLA対ボルボXC40

2020年5月9日

新型メルセデスGLA & ボルボXC40: テスト、エンジン、価格

メルセデスGLAは全面改良でXC40に対抗。メルセデス新型GLAは真のSUVフォーマットへと成長し、ボルボXC40と肩を並べることになった。われわれは2台を比較してみた!

800点中546点で第1位: メルセデスGLA 220d 4MATIC
速く、快適で、安全性が高く、最高のエキゾースト水準を備えている。明確な勝利。

800点満点中511点で第2位: ボルボXC40 D4 AWD
気品のある外観、主観的には強力で確実な足を備えているが、多くの点で新しいGLAよりも現代的ではない。

ついに、そう、ついにメルセデスGLAは本物のSUVとなった。
今までは、オフロードの遺伝子を持つコンパクトSUVは、単により背の高いAクラスとして見られていた。
しかし我々の目の前にある新型GLAは真のSUVだ。心地よく流れるような丸みを帯びた外観と、典型的ながっしりとしたボディ。ライバルとなるボルボXC40との比較テストで、この両モデルを試してみた。

デザイン面では、新型GLAは多くのポイントを獲得した

スウェーデン製SUVは伝統的にかなりエッジの効いたデザインを採用している。
北欧神話の雷神が持つハンマーをモチーフにデザインされたトールハンマー(LEDヘッドライトの名前)は、正面からは鋭角に見える。角度の付いたグリルは風に向かって垂直に立っており、XC40は現代のボルボの象徴的なデザインを身にまとっている。
新型GLAにとっては、ボルボは角張った外観のライバルだ。
2リッターディーゼル、4輪駆動、オートマチックのこの2台のSUVはかなり高価になってしまっている。
ボルボは、唯一の190馬力のXC40 D4 AWDは、最低でも47,350ユーロ(約568万円)を支払う必要があり、メルセデスは同様に190馬力のGLA 220d 4MATICに対して最低44,125ユーロ(約529万円)を必要とする。
え、ボルボはメルセデスよりも高価なの?
その通り。
しかし、それは単純にボルボのほうがメルセデスではオプションとなる装備を標準で装着しているからだ。
例えば、印象的な可変配光機能を備えたスマートLEDライトや、Apple Carplayとアンドロイドオートも標準装備されている。

SUVクラブへようこそ。新しいGLAは、ジャッキアップされたAクラスという外見を捨て、真のSUVになった。

ボルボは明らかにライバルよりも喉が渇いている

また、メルセデスでは、シートヒーターやキーレスアクセス「キーレスゴー」を装着するためには追加料金を支払う必要がある。
またメルセデスのほうがオプションを装着すればよりモダンなクルマになる。例えば、ボイスコントロールはエアコンをも制御し、ナビゲーションシステムは、ヘッドアップディスプレイにマップとして表示するほか、中央画面の「実画像」を介して案内をおこなう。
燃費という面でもメルセデスはボルボより優位に立っている。なぜなら、XC40は、GLAよりも100キロあたりほぼ1リットル多くの燃料を消費するからだ。
同様に重要なデータ。
2.0リットル4気筒エンジンと8速オートマチックトランスミッションの組み合わせは、ボルボの約1.8トンという重量上の欠点を隠すことはできない。ボルボより軽い新型メルセデスは、運転性能でもボルボに勝っている。加速、トップスピード、ドリフティング、コーナリングのすべての面において、XCに勝てるチャンスはない。
同時に、メルセデスの4気筒エンジンは、より音が良く、より均一でリニアな出力を実現している。

テスト中、ボルボの燃費は13.5km/ℓ、メルセデスは15.1km/ℓだった。

安全性の面では、どちらも高いレベルにある

GLAの使いにくいセレクターは、本当に使いにくく、”D”または “R”にも入れにくい。慣れないうちはエンジンをかけたままの初心者ドライバーのようにニュートラルをセレクトしてしまうことが多々あった(ウインカーと間違えてしまうことも多い)。
一方、XCはいかなるハンドリングのミスも犯させない。ボルボは高速走行時の挙動の乱れや、カーブでの負荷変化の反応による外へのふくらみなど、優れたESPプログラムがこれらをすべて吸収し修正してくれる。同様に、ボルボはファーストクラスの減速性能も有している。
メルセデスも、コールドブレーキディスクが停止運動をさらに適切にコントロールする。
我々はまた、GLAの適切なアラートシステム、高速かつ正確で滑らかな電子スキッドプロテクションに、「A+」を与える。

GLAとXC40のブレーキは非常によく効き、ESPがそれらを常に安全にチェックし続ける。
まさに今の時代のメルセデスの標準内装。使いにくいATセレクター(走行中にも触るとニュートラルになってしまう)、複雑なマウス型のコントローラー、でかいだけで色が下品なナビ画面(本当にこのナビ画面の醜さだけは、一刻も早く直してほしい)などなど、不満な点もすべてのメルセデスの車と同じ。
見栄えとデザインは昔のメルセデスと大違いだが、使い勝手や人間工学的な操作系という意味では、圧倒的に退化してしまった、といえる。特にハザードランプのスイッチが見にくく、米粒くらいの大きさなのは言語道断。
クリーンで美しいインテリア。XC90、XC60とは全く異なったテイストの内装だが、メルセデスよりもこちらを好む人がいても何の疑問も反対もない。だがクリスタルのセレクターノブはカジュアルテイストなXC40には不釣り合い。また、数多くのスイッチをセンターのタッチスクリーンに集約させてしまいすぎたことも若干使いにくい。

結論:
テストカーはいずれも5万ユーロ(約600万円)のモデルリーグに所属している。GLA 220dにはまあ適切な価格(オプション価格は高価ではあるが)と言えるが、残念ながら多くの分野でXC40 D4は価格に見合っていない。
したがって、多くのお金を要するベストなコンパクトSUVは、メルセデスだと言える。
ボルボは、より伝統的な、「スペシャルな」イメージを持つ車としての選択となるだろう。
他のモデルもそうだが、ボルボはイメージ戦略がうまく、スウェーデンという国のブランドも相まって好印象を持って受け取られることが多い。また頑丈で安全な車であるという先入観も先行しているところがある。
だが実際は普通の(悪く言えば平凡な)車であることも多い。決してそれは悪いことではないし、普通で落ち着いた自動車ということで考えれば決して間違いではない。しかし、昔のようにボルボはメルセデスよりも大幅に値段が安かったり、大きさの割にはお買い得だったりというイメージの時代と違い、今は他のプレミアムブランドと肩を並べる(あるいはより割高な場合もある)時代であり、価格の優位性はほとんどないのである。なにしろ上級モデルでは1000万円を超えるのだから、ボルボはプレミアムな自動車というブランディングを自らも積極的に展開しているのだ。
そう考えるならば、他のメルセデス、BMW、アウディといったライバルと、客観的に比較し、優越を同一線上で測ることも必然といえるだろう。
そう考えた場合、ボルボが他のプレミアム路線の車と同じようなハードウェアを持っているかというと、若干弱い部分があるのは事実である。
もちろんクリーンで美しい北欧調のインテリアや、素直に格好いいと言えるような垢ぬけたスタイリングを今や手に入れたと断言できるし、その分野ではいつまでも田舎臭い(!)ドイツのブランドを凌駕したとさえもいえる。だが純粋にハードウェアの優越という面ではやはりドイツのブランドの方が、いまだに先を行っており、追いついてはいないと思う。そんな点が今回の比較テストに結果になり、メルセデスの勝ちが決まったと言える。
もちろんボルボのたたずまいに魅力を感じ、そのクリーンなイメージを自分のライフスタイルに合わせて購入することは決して間違いではない。純粋にハードウェアの優越ですべてを決めることのできない商品…、自動車というのはなんとも難しく、面白いマシンである。

Text: Dennis Heinemann, Jan Horn
加筆修正: 大林晃平
Photo: Toni Bader / AUTO BILD