祝ポルシェ カイエン20歳! ポルシェの救世主の誕生日を祝う ブランドを救ったSUVの誕生ストーリー
2023年2月14日
ポルシェの救世主「カイエン」の誕生日を祝う。1990年代、ポルシェの経営はうまくいっていたわけではない。そのポルシェを救ったのはSUVだったのだ。救世主であるポルシェ カイエンの誕生からもう20年になる。
初代「カイエン」の発売から13年前の1989年、「我々の品質でオフロード車を作り、フロントにポルシェと書いたら売れるだろう」と言ったのはフェリー ポルシェだったのだ。
33年後、我々は素直にうなずく。彼の言うとおりだった。SUVの「カイエン」と「マカン」は、現在、スポーツカーメーカーのベストセラーモデルとなっている。そしてその大型スポーツSUVは最適なタイミングで登場したのだった。なぜなら、90年代、ポルシェは経営危機に直面し、赤字に陥っていたからだ。1996年に発売された「ボクスター」で何とか危機を凌いだものの、スポーツカーメーカーは、バラ色の未来のために、もう1台の主力モデルを必要としていたのだった。
ツッフェンハウゼンでは、ポルシェの別モデルの企画が始まり、バンの話も出てきた。しかし、結局目を向けたのは、アメリカでブームになりつつあったSUVだった。
その結果、オフロード車に開発が決定した。ブランドポリシーとして、スポーティであることはもちろん、オフロードでの走破性も求められた。社内呼称「コロラド」でフォルクスワーゲンとの共同プロジェクトが誕生したのである。
カイエンとトゥアレグがプラットフォームを共有
1998年、「ポルシェ カイエン」と「VWトゥアレグ」がプラットフォームを共有することが発表された。シュトゥットガルトのヘミンゲン工場でプラットフォームを開発し、VWは生産ノウハウを提供した。当初からスロバキアのブラティスラバVW工場で生産されていた「トゥアレグ」とは異なり、「カイエン」の最初の2世代は「メイド イン ジャーマニー」であった。そのためにライプツィヒに新しい生産工場を建設した。「カイエン」の組立もブラティスラバに移されたのは、3代目(2017年)からである。
「カイエン」によって、ポルシェは突然、まったく新しいターゲットグループに訴求することになったのだ。3人の子供を同時に通学させるような冒険心旺盛なファミリー層だ。そんな彼らが選ぶクルマにスポーティさを欠くことはできない。
ハイレグスポーツカーが誕生して20年が経った。「ポルシェ カイエン」が初めて一般に公開された場所、砂漠の街ドバイ近郊の砂浜に、今、再び旅立つ時だ。朝、初代カイエンでドライブ開始。温度計はすでに30℃を指している。
エアサスペンションによるロードクリアランスの拡大
いざ、山へ!パーマネント全輪駆動とリダクションギヤを搭載した初代は、砂利道を軽快に駆け抜け、どんな坂道もものともせず進んでいく。
初代「カイエン」のお腹の下には、少なくとも21.7cmのスペースがあり、エアサスペンションのおかげで、27.3cmまでレベルを上げることができた。また、当時からポルシェアクティブサスペンションマネージメントによって、路面やドライビングスタイルに応じた走行ができるようにダンパーがチューニングされていた。それは20年経った現在でも完璧に機能している。また、内装も現在でも納得のいくものだ。すべてがちょっと古めかしい感じもするが、どこかカッコいい。
オフロードが子供の遊びのようになる
最新モデルが、砂漠の方向に向かってアスファルト舗装された道路を走り出す。カイエンは穏やかに滑るように走り、数百km走った後でも、ここでは何も窮屈に感じない。大きな砂場に行くには、また石ころだらけの狭いところを渡らなければならない。
ポルシェはこの20年間でアシストを改良し、オフロード走行は経験の浅い人でも子供の遊びのように楽しめるようになった。無事に目的地に到着した。そこは男の中の子供を呼び覚ますような巨大な砂山である。タイヤの空気を抜いて接地面を増やし、スタートダッシュを決め、いざ勝負だ。重要なのは、安定した加速、速すぎず遅すぎず、止まらないこと、さもないと砂漠の細かい砂に車体が埋まってしまう。
20年前のようなカイエンアドベンチャー
砂を積み上げるごとに大胆になり、カーブで細かい粉状の砂を空中に舞い上げる。砂漠が震える!「カイエン」は、まるでこのために作られたかのように縦横無尽に走り抜ける。
「911」のユーザーは、サーキットに行かなくても、ちょっとしたモータースポーツ感覚を味わえるように、「カイエン」のユーザーは、オフロードに行かなくても、ちょっとしたアドベンチャー感覚を味わえる。それは20年前の今日から変わっていない。
Text: Jan-Menno Gebhardt
Photo: Porsche AG