【JAIA輸入車試乗会】イタリア車好きのファミリーカーにはちょうどいい?! アルファ・ロメオ・ステルヴィオ2.0ターボQ4ヴェローチェ
2023年2月11日
今回、JAIA輸入車試乗会で、念願だったアルファ・ロメオ・ステルヴィオ2.0ターボQ4ヴェローチェのステアリングを握ることができた。
試乗会当日は、晴天でステルヴィオのブルーメタリックのボディが引き立つ一方、海沿いの大磯ロングビーチは強風に見舞われた。
近年、ファミリーカーの中で多くの人がSUVを選択する。国産車メーカはもちろん世界中の自動車メーカがSUVを販売しているが、最近はどの車種もデザインも悪くないし、価格帯が近ければ、性能面でも恐らく大きくは変わらず、正直、どのモデルを選ぶか非常に悩むに違いない。そんな中、私を含むイタリア車ファンにとってステルヴィオは救世主である。イタリア車ファンの憧れであるアルファ・ロメオがSUV(ステルヴィオ)を販売したことで、性能云々に関わらず候補の1台として挙がるはずだ。このミドルサイズSUVであれば、ファミリーカーとして機能面も含め、妻や子供にも後ろ指を指されることなく、胸を張って候補車の1台として家族に提案できるに違いない。私は妻と小学生の息子を持つ父であるが、その境遇にあり、ステルヴィオの試乗を望んでいた。
今回試乗できたのは、アルファ・ロメオ・ステルヴィオ2.0ターボQ4ヴェローチェである。このヴェローチェはサイドスカートやリアバンパーがボディ同色に塗られ、スポーティさを演出している。それも従来のスポーツパッケージに代わるステルヴィオの中間グレードにあたるのだ。ステルヴィオはアルファ・ロメオ・ジュリアと同じ後輪駆動用のプラットフォームを持ち、必要に応じてフロントに駆動力を分配するアクティブな4WDシステムを備える。パワーユニットはディーゼルエンジンとガソリンエンジンがあるが、今回試乗したガソリンエンジンは、2リッター4気筒ターボで、最高出力280PS/5250rpm、最大トルク400N・m/2250rpmを発生、トランスミッションは8段ATとなる。
アルファ・ロメオが提案するSUVを知る
以前、私はアルファ・ロメオオーナーだったこともあり、無意識のうちにアルファ・ロメオの固定概念を持ちながらステルヴィオのドライビングシートに乗り込んだ。シート、ステアリング、メータパネルそれぞれがアルファ・ロメオを主張しているのだが、何か違うことに気が付く。それはドライビングポジションだ。SUV とは思えないスポーティな小径ステアリングホイールがアルファ・ロメオを象徴しているにも関わらず、高いシート座面は決して悪くはないのであるが、なぜかしっくりこなかったのだ。そんな違和感を持ちながらも、少しの時間ステルヴィオを走らせればそんな違和感にも慣れ、スポーティなインテリアに大きなボディにも関わらず、見切りがいいこのシートポジションが、アルファ・ロメオが提案するSUVを知ることができた。
このヴェローチェには、前席にはホールド性の高いレザー製のスポーツシートが付く、アメリカ市場を意識していることもあり、座面も広くゆったり座ることができる。また、硬いシートは疲れることなく好感がもてる。ステアリングは、ロック・トゥ・ロックがわずか2回転とクイックである前評判を聞いていたが、背の高いステルヴィオはある程度ロールしながらコーナーを抜けていくため、ステアリングのクイックさが多少薄まり、SUVなりのアルファ・ロメオらしいスポーティさが演出されている。また、エンジンルームにはタワーバーを装備し、その下にエンジンはフロントミッドシップに搭載されている。車両重量配分は前後約50:50を実現していることもあり、ワインディングでは大柄なボディにも関わらず軽快でスポーティなハンドリングを実現しているため、気持ちよくSUVであることを忘れてしまうほどだ。ただ、加速中にSUVを意識した比較的ローギアに味付けされた8ATの変速ショックがやや気になった。
昨年10月本国ではマイナーチェンジが発表
アルファ・ロメオらしい演出と、スポーティなハンドリングを持つアルファ・ロメオ ステルヴィオは、イタリア車ファン、アルファ・ロメオファンを納得させてくれるものだった。また、広い室内スペースにゆったりとしたシートが家族からも喜ばれ、イタリア車好きのファミリーカーにはちょうどいい1台となっていた。
最後に、今回JAIAでの試乗会のため複数台乗り比べると、2016年に発表されたステルヴィオは、外装やインテリアも含め正直やや古臭さを感じてしまった。しかし、昨年10月本国ではマイナーチェンジが発表され、トナーレに似たLEDを内蔵したヘッドライトの外装や、インテリアもデジタルメータが採用されることが既に発表されている。このマイナーチェンジモデルが日本にいつ入ってくるかは現在未定ではあるが、今から待ち遠しいイタリア車ファンは多いに違いない。
Text: 池淵 宏
Photo: 池淵 宏、AUTO BILD JAPAN