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これはハマーH1ではありません  トヨタ メガクルーザーBXD20です

2020年5月2日

こういうトヨタ車もあったのを覚えていますか?ハマーH1になりたかったトヨタ。1990年代、トヨタはハマーH1と勘違いされそうな、紛らわしいオフローダーを市場に投入した。その名も、メガクルーザー!

これはハマーH1の勇敢なコピーではなく、トヨタのメガクルーザーだ!ハマーH1よりもさらに大きく、希少性も高く、現在ではほとんど知られていないモデルだ。少数しか生産されなかった日本製ハマーの情報である。

ハマーH1かトヨタ メガクルーザーか?

外観的な共通点以外にも、H1とメガクルーザーには共通点がある。どちらも元々は軍用(日本では自衛隊用)として開発されたもので、後に豪華な民間仕様で販売されている点だ。トヨタ メガクルーザーには2つのバージョンが存在する。BXD10とBXD20で、BXD10は主に自衛隊の車輛用として作られていたが、救助や遠征などのミッションにも使用されていた。だが、ここでは、主人公であるBXD20に集中して情報をお届けしたい。

1996年から2002年まで、トヨタはメガクルーザーを日本市場向けにシングルオーダーで提供していた。つまり一台一台がハンドメイドで(岐阜県の岐阜車体工業で)作られていたのである。日本での価格は当初962万円であった(途中から若干価格があがり、980万円となった)。その価格の理由はメガクルーザーの大きさだ。全長5.09メートル、全幅2.17メートル、全高2.08メートルと、ハマーH1よりも長いだけでなく、高さも高く、幅もH1のほうがほんの少しワイドなだけだ。

しかし、メガクルーザーの価格が高かった理由はそれだけではなく、トヨタがオフロード技術の粋を詰め込んだからであり、そのデザインモデルであるH1のオフロードと比べても遜色はない。それは、ポータルアクスル、3つのロック、37インチのオフロードタイヤなどを備えている。ハマーH1同様、最大地上高42センチを可能にするために、ギアボックスやデフなどを巨大なセンタートンネル内に収納している。

興味深い特徴。運転席側(右ハンドル)のミラーが低い位置に取り付けられている。

信じられないほど小さい回転半径

しかし、トヨタはH1よりさらに一歩進んでいた。オプションのタイヤ空気圧コントロールシステムに加えて、ハマーにはなかった全輪ステアリングを標準装備したのだった。操縦性を高めるために、後輪はステアリングの向きとは逆に最大12度の角度で操舵され、全長5.09メートルのメガクルーザーの回転半径を5.6メートルとしている。またメガクルーザーには、(全幅が広いため)フロントガラスに3つ、リアウィンドウに2つのワイパーが付いている。

コックピットはハマーH1同様にセンタートンネルが非常に高くなっている。この当時のトヨタ車そのもののオートマティックトランスミッションセレクターや、殺風景なステアリングホイール、エアコンスイッチ、コラムスイッチなど、どこからどう見てもトヨタ車である。左手に見える灰皿(!)に注意。

メガクルーザーは現在ドイツで販売されている

それほど印象的ではないのが、XXLサイズのオフローダー用のエンジンだ。大きなグラスファイバーのボンネットの下には、排気量4.1リッターの4気筒ターボディーゼルが搭載されている。155馬力+380Nmという扱いやすい出力で、動力伝達は4速オートマチックトランスミッションを介しておこなわれる。BXD20には様々な仕様が存在し、132台が製造され、そのうち左ハンドルは12台のみだった(色は、白と紺色から選べた)。現在流通している個体はごくわずかな台数だ。

現在メガクルーザーBXD20が販売されているとしたら、ほとんどは日本かロシアで、最低でも10万ユーロ(約1,200万円)以上の価格で販売されている。ドイツでは、オープンミリタリーバージョンのBXD10が現在58,500ユーロ(約700万円)で販売されている。この希少なトヨタ メガクルーザーは、周りの人々から最大の注目を集めたい人にはまさにぴったりの車だ。

軍事用トヨタ メガクルーザーBXD10。緊急時車輛としても用いられた。
Photo: Ronald Sassen / AUTO BILD

Text: Jan Götze