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【このクルマなんぼ?】かつて日本にあった世界最高の一台 メルセデス560 SEL AMG 6.0がオークションに 果たしてその落札価格は?

2023年1月1日

メルセデス560 SEL AMG 6.0がオークションで落札された。6.0リッターV8、豊富な高級感、35万マルク(約2,600万円)以上の高価格: このメルセデス560 SEL AMG 6.0は、かつて世界最高の車の一つだったのだ。

ボス。1980年代に「メルセデス560SEL」に乗っていた人は、みんなそうだった。「W126(ロングバージョンとしてV126と呼ばれる)」のトップバージョンは、当時のメルセデスの最高峰であった。1985年当時のベース価格は12万マルク(約900万円)を超えていた。それでも、普通の「560SEL」では物足りないという人がいたのだ。こうした顧客はAMGに頼ることができ、「560SEL」は高価なお金で「AMG 6.0」に改造された。専門家によれば、作られたのは100台にも満たないという。2022年12月10日にマイアミ(フロリダ州/アメリカ)で1台オークションに出品された。

マイアミで開催されたRMサザビーズのオークションで、メルセデス560 SEL AMG 6.0は落札された。AMGコンバージョンは2桁の台数しか生産されず、その大半は海外に流出したと言われている。この「アンスラサイトグレーメタリック(カラーコード172)」の「V126」は、1989年に日本のAMGジャパンによってに納車された。

V8、6.0リッター、385馬力

改造の中心はエンジンのチューニングだった。標準の5.5リッターV8(M117)はAMGによって排気量6.0リッター(5956cc)にボアアップされている。さらに、2本のオーバーヘッドカムシャフトと専用の4バルブシリンダーヘッドが装着された。新しいエキゾーストシステムと触媒コンバーターなしとの組み合わせで、最高出力385馬力、最大トルク566Nmを実現した。

ラジエーターグリルはボディ同色となりクロームメッキは存在しない。560 SEL AMG 6.0は現在のAMGモデルよりも凄味が効いているように見える。

「560 SEL」に搭載された「M117」エンジンは、標準では最高出力300馬力、最大トルク455Nmを発揮した。「6.0」は290~300km/hを記録したといわれ、当時としては最速のクルマの1台であった。

オリジナルの5.5リッターV8は、AMGによって6.0リッターにスープアップされた。費用は6万マルク(約450万円)以上。

しかし、エンジンのチューニングだけで当時は6万マルク(約450万円)以上かかっていた。厳密には、61,850.70マルク(約460万円)である。さらに、大型ブレーキシステム、リミテッドスリップデフ、改良型シャシー、今日の基準では非常に控えめなAMGボディキットが用意された。したがって、フル装備の560 SEL AMG 6.0は、当時35万マルク(約2,600万円)を超える価格となったのである。

今回出品されたモデルは、ペイントスターとポリッシュベッドを備えた3ピースのAMG Aero IIIホイールなどの改造が施されたもので、現在では非常に高価なものとなっている。インテリアでは、ブラックのフルレザーインテリア(リアシートヒーター付)やリアに折りたたみ式のテーブルを採用し、十分な高級感を演出している。テーブルの木製パネルには、既知の問題である広範囲なひび割れが見られる。

走行距離わずか62,189km

AMGオリジナルの4本スポークレザーステアリングホイール、ホワイトダイヤル、助手席前のトリムに貼られたAMGステッカーが、スポーティさを醸し出している。「560 SEL」は、直近では大規模なヤングタイマーコレクションの一部であったため、あまり運転されることはなかった。33年の歳月を経たにもかかわらず、現在の走行距離はわずか62,189kmだ。

コックピットには80年代のセンス: ブラックレザーとウッドの出会い。ハイライトは、AMGオリジナルの4本スポークステアリングホイールだ。

希少なオールドスクールベンツは、最低価格なしで、オリジナルのツールセットと車載のすべての書類と文献を付けて提供されていた。しかし、最低価格がないからといって、「SEL」がお買い得になったわけではない。想定落札価格は90,000~120,000ドル(約1,260~1,680万円)と言われていたが、最終的な落札金額は257,600ドル(約3,600万円)にまでジャンプした。こんな特別な「メルセデス560 SEL AMG 6.0」に乗る人は、昔も今も、特別な限られた人なのだ。

Text: Jan Götze
Photo: RM Sotheby’s